ご自宅に、大切にしてきたヴィンテージ楽器や、憧れて手に入れたギブソン、フェンダーといったハイブランドの楽器が眠っていませんか?
もしかしたら、「最近弾く機会が減ってしまったな…」「新しい楽器の購入資金のために、そろそろ手放そうかな」と、売却を考えているかもしれませんね。
でも、いざ売るとなると、こんな不安が頭をよぎりませんか?
「この楽器、いったい今いくらになるんだろう…」
「近所のリサイクルショップに持っていって、安く買い叩かれたらどうしよう…」
「フリマアプリは、なんだかトラブルが怖そうだし…」
そのお気持ち、楽器を愛する人間として、私も痛いほどよくわかります。
特に、思い入れのある高価な楽器であればあるほど、「その価値を本当にわかってくれる相手に、正当な価格で買い取ってほしい」と願うのは、当然のことですよね。
実は、そうしたヴィンテージ楽器やハイブランド楽器には、一般的な中古品とは全く異なる、専門的な「価値の基準」が存在します。
だからこそ、どこで売るか、誰に査定してもらうかという「売り先選び」が、他のどんなモノを売る時よりも、圧倒的に重要になってくるのです。
もし、その選択を間違えてしまうと、本来10万円の価値があったはずが、1万円にも満たない金額で手放してしまう…なんていう、悲しい事態にもなりかねません。
ここでは、あなたが大切にしてきた楽器の価値が正しく評価されるために、「なぜ売却が難しいのか」という理由から、主な売却方法のメリット・デメリットの徹底比較、そして、最終的に「高く」「正しく」売るための最も良い方法まで、詳しく、丁寧に解説していきます。
あなたの愛器の価値が、次のオーナーさんへ正しく受け継がれるために。
あなたが心から納得できる売却方法を、一緒に見つけていきましょう。
ヴィンテージ楽器・ハイブランド楽器の売却が難しい理由

長年大切にしてきたヴィンテージ楽器や、憧れて手に入れたギブソン、フェンダーといったハイブランドの楽器。
いざ、何かの事情で手放すことを考えたとき、誰もが「安く買い叩かれたくない」「この楽器の本当の価値をわかってほしい」と願うはずです。
私自身も楽器を愛する一人として、そのお気持ちは痛いほどわかります。
しかし、実はこれらの「高価な楽器」は、一般的な中古品と違って、売却するのが非常に難しいという側面があるのをご存知でしたか?
ここでは、なぜ大切にしてきた楽器ほど売るのが難しいのか、その理由を具体的に掘り下げてみたいと思います。
なぜ一般的なリサイクルショップではダメなのか?
まず思い浮かぶのが、近所にある総合リサイクルショップかもしれませんね。
手軽に持ち込めるのは魅力ですが、ヴィンテージ楽器の売却先としては、正直なところ、あまりおすすめできません。
なぜなら、そうしたお店の査定は、基本的に「型番」と「動作確認(音が出るか)」、そして「外観のキズや汚れ」が中心だからです。
もちろん、それが悪いわけではないのです。
ただ、ヴィンテージ楽器の価値を決める「製造年代」や「細かな仕様の違い」「パーツがオリジナルかどうか」といった専門的な要素を、正確に判断できるスタッフが在籍しているケースは、残念ながら稀だと言わざるを得ません。
私にも経験があるのですが、以前、ちょっとマニアックなエフェクターを試しに査定してもらったことがあるんです。
すると、「よくわからないメーカーですね」の一言で、ネット相場の十分の一以下の価格を提示されて、とても悲しい気持ちになったことがあります。
もし、あなたの貴重なギブソンやフェンダーが、「古いギター」「中古の楽器」という大雑把な括りで査定されてしまったら…。
考えるだけでも、ちょっと怖いですよね。
希少なモデルであればあるほど、その価値は見落とされてしまう可能性が高いのです。
フリマアプリやオークションに潜むリスク
「それなら、自分で価値を決めて出品できるフリマアプリやネットオークションはどう?」と考える方も多いでしょう。
確かに、うまくいけばリサイクルショップよりずっと高い金額で売れる可能性はあります。
ですが、高価な楽器だからこそ、そこには大きなリスクが潜んでいるんです。
まず、買い手とのコミュニケーションが大変です。
価値がわからない人から「とりあえず半額になりませんか?」といった無茶な値引き交渉が来ることもあれば、逆に知識が豊富なマニアックな方から「ネックの反りは0.01ミリ単位でどうなっていますか?」「コンデンサの型番の写真を送ってください」といった、細かすぎる質問攻めにあうこともあります。
さらに怖いのが、高額商品ゆえのトラブルです。
「届いたら説明文になかった小さなキズがあった」「音が思っていたものと違った」といったクレームはまだ良い方で、最悪の場合、中身を偽物にすり替えて返品してくる…なんていう詐欺的な被害に遭う可能性もゼロではありません。
そして、何より大変なのが「梱包と発送」です。
デリケートなヴィンテージ楽器を、配送の衝撃から完璧に守るための梱包は、専門的な知識と資材が必要で、想像以上に手間がかかります。
万が一、配送中にネックが折れるような重大な事故が起きた場合、その責任の所在をめぐって、購入者や配送業者と複雑なやり取りをしなければならなくなります。
私個人の意見としては、これらの手間や精神的なストレス、万が一の事故のリスクを天秤にかけると、特に愛着のある高価な楽器ほど、個人間取引は避けた方が賢明ではないかな、と思いますね。
ギブソンやフェンダーの価値は「型番」だけでは決まらない
ヴィンテージ楽器やハイブランド楽器の売却が難しい、最大の理由がこれです。
それは、これらの楽器の価値が、単純な「型番」だけでは絶対に決まらない、という点にあります。
例えば、同じ「ギブソン・レスポール」という名前のギターがあったとしましょう。
それが、1959年に作られたオリジナルのいわゆる「バースト」であれば、今や数千万円以上の価値がつくこともあります。
一方で、1970年代に作られたものであれば価格は大きく変わりますし、もちろん、現行品として新品で売られているモデルとも全く価値が異なります。
これはフェンダー・ストラトキャスターでも同じことです。
いつ作られたのかを示すシリアルナンバーはもちろん、ヘッドストック(先端)のロゴの形状、ネックの握り、使われている木材、塗装の種類…そういった無数の細かな仕様の違いが、その楽器の価値を大きく左右するのです。
この複雑さが、専門家でないと手が出せない領域なんですよね。
年代や仕様による価値の変動
H3でも触れましたが、価値の変動要因は本当に複雑です。
例えばフェンダー社がCBS社に買収される以前、1965年頃までのモデルは「プリCBS期」と呼ばれ、非常に高い人気と価値を持っています。
ギブソンにも「PAF」と呼ばれる伝説的なピックアップが搭載されていた時期があります。
ただ、そういった数百万、数千万円クラスの「お宝」でなかったとしても、価値の変動要因は無数に存在します。
例えば、「70年代のラージヘッドのストラトキャスター」は、一昔前は人気がありませんでしたが、特定のアーティストが使用したことで近年再評価されています。
また、日本で作られた「ジャパンヴィンテージ」と呼ばれる80年代のモデルも、今や世界中のコレクターから注目されていますよね。
現行品であっても、フェンダーやギブソンの「カスタムショップ」と呼ばれる特別ラインで製作されたモデルや、有名アーティストのシグネチャーモデル、特定の楽器店限定で販売された少数生産品などは、通常のラインナップとは全く異なる査定基準が必要になります。
これらの細かな違いを見抜き、それが現在の市場でどれほどの価値を持つのかを判断するには、長年の経験と膨大な知識、そして最新の市場データの蓄積がなければ、絶対に不可能なのです。
パーツのオリジナル度とコンディションの重要性
もう一つ、ヴィンテージ楽器の価値を大きく左右するのが、「パーツのオリジナル度」と「コンディション(状態)」です。
特にヴィンテージの世界では、「フルオリジナル(フルオリ)」、つまり工場から出荷された時のパーツが、ネジ一本に至るまで交換されずに残っている状態が非常に重要視されます。
ペグ(糸巻き)、ピックアップ、ブリッジ、ノブ、内部のコンデンサ…。
どれか一つでも、年代の異なるものや社外品に交換されていると、それだけで査定額が大きく下がってしまうことも珍しくありません。
もちろん、演奏のためにあえてパーツをアップグレードする改造もあります。
例えば、すり減ったフレットを交換する「リフレット」や、より好みの音を求めてピックアップを交換することもあるでしょう。
その場合も、それが「楽器の価値を高める有益なアップグレード」なのか、それとも「オリジナル性を損なう残念な改造」なのかを判断する、専門家の目が必要になります。
外観がピカピカなものより、塗装が剥げたり、細かなヒビ(ウェザーチェック)が入っていたりしても、主要なパーツがすべてオリジナルのまま残っている方が価値が高い、というのは、ヴィンテージ楽器ならではの奥深い世界観ですよね。
この辺りのバランス感覚は、本当に専門家でないと判断が難しいなと、いつも感じます。
「価値を正しく評価してくれる」とはどういうことか
ここまで読んでいただくと、メインキーワードでもある「価値を正しく評価してくれる」という言葉の、本当の意味が見えてくるのではないでしょうか。
これは、単に「他のお店より高い査定額を提示する」ことだけを指すのではない、と私は考えています。
その楽器が持つ「製造年代」や「仕様の希少性」、「パーツのオリジナル度」、そして「現在のコンディション」。
これら全ての要素を、専門家の目で総合的かつ正確に見抜いてくれること。
そして、ここからが一番重要なのですが、「なぜ、その査定額になったのか」という根拠を、私たち素人にもわかるように明確に説明してくれることです。
「お客様のこのギターは、〇〇年のモデルで、この時期特有の××という仕様が確認できましたのでプラス評価です。
」「ただ、残念ながらペグがオリジナルのものではなく、近年のものに交換されているようですので、その点がマイナス評価となります。
」「その結果、総合的な査定額は〇〇円となります。
」
このように、良い点も悪い点も包み隠さず説明し、持ち主が「なるほど、それなら納得だ」と思える査定。
これこそが、私たちが本当に求める「価値を正しく評価してくれる」ということではないでしょうか。
高価な楽器だからこそ「専門知識」が不可欠
さて、この章のまとめです。
これまで見てきたように、総合リサイクルショップや、楽器の知識が浅い個人間(フリマアプリなど)では、ヴィンテージ楽器やハイブランド楽器の持つ、複雑な価値基準を正しく判断することは、ほぼ不可能に近いと言えます。
ギブソン、フェンダー、マーティンといった歴史あるブランドの古い楽器は、単なる「中古品」というより、もはや「美術品」や「骨董品」に近い側面すら持っているのです。
だからこそ、あなたが大切にしてきた高価な楽器を売却する際には、その価値を正確に見抜き、正しく評価できる「専門知識」と「豊富な経験」を持った相手(売り先)を選ぶことが、絶対に不可欠なのです。
では、その「専門知識」を持った売却先とは、具体的にどこなのでしょうか?
次の章では、主な売却方法を改めてピックアップし、それぞれのメリットとデメリットを詳しく比較検討していきましょう。
どこで売る?主な売却方法のメリット・デメリット比較

前の章では、ヴィンテージ楽器やハイブランド楽器の売却がいかに難しく、その価値を正しく評価してもらうためには「専門知識」が絶対に不可欠である、というお話をしました。
そうすると、次に皆さんが疑問に思うのは、「じゃあ、具体的にどこで売ればいいの?」ということですよね。
本当に専門知識を持った相手はどこにいるのか、あるいは、先ほど挙げたような一般的な方法は、やっぱり選ばない方が良いのか…。
ここでは、主な楽器の売却方法を、大きく4つのパターンに分類してみました。
それぞれの「メリット(良いところ)」と「デメリット(注意が必要なところ)」を、特に「ヴィンテージ・ハイブランド楽器を売る」という視点で、できるだけ公平に、そして率直に比較検討していきたいと思います。
ご自身の状況…例えば、「多少手間がかかってもいいか」や「トラブルのリスクは絶対に避けたいか」といったことと照らし合わせながら、読み進めてみてくださいね。
パターン1:個人間取引(フリマアプリ・ネットオークション)
まずは、フリマアプリやネットオークションといった、個人間で売買する方法です。
これらを利用する最大のメリットは、うまくいけば「市場価格に最も近い金額」、つまり理論上の最高値で売れる可能性がある、という点に尽きると思います。
自分で価格を設定できますし、熱心なコレクターが見つけてくれれば、想像以上の高値がつくことも夢ではありません。
しかし、前の章でも少し触れましたが、高価な楽器であればあるほど、デメリットも非常に大きくなります。
それは「手間」「時間」「リスク」の3つです。
まず「手間」。
高額な楽器を買おうとする人は、当然ながら非常に慎重です。
その不安を払拭するためには、あらゆる角度から撮影した鮮明な写真(キズや打痕、パーツのアップ、シリアルナンバー、場合によっては内部の配線まで)と、その楽器の来歴や状態を詳細に記した専門的な説明文が不可欠です。
そして、売れた後の梱包。
配送中にネックが折れたりしないよう、厳重すぎるほどの梱包が必要で、これは素人にはかなり難しい作業です。
次に「時間」。
マニアックな楽器や高額な楽器ほど、本当にその価値を理解してくれる買い手が登場するまでには、時間がかかるケースが多いです。
「来月までに現金化したい」といった場合には不向きですね。
最後に「リスク」。
しつこい値引き交渉のストレスは日常茶飯事ですし、高額商品ゆえに「説明になかった」というクレームや返品要求、最悪の場合は「すり替え詐欺」のような深刻なトラブルに巻き込まれる可能性も否定できません。
私個人の感想としては、この精神的な負担が大きすぎるな、と感じます。
よほど個人間取引に慣れていて、あらゆるトラブルを自己責任で解決できる自信がない限り、大切なヴィンテージ楽器でこの方法を選ぶのは、かなり勇気がいる選択だと思いますね。
パターン2:総合リサイクルショップ
次に、街中にある総合リサイクルショップです。
こちらの最大のメリットは、なんといっても「手軽さ」と「即金性」でしょう。
思い立ったらすぐに持ち込めて、その場で査定してくれて、金額に納得すれば(あるいは、しなくても)すぐに現金を受け取ることができます。
引っ越しなどで、他にも処分したい家具や家電がたくさんあって、「まとめて全部引き取ってほしい」といった、とにかくスピードと手軽さを最優先する場合には、選択肢の一つになるかもしれません。
ですが、こと「ヴィンテージ楽器・ハイブランド楽器の価値」という点においては…。
もうお分かりですよね。
前の章で詳しくお話しした通り、専門知識を持ったスタッフがいる可能性は極めて低いです。
その楽器の製造年代、仕様の希少性、パーツのオリジナル度といった、価値を決める重要な要素が評価されることは、まず期待できません。
ひどい場合には、「音が出る古いギター」というだけの扱いで、本来の価値とはかけ離れた、非常に安価な査定額が提示される可能性が極めて高いです。
もし私が、大切にしてきたギブソンやフェンダーを売る立場なら、ここは絶対に選ばないですね…。
その楽器が歩んできた歴史や価値を全く理解されないまま手放すのは、なんだか楽器自体に申し訳ないような気さえしてしまいます。
パターン3:一般的な中古楽器店
では、街の「楽器店」がやっている中古買取はどうでしょうか。
これは、総合リサイクルショップとは全く話が違います。
当然ながら、査定してくれるのは楽器の専門スタッフです。
楽器に対する基本的な知識はしっかり持っていますし、動作チェックや状態の確認も適切に行ってくれるでしょう。
その場で査定してくれて、現金化できる手軽さもありつつ、リサイクルショップのような「価値が全くわからない」という不安は格段に少なくなります。
これは大きなメリットだと思います。
一方で、注意点もあります。
それは、楽器店によって「得意ジャンル」や「在庫状況」が大きく異なる、という点です。
例えば、最新のデジタル機材や、これから楽器を始める人向けのエントリーモデルの販売に力を入れているお店に、50年前のマニアックなヴィンテージのギブソンを持ち込んだとしましょう。
もちろん基本的な査定はできますが、その楽器の持つ「真の価値」を最大限に評価し、最高の査定額を提示できるかというと、それは難しいかもしれません。
また、そのお店に同じようなモデル(例えば、特定の時期のフェンダージャパンなど)の在庫がたくさんある(=飽和している)場合は、どうしても買取価格は低めに抑えられてしまう傾向があります。
「ヴィンテージ専門」を謳っているお店でない限り、その知識や相場観には限界がある可能性も、頭に入れておいた方が良いでしょう。
パターン4:楽器専門の買取サービス(出張・宅配)
最後に、近年増えている、インターネットを中心とした「楽器専門の買取サービス」です。
特に、ヴィンテージ楽器やハイブランド楽器の買取を「専門」として前面に打ち出しているサービスがこれにあたります。
最大のメリットは、やはりその「専門性」です。
ギブソン、フェンダー、マーティンといった特定ブランドや、年代物の楽器に関する深い専門知識と豊富な査定経験を持った「専門査定士」が在籍している可能性が非常に高いと考えられます。
また、こうしたサービスは、あえて一等地に大きな店舗を構えず、査定やメンテナンスの拠点を集約したり、インターネット経由での販売ルートを確立したりすることで、店舗運営コストを抑えている場合があります。
その削減できたコストが、買取の査定額に還元されやすい傾向がある、とも言われていますね(もちろん、すべてのサービスがそうだとは限りませんが)。
さらに、「宅配買取」や「出張買取」といった方法を選べるのも大きな魅力です。
重くてデリケートな楽器を自分で運ぶ手間や、配送事故のリスク(多くの場合、専用の梱包キットを送ってくれたり、運送保険でカバーされたりします)を最小限に抑えられる「手軽さ」も兼ね備えています。
一方で、デメリットとしては、サービスを提供している会社が非常に多く、まさに玉石混交である、という点が挙げられます。
「ヴィンテージに強い」とウェブサイトに書いてあっても、実際は現行品の中古買取がメインであったり、査定士のスキルや知識にバラつきがある可能性もゼロではありません。
どのサービスが本当に信頼できて、自分の楽器の価値を正しく評価してくれるのかを、私たち利用者自身がしっかり見極める必要がある、ということです。
ヴィンテージやハイブランド楽器に最適な方法は?
さて、ここまで4つの売却パターンを比較してきました。
一度、まとめてみましょう。
「手軽さ・即金性」だけを最優先するなら、パターン2(総合リサイクルショップ)ですが、楽器の価値はほぼ無視されてしまいます。
「リスクを承知で、理論上の最高値」を目指すなら、パターン1(個人間取引)ですが、膨大な手間と精神的負担が伴います。
「ある程度の安心感と専門性、手軽さ」を求めるなら、パターン3(一般的な中古楽器店)ですが、お店の得意分野や在庫状況との「相性」次第なところがあります。
では、この記事の最大のテーマである、「ヴィンテージ楽器・ハイブランド楽器の価値を、正しく評価してもらう」という目的を達成しつつ、同時に「面倒な手間やトラブルのリスクも、できるだけ最小限に抑えたい」という、多くの方が望むであろう現実的なニーズ。
この二つを両立させることを考えると、やはりパターン4の「楽器専門の買取サービス」が、現状では最も合理的で、バランスの取れた選択肢になるのではないか、と私は思います。
もし私自身が、何十年も大切にしてきた愛着のあるヴィンテージギターを手放すことになったとしたら…。
その価値を一番深く理解してくれそうで、かつ安全・確実に取引できる相手として、迷わず「専門の買取サービス」を探すと思いますね。
では、その「楽器専門の買取サービス」が、なぜヴィンテージ楽器の価値を正しく評価できるのか、その具体的な理由について、次の章でさらに詳しく掘り下げて見ていきましょう。
楽器買取専門店が「高く売る」ために最適な理由

前の章では、ヴィンテージ楽器やハイブランド楽器を売るなら、4つのパターンの中で「楽器専門の買取サービス」が最も合理的で、バランスの取れた選択肢だ、という結論に至りましたね。
きっと皆さんが次に知りたいのは、「なぜ、彼らはそんなに高く、そして正しく買い取ることができるの?」という、その具体的な理由だと思います。
たしかに、ただ「専門だから」と言われても、漠然としていますよね。
ここでは、楽器買取専門店が、一般的なお店や個人間取引と比べて、明らかに優れている「強み」について、詳しく掘り下げてみたいと思います。
この理由を知ることで、きっと皆さんも安心して大切な楽器を任せよう、と思っていただけるんじゃないかな、と思います。
専門査定士(鑑定士)による正確な価値判断
楽器買取専門店が持つ最大の強み、それはもう間違いなく、専門知識を持った「人」の力です。
こうしたサービスには、単に「楽器に詳しい店員さん」というレベルを超えた、「専門査定士」あるいは「鑑定士」と呼ばれるプロフェッショナルが在籍しています。
彼らは、私たちが1章で学んだような、ヴィンテージ楽器の複雑怪奇な価値基準…つまり「製造年代」「細かな仕様の違い」「パーツがオリジナルかどうか」「現在のコンディション」…これらを、長年の経験と膨大な知識の蓄積に基づいて、瞬時に、かつ正確に見抜く「目」を持っています。
例えば、ネックに押されたシリアルナンバーを見るだけではありません。
ヘッドのロゴの書体や位置、使われているネジの形状や色、塗装の質感、木材の木目、ピックアップキャビティ(内部の空洞)の加工跡、配線のハンダの乗り方…。
そういった、私たち素人では到底見分けがつかないような、本当に細かなディテールから、その楽器が持つ「本物の価値」や「オリジナル度」を総合的に判断できるのです。
この「目利き」の力こそが、型番と状態だけで判断するリサイクルショップや、知識にバラつきがあるかもしれない一般的な楽器店との、決定的で、かつ越えられない「差」だと私は思います。
まるで、その楽器が歩んできた歴史まで読み取ってくれるような、そんな深い安心感が、彼ら専門査定士にはありますよね。
ギブソン、フェンダー等の特定ブランドへの深い造詣
専門査定士のすごさは、単に「年代がわかる」というだけではありません。
彼らは、特にこの記事のテーマである「ギブソン」や「フェンダー」、「マーティン」といった、歴史あるハイブランドの「歴史」そのものに、非常に深く精通しています。
「造詣が深い」という言葉がぴったりですね。
例えば、「この年代のギブソン・レスポールは、カラマズー工場で、どんな職人たちが、どんな想いで作っていた時代か」とか、「フェンダーがCBSに買収された直後のこの時期、ストラトキャスターの仕様がこのように変更された背景には、こんな事情があった」といった、ブランドの歴史的背景や文化までを深く理解しているのです。
こうした「物語」レベルでの深い知識があるからこそ、マニュアル通りの型番査定ではなく、その楽器が持つ個別の「希少性」や「ストーリー」といった、目に見えない価値までをも評価に加えてくれる可能性が高くなります。
「あ、このモデルは当時、短期間しか生産されなかったレアカラーですね」とか、「この時期のギブソンは、こういう特徴があるんですよね」と、査定士さん自身が楽しそうに話してくれるようなら、それはもう信頼できる証拠だと私は思います。
ヴィンテージ楽器の「相場」を形成する独自の販売ルート
「でも、知識があるからって、なんで『高く』買い取れるの?」と不思議に思うかもしれません。
その答えは、彼らが持つ「販売ルート」にあります。
専門業者は、買い取った貴重な楽器を、ただ自分のお店の店頭に並べて、次のお客さんを待つだけではありません。
彼らは、日本国内はもちろん、「海外の熱心なコレクター」や「ヴィンテージ専門の楽器店」、「オークションハウス」など、多種多様で、非常に強力な販売網(ネットワーク)を世界中に持っていることが多いのです。
つまり、彼らは「その楽器の価値を、世界で一番高く評価してくれる市場(あるいは人)」がどこにあるかを、熟知しているわけです。
世界中の最新の「相場」をリアルタイムで把握しているからこそ、「このコンディションの1965年製ストラトキャスターなら、今、ヨーロッパのコレクターに〇〇円で売れる」という、確かな自信(=販売実績)に基づいた値付けができます。
その結果、国内の一般的な中古相場しか知らないお店が提示する査定額よりも、一歩も二歩も踏み込んだ、「攻めた査定額(=高い買取価格)」を提示することが可能になるのです。
高く売れる「出口」を持っているからこそ、高く買える「入り口」が実現できる…。
これは、非常に納得のいく理由ですよね。
メンテナンス・リペア体制が査定額に与える影響
もう一つ、彼らが「高く買い取れる」理由があります。
それは、自社、あるいは強力に提携している「メンテナンス・リペア体制」が充実していることです。
買い取ったヴィンテージ楽器は、そのまま次のオーナーに渡ることは稀で、多くの場合、プロによるクリーニングや、細かな調整、時には修理(リペア)が必要になります。
専門業者は、このリペア作業を、非常に高い技術で、かつ効率的に(つまり、比較的安価なコストで)行える体制を持っています。
これが何を意味するかというと…。
例えば、あなたの楽器に「ネックが少し反っている」「フレットがすり減っている」「電装系からガリ(ノイズ)が出る」といった、素人目には「大きなマイナス点」に思える症状があったとします。
リサイクルショップなら、「これはジャンク品ですね」と一蹴されるか、「修理代がいくらかかるか分からないから、大幅に減額しておこう」という査定になりがちです。
しかし専門業者なら、「ああ、このネック反りならウチで調整可能です」「このガリはパーツ洗浄で取れますね」と、修理にかかる正確なコストをその場ではじき出せます。
だから、「修理コストを差し引いた、本来の価値に基づく適正価格」を提示できるのです。
むしろ、「現状はこうだけど、ウチでリペアすれば見違える」という楽器の「ポテンシャル(潜在価値)」を見抜いて、状態が完璧ではない楽器であっても、その価値をしっかり評価してくれる可能性が高いのは、大きな魅力だと思います。
面倒な手続きをすべて任せられる利便性
ここまで「高く売れる理由」を中心に話してきましたが、専門サービスにはもう一つ、忘れてはならない大きなメリットがあります。
それは、「面倒な手続きをすべて任せられる利便性」です。
前の章で、個人間取引(フリマアプリ)のリスクとして「梱包の大変さ」や「配送事故の恐怖」を挙げましたよね。
ヴィンテージ楽器のような高価でデリケートなものを、素人が完璧に梱包して発送するのは、本当に骨が折れますし、精神的にもかなりのストレスです。
その点、専門の買取サービス(特に宅配買取)の多くは、こうした不安や手間をすべて解消してくれる仕組みを整えています。
ギターやベースの形状に合わせた専用の「梱包キット(ダンボールや緩衝材)」を無料で自宅まで送ってくれたり、配送業者の集荷を手配してくれたり、もちろん、万が一のための運送保険も完備されています。
また、「出張買取」を選べば、査定士が自宅まで来てくれて、その場で楽器の状態をチェックし、金額に合意すれば、梱包から運び出しまですべてやってくれる場合もあります。
「大切な楽器の価値を、正しく評価してくれる」という絶対的な安心感に加えて、こうした「面倒なことを丸ごとお任せできる利便性」。
この両方を兼ね備えているからこそ、楽器専門の買取サービスは、高価な楽器を売る際に最も最適な方法だと言えるのです。
さて、これだけ強みのある専門サービスですが、問題は「じゃあ、たくさんあるサービスの中から、どこを選べばいいの?」ということですよね。
次の章では、その「失敗しないための具体的な選び方のポイント」を、5つに絞って詳しく解説していきますね。
失敗しない!ヴィンテージ楽器買取サービスの賢い選び方 5つのポイント

さて、ここまでの章で、あなたが大切にしてきたヴィンテージ楽器やハイブランド楽器を売るなら、「楽器専門の買取サービス」を利用するのが、価値を正しく評価してもらう上で最も合理的で、バランスの取れた最適解だ、というお話をしてきました。
しかし、3章の最後でも少し触れましたが、一口に「楽器専門の買取サービス」と言っても、インターネットで検索すれば、本当にたくさんの会社が見つかります。
そして、残念ながら、その中身はまさに「玉石混交」。
素晴らしい専門知識とサービスを提供している「玉」のような会社もあれば、専門を謳いながらも実態はリサイクルショップと変わらないような「石」のような会社も、残念ながら存在するのです。
ここでは、その「玉石」の中から、あなたが本当に信頼できる「玉」、つまり優良なサービスを自分自身で見極めるための、非常に重要な「5つのチェックポイント」に絞って、詳しくご紹介していきたいと思います。
(ここが一番大事なところかもしれませんね。
せっかく「専門サービスがいい」とわかっても、相手選びを間違えてしまったら、結局は価値をわかってもらえないという、悲しい結果になりかねませんから。
そうならないためにも、私たち自身が、しっかりとした「見極める目」を養っていきましょうね。)
ポイント1:ヴィンテージ・ハイブランドの買取実績が豊富か
まず、最初にして、最も分かりやすく、かつ最も重要な判断材料。
それは、そのサービスに「ヴィンテージ楽器やハイブランド楽器の買取実績が、どれだけ豊富にあるか」です。
これはもう、絶対にチェックしてください。
具体的には、あなたが検討している買取サービスの「公式ウェブサイト」や「公式ブログ」、あるいは「X(旧Twitter)」や「Instagram」などのSNSを隅々まで見てみましょう。
そこで確認すべきは、「実際にどんな楽器を、どれくらいの頻度で買い取っているか」という、生きた情報です。
例えば、ギブソン、フェンダー、マーティン、リッケンバッカーといった、いわゆるハイブランドの楽器の名前が、買取事例として頻繁に登場しているでしょうか?
さらに重要なのは、「1960年代製レスポール、買取ました」「1970年代の貴重なストラトキャスターをお譲りいただきました」といった、具体的な「ヴィンテージ楽器」の買取事例が、写真付きで(可能であれば、査定のポイントなども添えて)きちんと掲載されているか、という点です。
(希少品は価格非公開のことも多いですが、それよりも事例の「数」と「質」が重要ですね。)
私にとって、この「買取実績」は、そのお店の「通知表」であり、「実力の証明書」みたいなものだと感じています。
もしウェブサイトを訪問しても、現行品や数万円程度のエントリーモデルの買取事例ばかりが目立つようなら…。
そのお店は、ヴィンテージの査定に慣れていないか、あるいは専門外なのかもしれません。
私なら、そういうお店に、大切なヴィンテージ楽器の査定をいきなりお願いすることは、ちょっとためらってしまいますね。
ポイント2:専門知識を持つ査定士が在籍しているか
ポイント1で挙げた「豊富な買取実績」。
これを支えているのは、結局のところ、その楽器の価値を正確に見抜ける「人」、つまり「査定士」の能力ですよね。
ですから、次にチェックすべきは、そのサービスに「専門知識を持った査定士が、ちゃんと在籍しているか」が、私たち利用者から見てわかるようになっているか、という点です。
ウェブサイトに、「ヴィンテージ専門査定士 在籍」とか「長年の経験を持つ鑑定士による確かな査定」といった文言が、明確に記載されているかを確認しましょう。
もし可能であれば、その査定士さんの「顔写真」や「プロフィール」…例えば、「楽器業界歴〇〇年」「ギブソンのヴィンテージが得意です」「自身もプレイヤーとして活動」といった経歴や楽器遍歴、得意分野などが公開されていると、信頼度は格段にアップします。
顔が見える、というのは、それだけで大きな安心材料になりますからね。
もしそうした情報がウェブサイトに少なくて不安な場合は、電話やメールの問い合わせフォームで、もう単刀直入に聞いてしまうのが一番です。
「実は1970年代のギブソン・レスポールを売りたいと考えているのですが、そうした楽器の価値に詳しい、専門の方はいらっしゃいますか?」と。
この質問をした時の「電話応対の丁寧さ」や、「メール返信の早さ、的確さ」も、その会社の姿勢や信頼度を判断する、非常に重要なチェックポイントになると思いますよ。
ポイント3:査定料・送料・手数料は無料か
査定の「質」を見極めると同時に、絶対に欠かせないのが「コスト」面でのチェックです。
せっかく大切にしてきた楽器を売るのに、査定や手続きで余計なお金を1円も払いたくない、というのは当然の気持ちですよね。
現在、多くの優良な楽器買取サービスでは、私たち利用者(売る側)が安心して査定を試せるように、以下のような費用を「すべて無料」にしていることを、ウェブサイトなどで強くアピールしています。
・査定料(見積もり料)
・送料(宅配買取を利用する際の、楽器を送る時の送料)
・梱包キット代(宅配買取用のダンボールや緩衝材の費用)
・出張料(出張買取で、査定士に家まで来てもらう費用)
・振込手数料(買取が成立して、代金を振り込んでもらう際の手数料)
これらの「〇〇無料」が、当たり前のようになっているんですね。
逆に、いまだに「査定料として〇〇円いただきます」とか、「買取が成立した場合、手数料として査定額の〇%を申し受けます」といった、何かしらの費用がかかるサービスも存在します。
(よほど査定額そのものに絶対的な自信がある場合を除いて、ですが…)私なら、まずはこれらの諸費用が「すべて無料」をうたっているサービスを選びます。
これはもう、大切な楽器を安心して査定に出すための、最低限の「お作法」みたいなものだと私は思いますね。
ポイント4:査定額の根拠を明確に説明してくれるか
これは、1章の「『価値を正しく評価してくれる』とはどういうことか」でも触れた、最も核心的な部分です。
選び方のポイントとしても、非常に重要ですね。
査定結果が出たとして、その際にただ「お客様のギターは〇〇円です」と、金額だけをポンと提示してくるサービス。
たとえ、その金額があなたの予想より高かったとしても、理由もわからず「はい、そうですか」と、心の底から納得して手放せるでしょうか?
本当に信頼できる優良なサービスは、必ず、「なぜ、その金額になったのか」という「査定額の根拠」を、私たち素人にも分かるように、具体的かつ丁寧に説明してくれるはずです。
例えば、
「この1968年製のテレキャスターは、この年代としては塗装のクラック(ヒビ)も少なく、非常に良いコンディションでした。」
「また、ピックアップやポット(内部の部品)も当時のオリジナルのままでしたので、相場よりも高く評価させていただきました。」
「一方で、残念ながらブリッジサドルが交換されている点と、ネックに若干のねじれが見られ、これはリペアが必要となるため、その分を差し引かせていただき、この総合金額となりました。」
…といった具合に、プラス査定になったポイントと、マイナス査定になったポイントの両方を、具体的に示してくれるかどうか。
この「説明」があるかないかで、提示された査定額に対するあなたの納得感は、それこそ天と地ほどの差が出るはずです。
質問への丁寧な対応もチェック
ここでお話しした「根拠の説明」を、さらに一歩進めてチェックする方法があります。
それは、査定結果の説明を受けた後に、こちらからあえて「質問」を投げかけてみることです。
例えば、「もう少し詳しく教えていただけますか?」とか、「このピックアップがオリジナルだと判断された、一番の決め手は何ですか?」あるいは、「正直、もう少し高いと思っていました。
どの部分が一番の減額要因になったのでしょうか?」といった、少し突っ込んだ質問ですね。
この時、査定士の方が面倒くさそうな態度をとったり、「いや、そういうものなので」といった曖昧な言葉ではぐらかしたりせず、こちらの素朴な疑問や不安に対して、誠実に、そして専門家としての知識に基づいて、きちんと答えてくれるかどうか。
ここを、ぜひ見極めてみてください。
私個人の経験上、査定額に最終的に「納得できる」かどうかは、提示された金額そのものよりも、この「対話の丁寧さ」や「誠実さ」で決まることが多いな、と本当に感じています。
こっちが長年大切にしてきた楽器への愛着や想いを理解し、それに敬意(リスペクト)を持って対応してくれるかどうか。
単なる「モノ」として事務的に「作業」するのではなく、「この素晴らしい楽器を、次のオーナー様へ責任を持って橋渡ししますよ」というプロとしての姿勢が見えるかどうか。
そこが、お金には代えられない、本当に大事な見極めポイントですよね。
キャンセル時の対応(返送料など)
これも、お金に関わる非常に重要なチェックポイントです。
そして、査定を依頼する「前」に、必ずウェブサイトなどで確認しておかなければならない項目です。
それは、「もし、提示された査定額や、査定士の対応に納得できず、『やっぱり売るのをやめたい(=キャンセルしたい)』となった場合に、どういう対応になるのか」という点です。
多くの優良なサービスは、ウェブサイトに「査定額にご納得いただけない場合も、キャンセル料は一切かかりません」と明記しています。
これは当然として、特に注意してほしいのが、「宅配買取」を利用した場合の「楽器の返送料」の扱いです。
「キャンセル料は無料」でも、「キャンセルされる場合の楽器の返送料は、お客様のご負担となります」というサービスが、実は結構多いのです。
もちろん、中には「キャンセル時の返送料も弊社が負担します(=つまり、完全無料)」という、非常に良心的で、査定に自信があるサービスも存在します。
(私自身の感想ですが)もし、この返送料が自己負担だと、どういう心理になるか…。
高価でデリケートな楽器を一度送ってしまった手前、「うーん、査定額にはちょっと不満だけど、返してもらうのに数千円の送料がかかるくらいなら、まあこの金額で妥協して売っちゃうか…」と、なりがちだと思いませんか?
これでは、実質的にキャンセルしにくい状況(まさに人質ならぬ「楽器質」ですね)に、うまく追い込まれてしまっているわけです。
特に、愛着のある高価な楽器を査定に出す場合は、万が一、納得できなかった時のことも考えて、この「キャンセル時の返送料も無料」のサービスを選ぶ方が、精神衛生上、絶対に安心だと私は強く思います。
ポイント5:自分に合った買取方法を選べるか(宅配・出張・持込)
さて、最後のチェックポイントは、サービスの「利便性」に関する点です。
専門の買取サービスが提供している主な買取方法は、大きく分けて「宅配買取」「出張買取」「持込買取」の3つがあります。
それぞれの特徴を簡単にまとめますね。
まず「宅配買取」。
これは、専用の梱包キット(ダンボールや緩衝材)を送ってもらい、それに楽器を入れて送り返し、査定してもらう方法です。
最大のメリットは、「日本全国どこからでも利用可能」という点ですね。
自分のペースで準備できますが、梱包の手間は(キットがあるとはいえ)多少はかかります。
次に「出張買取」。
これは、査定士があなたの自宅まで来てくれて、その場で査定・買取してくれる方法です。
メリットは、何と言っても「目の前で査定の様子が見られる安心感」と、「梱包・運搬の手間が一切ゼロ」という圧倒的な楽さです。
ただ、デメリットとして、対象エリアが「関東近郊のみ」「主要都市部のみ」など、かなり限定されている場合が多いですね。
最後に「持込買取」。
これは、そのサービスが運営している店舗や査定拠点に、自分で楽器を持ち込む方法です。
もちろん、自分の家の近くに対象店舗があることが大前提ですが、一番の魅力は「その場で査定・即現金化」できるスピード感でしょう。
あなたが今住んでいる地域(出張エリア内か、近くに店舗があるか)、売りたい楽器の数(1本だけか、複数本まとめてか)、査定にかけられる時間(日中は仕事で忙しいなど)、そして、査定士と対面でしっかり話したいかどうか…。
こうしたご自身の状況や希望に合わせて、最適な買取方法を提供しているサービスを選ぶことが、最終的な満足度を高めるための、大切な鍵になります。
もうひと押し!ギブソン・フェンダーをさらに高く売るための秘訣

さて、ここまでの章で、ヴィンテージ楽器やハイブランド楽器を売るなら「専門の買取サービス」が最適であること、そして、その中から「優良なサービス」を見極めるための5つの具体的なポイントを詳しく解説してきました。
これで、大切な楽器を任せる相手選びの準備は、かなり万全になったのではないかと思います。
ですが、この章では、さらに一歩進んでお話をしますね。
それは、優良なサービスに査定を依頼する「その前」や「その時」に、私たち自身がほんの少しだけ「もうひと手間」を加えることで、査定額をさらに引き上げたり、少なくとも不当な減額を防いだりするための「秘訣」についてです。
せっかく何十年も大切にしてきた愛着のある楽器を手放すのですから、1円でも高く、いや、その楽器が持つ本来の価値に見合った「最高の評価」をしてもらいたい、と思うのが人情ですよね。
私自身、そう強く思います。
査定をするのも、私たちと同じ人間です。
ちょっとした心遣いや準備が、「おっ、このオーナーさんは、本当にこの楽器を大事にしてきたんだな」という好印象につながり、それが査定額にプラスに働く(あるいはマイナスを防ぐ)ことだって、十分にあると私は考えています。
ここでは、そんな知っておいて絶対に損はない、「査定額アップのための秘訣」を、いくつかピックアップしてご紹介しますね。
売却前に自分でできるクリーニングとメンテナンス
まず、基本中の基本ですが、何事も「見た目の第一印象」というのは非常に重要です。
これはもう、楽器の査定においても例外ではありません。
想像してみてください。
ヘッドの先端からボディの隅までホコリが積もり、金属パーツはくすみ、指板には手垢がこびりついている楽器…。
それと、全体が丁寧に拭き上げられ、金属パーツも(ピカピカとまではいかなくても)きれいに磨かれている楽器。
どちらが「大切に扱われてきた」と感じるかは、もう言うまでもありませんよね。
楽器が極端に汚れていると、それだけで「保管状態が悪かったのかな?」「ホコリで見えない部分にも、何か問題があるんじゃないか?」と、査定士さんに余計な警戒心を与えてしまい、マイナスイメージにつながりかねないのです。
…ただし。
ここで絶対に注意してほしいことがあります。
それは、「絶対にやりすぎないこと」です。
特にヴィンテージ楽器の多くに使われている、非常にデリケートな「ラッカー塗装」などを、市販の強力な研磨剤(コンパウンド)が入ったクリーナーなどでゴシゴシと磨いてしまうのは、絶対にNGです。
キレイにするつもりが、貴重なオリジナルの塗装を痛めてしまったり、年代物ならではの細かなヒビ(ウェザーチェック)といった「味」や「風格」まで消してしまい、逆に楽器の価値を大きく下げてしまう危険性があります。
私が推奨するのは、あくまで「優しいクリーニング」です。
乾いた柔らかい楽器用のクロス(メガネ拭きのようなものでも良いですね)で、ボディやネックの裏についた指紋や手の皮脂、ヘッドに溜まったホコリ、ペグやブリッジといった金属パーツの表面のくすみなどを、優しく、丁寧に拭き取ってあげる。
もし専用のポリッシュ(液体ワックス)を使う場合も、ごく少量にして、必ず「ラッカー塗装対応」と書かれているものを選んでくださいね。
私の感覚としては、ピカピカの新品に戻す、という意識ではなく、「今まで本当にありがとうね」と感謝の気持ちを込めて、次のオーナーさんが気持ちよく使えるように、ホコリを払って「身だしなみを整えてあげる」…くらいの感覚が、ヴィンテージ楽器には一番合っているんじゃないかな、と思います。
その「楽器への愛情」は、専門の査定士さんなら、きっと言葉にしなくても汲み取ってくれるはずですよ。
付属品(オリジナルケース・保証書など)を揃える
楽器本体のコンディションと同じくらい、いや、場合によってはそれ以上に査定額を大きく左右する可能性があるもの。
それが、「付属品」の有無です。
特に、ヴィンテージ楽器やハイブランド楽器の世界では、この傾向が非常に、非常に顕著ですね。
その付属品の中でも、最も重要と言っても過言ではないアイテムが、「オリジナルのハードケース」です。
ギブソンやフェンダーの、その楽器が製造された年代に付属していた、当時のオリジナルのケース(例えば、50年代のツイードケース、60年代のブラウンケースやブラックトーレックスケースなど)は、それ単体でも、状態によっては数万円、希少なものなら数十万円もの価値がつくことが珍しくありません。
もし、楽器本体は正真正銘のヴィンテージであっても、それを入れるケースだけが近年の汎用品だったりすると、それだけで大幅な減額対象になってしまうことも覚悟しなければならないのです。
ですから、もしオリジナルケースがご自宅のクローゼットの奥や、押し入れの天袋に眠っているのなら、絶対に、絶対にセットで査定に出してください。
もちろん、その他の付属品も、あればあるだけプラス評価につながります。
例えば、購入当時の「保証書(ギャランティカード)」や、スペックが書かれた「仕様書(スペックシート)」、マニュアル類。
フェンダー系のギターなら、購入時に付属していた「トレモロアーム」や、ブリッジを覆う金属カバー(通称「灰皿」なんて呼ばれますね)、ピックアップフェンス。
ハードケースの「鍵」なども、意外と重要です。
コレクターさんにとっては、こうした付属品がすべて揃っている「完品」であることに、非常に大きな価値があるんですね。
そして何より、これらがすべて揃っていると、「この楽器は、新品購入時からずっと大切に保管されてきたんだな」という、何より雄弁な「証明」になります。
査定士の心証も格段に良くなりますし、コレクターズアイテムとしての価値もグッと跳ね上がります。
「そういえば、あの重たいハードケース、邪魔だからクローゼットの奥にしまい込んであるかも…」「アームは確か、昔使ってたギグバッグのポケットに入れっぱなしだったような気がする…」なんてこと、ありませんか?
査定に出す前にもう一度、家の中をくまなく大捜索してみる価値は、絶対にありますよ!
楽器の歴史や改造歴を正確に伝える
査定士さんに楽器を見せる際、その楽器が歩んできた「歴史」を、あなたがどう伝えるか。
これも、実は非常に重要なポイントだと私は思います。
まず大前提として、3章でもお話ししましたが、相手は百戦錬磨の「専門査定士」です。
こちらが意図的に隠そうとしても、その楽器の改造点(例:ピックアップが交換されている、ナットがオリジナルではない)や、修復歴(リペア歴)を、彼らはほぼ100%見抜きます。
ですから、「これは全部オリジナルパーツです」とか「どこもいじってないはずです」などと、下手に嘘をついたり、知っていてもごまかしたりするのは、その場で信頼関係を失うだけで、まさに百害あって一利なしです。
絶対にやめましょう。
むしろ、こちらから「覚えている範囲で」、その楽器の歴史を正直に、かつ正確に伝えることが、結果的にプラスに働くことが多いのです。
例えば、「いつ頃、どこで購入した楽器なのか(あなたがファーストオーナーなのか、それとも中古で手に入れたのか)」、「どの部分を、いつ頃、どこのリペアショップで改造・修理したのか」。
もし、それがポジティブな情報であれば、明確なプラス評価につながります。
(例:「フレットがかなり減っていたので、昨年、有名なリペア工房の〇〇ギタークラフトさんで、ヴィンテージタイプのフレットに打ち替えてもらったばかりです。
その時の作業明細もあります」)
これは「適切なメンテナンスが、高い技術で施されている」という、大きなアピールポイントになりますよね。
たとえネガティブに思える情報…例えば、「実は5年前に一度ネックを折ってしまったのですが、××という有名な工房で完璧に修理してもらってあり、その後は全く問題なく使えていました」…といったことであっても、先に正直に伝えること。
それによって、査定士も状態を正確に把握しやすくなりますし、修理のクオリティが本当に高ければ、「ああ、ここは〇〇工房さんでキレイに直ってますね。
これなら演奏にも強度にも全く問題ないので、減額は最小限にしておきますね」と、マイナス幅を最小限に抑えてくれる可能性が高まるのです。
私の考えですが、査定士さんとの関係は、「駆け引き」ではなく「信頼関係」で築くべきものです。
その楽器の「履歴書」を正直に開示し、誠実な態度で接すること。
それが、結果としてあなたの楽器の「価値を正しく評価してもらう」ための、一番の近道だと私は思いますね。
弦は張り替えるべき?そのままが良い?
これは、査定に出す前に多くの方が悩む、かなり具体的な疑問ではないでしょうか。
私も昔、悩んだことがあります。
「こんなにサビサビの古い弦のままだと、音がちゃんと判断できなくて、減額されちゃうんじゃないか…」と不安になりますよね。
結論から言いますと、多くの場合、「無理に新品の弦に張り替える必要はない」というのが、私の見解です。
理由はいくつかあります。
まず、専門の査定士は、たとえ弦が古くてくすんだ音になっていたとしても、楽器本体が持つ「生鳴り」のポテンシャルや、ネックの状態(反りやねじれ)、フレットの減り具合、アンプを通した時の電装系の状態などを、正確に判断できる技術を持っているからです。
弦が古いことくらいは、百も承知なんですね。
また、どうせ買い取った後、お店側では次のオーナーさんに渡す前のメンテナンス作業の一環として、必ず指板のクリーニングや全体の調整を行います。
その際に、結局は新しい弦に交換することがほとんどです。
わざわざこちらがコストと時間をかけて弦を張り替えても、結局すぐに外されてしまうのでは、ちょっと勿体ない気もしますよね。
…とはいえ、です。
あまりにも弦がサビサビで、触るのもためらわれるような状態だったり、弦が1本切れたまま何年も放置されていたりすると…。
さすがに「この楽器、全然弾かれてなかったんだな」「楽器への愛情が感じられないな」「保管状態も悪かったのでは?」という、ネガティブな第一印象を与えてしまう可能性はあります。
私の個人的な感覚としては、こうですね。
もしご自身で弦交換がスムーズにできる方で、たまたま手元に新しい弦が1セット余っているなら、その楽器の標準的なゲージ(太さ)の新品弦にサラッと張り替えておくのは、良い心象を与える「ひと手間」になるかもしれません。
でも、そのためにわざわざ新しい弦を買いに行って、慣れない作業で時間をかけるくらいなら、その時間を使って、先ほどお話しした「ボディや金属パーツのクリーニング」の方を、丁寧に丁寧にしておく方が、よほど査定額への好影響は大きいような気がしますね。
複数のサービスで「相見積もり」を取る重要性
さて、最後の秘訣です。
そして、これが現実的に、あなたの楽器の買取価格を最大化するために、最も効果的な方法である可能性が高いです。
それは、「複数のサービスで『相見積もり』を取る」ことです。
前の章で、「5つのポイント」をクリアした優良なサービスを選びましょう、というお話をしました。
しかし、どれだけ優良なサービスであっても、いや、優良なサービス「だからこそ」、各社にはそれぞれの「強み」や「特色」が必ずあります。
例えば、A社はギブソンの50年代のヴィンテージ(いわゆるバーストなど)の超高額査定に絶対の自信と、海外の太い販売ルートを持っているかもしれない。
一方で、B社はフェンダーのジャパンヴィンテージや、70年代のモデルの再評価に特に力を入れていて、その分野ならどこにも負けない査定が出せるかもしれない。
また、その時々の「お店の在庫状況」によっても、査定額は大きく変動します。
「ちょうど今、このモデルの在庫が切れていて、探していたお客さんがいるんです!」という奇跡的なタイミングに当たれば、通常の相場よりもかなり高い金額を提示してくれる可能性だってあるわけです。
つまり、あなたの楽器にとっての「本当の最高の査定額」は、たった1社だけに出してみただけでは、わからないのです。
ですから、前の章のポイント4でも確認した「査定料・送料・キャンセル料(特に“返送料”!)」が、すべて無料であることをしっかり確認した上で、あなたが「ここは信頼できそうだ」と感じた優良なサービスを、最低でも2社、できれば3社ピックアップして、同じ楽器の査定を依頼してみること。
これを、私は強く、強く推奨します。
これはもう、車を売る時に複数の買取業者に査定してもらうのや、引っ越し業者を選ぶ時に相見積もりを取るのと、全く同じ理屈ですよね。
(査定士さんには少し申し訳ない気持ちもありますが、これも正当な権利です。)
1社だけの査定額や意見を鵜呑みにせず、複数の専門家に客観的に見てもらうことで、初めてその楽器の「現在の適正な最高相場」というものが見えてきます。
もちろん、宅配買取なら何度か梱包したり、出張査定なら日程を調整したりと、手間はかかります。
ですが、そのひと手間で、最終的な金額が数千円、数万円、場合によっては数十万円単位で変わる可能性もあるのが、ヴィンテージ楽器・ハイブランド楽器の世界です。
あなたが大切にしてきた楽器の価値を、最後の最後で最大化するために、この「相見積もり」というひと手間を惜しむべきではないと、私は強く思いますね。
ヴィンテージ楽器買取サービスの具体的な特徴を見てみよう

さて、これまでの章で、ヴィンテージ楽器・ハイブランド楽器を売るなら「専門の買取サービス」が最適であること、そして、その中から本当に信頼できる優良なサービスを見極めるための「5つのポイント」(実績、専門性、手数料、査定根拠、キャンセル対応)を詳しく解説してきました。
理論はわかった、と。
「じゃあ、具体的には、いったいどんなサービスがあるの?」というのが、皆さんが次に知りたいことですよね。
そのお気持ち、よくわかります。
ただし、まず最初にお断りしておきたいのですが、ここでは特定のサービスを「ここがおすすめNo.1です!」とか「高価買取ランキング!」といった形で推奨するつもりは、私には全くありません。
なぜなら、どのサービスがあなたにとっての「最適解」になるかは、あなたが売りたい楽器の種類や年代、コンディション、そしてあなたがお住まいの地域や、かけられる手間によって、本当に変わってくるからです。
ですから、ここでは、あくまで私(筆者)がこの記事を書くにあたって調べた中で、「ヴィンテージ楽器の買取実績が豊富そうだ」または「買取サービスとして非常に有名で、楽器も対象にしているな」と(私が勝手に)感じた、いくつかのサービスをピックアップして、その「公表されている特徴」を、先ほどの5つのポイントに沿って一緒にチェックしてみよう、という試みです。
そして、ここが一番大事なことですが、ここでご紹介する情報は、あくまで私が調べた時点での情報に過ぎません。
手数料の規定やキャンペーン、買取方法の詳細は、日々変わる可能性があります。
ですから、もし気になるサービスが見つかったら、最終的な判断は、必ず「あなたご自身の目」で、各サービスの公式サイトを隅々までしっかりと確認してくださいね!
その「見極める目」は、もうこれまでの章で養われているはずですから。
ケース1:イシバシ楽器(石橋楽器店)の特徴とチェックポイント
まず最初にご紹介するのは、おそらく楽器を弾く方なら誰もが一度は名前を聞いたことがあるであろう、「イシバシ楽器」さんです。
全国の主要都市に店舗を展開している、日本を代表する大手総合楽器店の一つですよね。
新品の販売はもちろんですが、中古楽器やヴィンテージ楽器の取り扱いにも非常に力を入れていることで知られています。
まず「ポイント1:買取実績」ですが、これはもう、大手ならではの圧倒的な物量があります。
公式サイトを拝見すると、買取実績を紹介するページも充実していますし、私が調べた限りでは「ヴィンテージ専門サイト(Vintage Guitar Gallery)」といった、ヴィンテージ好きにはたまらない専門ページまで用意されていました。
こうした専門ページをしっかり運営していること自体が、ヴィンテージの取り扱い実績が非常に豊富であることの裏付けになっている、と私は感じますね。
次に「ポイント2:専門性」。
公式サイトにも「各店舗には、買取査定専門スタッフが在籍」していると明記されていました。
これだけ長年、膨大な数の中古・ヴィンテージを扱ってきた実績があるわけですから、社内に蓄積されたデータと、専門スタッフさんの知識や鑑定眼は、非常に高いレベルにあることが期待できるのではないでしょうか。
「ポイント3:手数料」についてはどうでしょう。
私が公式サイトを見た限りでは、「査定料」「宅配買取の送料」「梱包キット代」「出張買取の出張料」「買取成立時の振込手数料」などは、基本的にすべて「無料」をアピールしているようです。
これは、査定を依頼する側としては、非常に安心できる材料ですよね。
最後に「ポイント4・5:査定根拠とキャンセル対応」です。
大手ならではの、しっかりとした査定システムで、査定根拠もきちんと説明してもらえることが期待できます。
ただ、私が一番気になっていた「宅配買取で、もし査定額に納得いかなかった場合の、キャンセル時の楽器の返送料」が、無料になるのか、それとも自己負担になるのか…。
これについては、私が調べた範囲では、公式サイト上でハッキリと「返送料無料」とは明記されているのを見つけられませんでした(※もちろん、私が見落としているだけか、申し込みの段階で説明されるのかもしれません)。
これは、前の章でもしつこくお話ししましたが、高価な楽器を送る前には、必ずご自身で確認すべき、非常に重要なポイントだと思いますね。
買取方法としては「店頭買取」「宅配買取」「出張買取」の3種類に幅広く対応しているようで、全国の店舗網を活かした利便性の高さは、さすが大手、といった印象です。
ケース2:TC楽器(ティーシーがっき)の特徴とチェックポイント
次にご紹介するのは、東京・新大久保に巨大な店舗ビルを構える、「TC楽器」さんです。
こちらは総合楽器店というよりは、まさに「中古・ビンテージ楽器の専門店」として、国内はもちろん、海外のギタリストやコレクターからも非常に有名なお店ですね。
(私自身も、楽器好きの一人として、一度はあのビルを探検してみたい…と憧れている、聖地のような場所です。)
まず「ポイント1:買取実績」ですが、これはもう、「専門店」ですから、推して知るべし、です。
公式サイトに掲載されている買取実績や、販売されている在庫のリストは、見ているだけでも時間が溶けていくような、圧巻の内容です。
特に、フェンダーやギブソンの、いわゆる「オールド」と呼ばれる年代の楽器に関する実績と情報の「深さ」は、他の一般的な楽器店とは一線を画すレベルではないか…と私は感じます。
「ポイント2:専門性」も同様ですね。
専門店の、しかも第一線で活躍されている専門スタッフさんですから、その知識と鑑定眼は、日本でもトップクラスであることが期待されます。
実際、TC楽器さんのウェブサイトでは、各年代の楽器の細かな仕様変更などをマニアックに解説する「資料集」のようなコラムが多数公開されていて、その知識の深さと楽器への愛情がひしひしと伝わってきます。
「とにかく、この楽器の価値をとことんまで分かってほしい!」という、マニアックな要望に応えてくれる可能性が、非常に高いお店かもしれませんね。
「ポイント3:手数料」についても、私が公式サイトを拝見した限り、「査定料」「送料」「梱包キット」「振込手数料」などは無料となっているようです。
そして、私が「おっ!」と思ったのが、次の「ポイント4・5:キャンセル対応」です。
TC楽器さんのウェブサイトには(私が調べた限りですが)、宅配買取における「キャンセル時の返送料」も「無料」である、と明記されているように見受けられました。
これは、前の章でその重要性をお話しした通り、査定を依頼する私たちにとって、これ以上ないほど大きな安心材料になります。
「査定額に自信があるからこそ、こういう対応ができるんだろうな」という、お店の姿勢の表れとも取れる、非常に素晴らしいポイントだと私は思いますね。
買取方法としては、新大久保の店舗での「店頭買取(持込)」と、「宅配買取」がメインのようです。
出張買取も対応しているようですが、エリアなどは確認が必要かもしれませんね。
ケース3:イケベ楽器店(池部楽器店)の特徴とチェックポイント
3番目にご紹介するのは、こちらも「イケベ楽器店」さん。
全国に多数の個性的な専門店を展開している、日本最大級の楽器店グループですよね。
(ロック系のギタリストなら、一度はお世話になったことがあるのではないでしょうか?私もです。)
「ポイント1:買取実績」についてですが、イケベ楽器店グループの大きな特徴は、グループの中に、特定のジャンルに特化した「専門店」を多数持っていることだと思います。
例えば、私が調べたところ、渋谷には「ハートマンヴィンテージギターズ」といった、その名の通りヴィンテージギターやベースを「専門」に扱う店舗が存在しています。
こうした専門店を長年運営していること自体が、グループ全体として、ヴィンテージ楽器の取り扱いや販売に関するノウハウ、実績が豊富であることの、何よりの証拠と言えるのではないでしょうか。
「ポイント2:専門性」に関しても、当然ながら、上記のようなヴィンテージ専門店には、その分野に特化した百戦錬磨の専門スタッフ(査定士)さんが在籍していると考えられます。
グループ全体の窓口(例えばウェブサイト)から買取を依頼した場合でも、最終的には、売却する楽器のジャンルに応じて、こうした専門知識を持ったスタッフさんの目で、しっかりと査定が行われることが期待できますね。
「ポイント3:手数料」は、どうでしょうか。
こちらも私が公式サイトを拝見する限り、やはり「査定料」「宅配買取の送料」「梱包キット」「振込手数料」などは無料をアピールしているようです。
このあたりは、大手サービスとしては、今や業界のスタンダードになっている、という感じがしますね。
そして、やはり気になる「ポイント4・5:査定根拠とキャンセル対応」です。
イシバシ楽器さんと同様、大手ならではの安心感のある査定対応が期待できると思います。
一方で、やはり気になるのが「宅配買取における、キャンセル時の返送料」の扱いです。
これも私が調べた範囲では、明確に「返送料も弊社が負担します(無料)」とは書かれていないように思いました(※これも、もちろん私が見落としているだけか、サービスが改定されている可能性も大いにあります)。
もう何度もお伝えして恐縮ですが、高価で愛着のある楽器を宅配便で送る前には、この「もしも」の場合の送料負担がどうなるのか、必ず最新の規定をご自身で確認すべき、本当に重要な点です。
買取方法としては、イシバシ楽器さんと同じく「店頭買取」「宅配買取」「出張買取」の3つに幅広く対応しているようです。
全国の店舗網や、それぞれの専門店の強みを活かしたサービス展開が魅力、といった印象ですね。
ケース4:バイセル(楽器買取)の特徴とチェックポイント
最後にご紹介するのは、テレビCMなどでも非常に有名な「バイセル」さんです。
こちらは、これまでの3つのケース(楽器店)とは少し毛色が異なり、着物や切手、ブランド品など、さまざまなジャンルの買取を幅広く手がける「総合買取サービス」の大手ですよね。
そのバイセルさんも、買取品目の一つとして「楽器」の取り扱いをされています。
まず「ポイント1:買取実績」ですが、会社全体としての買取実績は、テレビCMの放映量などからもわかる通り、膨大なものがあると考えられます。
ただ、私たちが知りたいのは「ヴィンテージ楽器・ハイブランド楽器」の買取実績ですよね。
公式サイトの楽器買取ページに、ギブソンやフェンダーといったブランドの買取事例がどれだけ具体的に(年代やモデル名、査定ポイントと共に)掲載されているか、というのは、TC楽器さんのような専門店と見比べる上で、重要なチェックポイントになるかもしれません。
「ポイント2:専門性」についてはどうでしょう。
バイセルさんは総合買取サービスですので、査定士さんは楽器だけでなく、さまざまなジャンルの商材を鑑定できる、幅広い知識をお持ちのプロフェッショナルだと推察されます。
一方で、私たちがこの記事で求めている「ヴィンテージギターの、年代特有の細かな仕様の違い」や「パーツのオリジナル度」といった、非常にマニアックな部分まで、楽器専門店と同じレベルで見極め、評価してくれるかどうか…。
ここは、正直なところ、実際に査定を依頼してみないとわからない部分かもしれませんね。
ウェブサイトに「楽器専門の鑑定士が在籍」といったアピールが強くされているかどうかも、確認してみると良いと思います。
「ポイント3:手数料」と「買取方法」は、バイセルさんの大きな強みだと感じます。
私が調べた限りでは、「査定料」「出張買取の出張料・査定料」「宅配買取の送料」などは、軒並み「無料」をアピールされていました。
特に「出張買取」は全国規模で対応されている印象で、そのスピーディな対応力は、総合買取大手ならではの魅力ですよね。
「楽器が重くて運べない」「自宅で手軽に査定してほしい」というニーズには、非常に強く応えてくれそうです。
「ポイント4・5:査定根拠とキャンセル対応」ですが、出張買取の場合、その場で査定士さんと対面で話ができます。
そこで査定額の根拠をしっかり質問できますし、もし金額に納得できなければ、その場でキャンセルを伝えれば良いので、宅配買取のような「返送料」の心配がないのは、大きなメリットだと感じます。
もし宅配買取を利用した場合の「キャンセル時返送料」がどうなるかは、こちらも申し込む前に、しっかり確認が必要ですね。
私の印象としては、TC楽器さんのような「ヴィンテージの価値をとことん追求したい」という専門性重視の方とは少しタイプが異なりますが、「大手の安心感のもと、とにかく手軽に、スピーディに出張買取で査定してほしい」「楽器以外にも、まとめて売りたいものがある」といった方には、有力な選択肢の一つになるのかもしれません。
…さて、いくつか具体的なサービスの特徴を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
もちろん、ここで挙げた以外にも、例えば検索結果にあった「ハイパーギターズ」さんのような、特定の年代に強みを持つヴィンテージ専門店や、大阪の「GUITAR TRIBE」さんのように、地域に根ざしながら高い専門性を持つ素晴らしいお店も、全国にはたくさんあります。
一番大切なのは、この記事で学んだ「5つの選び方のポイント」をあなた自身の「ものさし」にして、ウェブサイトをじっくりと読み比べ、「ここなら、私の大切な楽器を信頼して任せられそうだ」と、あなたが心から思えるサービスを見つけることです。
まとめ:大切な楽器の価値を、次の世代へ正しくつなぐために
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
ここでは、「ヴィンテージ楽器やハイブランド楽器を、その価値がわかる場所で、正しく高く売りたい」という、切実な悩みにお答えするために、さまざまな角度から情報をご紹介してきました。
一般的なリサイクルショップや個人間取引では、その真価を見極めるのがいかに難しいか、そして、その価値を正しく評価してもらうためには「楽器専門の買取サービス」がいかに最適であるか、その理由がお分かりいただけたかと思います。
ただ、専門サービスならどこでも良いわけではなく、本当に信頼できる相手を見極めるための「5つの選び方のポイント」や、査定額をもうひと押しするための「秘訣」も重要でしたね。
あなたが長年大切にしてきた楽器を手放すことは、もしかしたら、少し寂しいことかもしれません。
でも私は、それは同時に、その楽器が持つ素晴らしい「価値」や「音色」を、次の世代の誰かへと「つないでいく」ための、とても大切で、素晴らしいバトンパスのような行為でもあると思うのです。
その大切なバトンパスを失敗させないために。
あなたの愛器の価値を正しく評価し、次のオーナー様へと責任を持って橋渡ししてくれる、最高のパートナー(買取サービス)を見つけるために。
ここでご紹介した内容が、少しでもあなたのお役に立てば、これほど嬉しいことはありません。
あわせて読みたい|楽器売却の悩み別ガイド
ここでは、特に「ヴィンテージ楽器」や「ハイブランド楽器」を、その価値がわかる専門の相手に「高く」「正しく」売る方法について、詳しく掘り下げてきました。
ですが、いざ「楽器を売ろう」と考え始めると、他にも色々な疑問や、ご自身の状況に合わせた悩みが出てくるものですよね。
例えば、「そもそも、買取専門店以外も含めた、全ての売り方をもう一度フラットに比較したい」とか、「売りたい楽器が、実は壊れているんだけど…」といったケースもあるかと思います。
そんな、あなたの今抱えている具体的な悩みや状況に合わせて、参考になりそうな記事もいくつか用意しています。
もし気になるトピックがあれば、ぜひ、こちらの記事もあわせてチェックしてみてくださいね。
あなたの楽器売却に関する不安が、少しでも解消できれば嬉しいです。
【楽器を売る手段(店舗, アプリ, ネット)を比較し、最適な方法を選びたい方へ】
本記事では「専門買取」を深掘りしましたが、フリマアプリやオークション、近所のお店も含めた「全ての売り方」を、もう一度公平に比較検討して、自分にとっての最適な方法を選びたい、という方もいらっしゃると思います。
そんな方には、こちらの記事が参考になるかもしれません。
→ 楽器を売るならどこがいい?買取業者・フリマアプリ・オークション徹底比較
【フリマアプリ(個人売買)の具体的なリスクや注意点を知りたい方へ】
「やっぱり、メルカリやヤフオクでの個人売買が気になっている…」
「うまくいけば一番高く売れるかも?」
そう考える前に、知っておかないと本当に怖い「致命的なデメリット」があります。
特に、デリケートな楽器ならではの「梱包の大変さ」や「送料トラブル」、「手数料負け」といった具体的な注意点を詳しく知りたい方には、こちらがおすすめです。
→ 楽器をメルカリ・ヤフオクで売るメリットと致命的なデメリット
【地元のリサイクルショップでの買取について、実態を知りたい方へ】
「正直、一番手っ取り早いのは、近所の総合リサイクルショップなんだけど…やっぱりダメ?」
「専門買取と比べて、具体的にどれくらい査定が違うものなの?」
本記事でも「専門知識がないからオススメしない」と書きましたが、その実態や、専門買取とのメリット・デメリットをより詳しく知っておきたい、という場合は、こちらの記事を一度読んでみてください。
→ 地元のリサイクルショップに楽器を持ち込むのはアリ?専門買取との違い
【壊れた楽器(ジャンク品)を売りたい、処分したい方へ】
「そもそも、今回売りたいと思っている楽器が、音が出なかったり、壊れていたりする『ジャンク品』なんだけど…」
「こんなものでも売れるの? それとも、お金をかけて修理してから売った方が、結果的に得になるの?」
そんな、故障・破損した楽器の処分方法や、修理費用との比較で悩んでいる方には、こちらの記事がきっと役立つはずです。
あなたの愛着ある楽器が、一番納得のいく形で、次のオーナーさんへとつながっていくことを願っています。
