ふと部屋を見渡したとき、昔はあんなに夢中になって弾いていたのに、今はもうすっかり触らなくなってしまった楽器が、静かに眠っていませんか。
たくさんの思い出が詰まっているから、粗大ごみとして「捨てる」なんて、とてもじゃないけどできないですよね。
かといって、ずっとお部屋に置いておくのも、正直ちょっと場所を取るなぁ…と感じているかもしれません。
「楽器買取りサービス」で売る、というのも一つの手です。
でも、大切にしてきた楽器ほど、「お金に変えてしまうのは、なんだかちょっと寂しいな…」というお気持ち、すごくよく分かります。
「お金にならなくてもいいから、どうせなら、どこかで誰かの役に立てるような、そんな手放し方はないかな?」
ここでは、あなたの大切な楽器を「寄付」や「譲渡」という形で、必要としている誰かへ届ける方法について、詳しくご紹介していきます。
楽器を手放す方法は「売る」だけじゃない?寄付・譲渡という選択肢

家に、もう使わなくなってしまった楽器はありませんか。
学生時代に夢中になったギターとか、お子さんが昔習っていたピアノとか。
思い入れがあるから、かんたんには捨てられないですよね。
かといって、ずっと家に置いておくのも場所を取ってしまうし…。
そんな時、多くの人が最初に思い浮かべるのが「楽器買取りサービス」かもしれません。
たしかに、お金になればラッキーですし、手っ取り早い方法だと思います。
でも、なんだか「売る」っていうのも、ちょっと寂しい気がしませんか。
特に大切にしてきた楽器だと、お金に変えてしまうことに少し抵抗がある…なんてお気持ち、すごくよくわかります。
実は、楽器を手放す方法って「売る」か「捨てる」かだけじゃないんですよ。
ここでは、「寄付」や「譲渡」という、もう一つの選択肢について詳しく見ていきたいと思います。
あなたの大切な楽器が、どこかでまた誰かの役に立つかもしれない。
そんな素敵な可能性を探ってみませんか。
大切にしてきた楽器、どう手放しますか?
クローゼットの奥に、昔使っていたアコースティックギターが眠っていませんか。
お部屋の片隅に、カバーがかかったままのキーボードが置いてあったり。
もう何年も弾いていないけれど、たくさんの思い出が詰まっている。
そういう楽器って、なかなか手放す決心がつかないものですよね。
私も昔、夢中になって練習したベースがありますが、今はもうほとんど触っていません。
引っ越しや、新しい趣味ができたとか、理由は人それぞれだと思います。
でも、壊れているわけじゃないし、まだまだ使える状態。
だからこそ、粗大ごみとして処分するのは、なんだか楽器に申し訳ないような気がして…。
じゃあ、リサイクルショップや楽器買取り店に持っていくか、となりますよね。
それも、もちろん立派な選択肢の一つです。
ただ、思い入れが強い楽器ほど、「いくらになるか」だけで判断されてしまうのは、ちょっと悲しいなと感じることもあるかもしれません。
もしかしたら、古いモデルだから値段がつかない、なんて言われてしまうかも…という不安もありますよね。
「お金にならなくてもいいから、誰かに使ってほしい」。
もしあなたが少しでもそう思うなら、「寄付」や「譲渡」という方法がしっくりくるかもしれません。
「売る」以外の方法、寄付や譲渡とは?
「寄付」や「譲渡」って、言葉は聞いたことがあるけれど、具体的にどういうこと?と思うかもしれませんね。
すごく簡単に言うと、どちらも「お金に変える」のではなく、「次の使い手に楽器を託す」方法です。
もう少しだけ、言葉の意味を見てみましょうか。
「寄付」というのは、主にNPOやNGO、学校、施設といった「団体」に対して、楽器を無償で贈ることを指します。
例えば、楽器が不足している発展途上国の子どもたちへ届けたり、国内の児童養護施設や学校の部活動で使ってもらったり。
社会貢献的な意味合いが強いのが特徴ですね。
一方で「譲渡」というのは、知人や友人、または地域のコミュニティサイト(ジモティーみたいな)を通じて、「個人」や「特定のグループ」に譲り渡すことを指すことが多いです。
ご近所さんや、SNSで知り合った人に「よかったら使ってください」と直接手渡すイメージでしょうか。
ここでは、主に「寄付」を中心にしつつ、広い意味で「楽器を必要としている誰かに無償で託す方法」として、「譲渡」も含めて考えていきたいと思います。
「売る」か「捨てる」かの二択しかないと思っていた方にとって、これはとても心温まる「第三の選択肢」になるんじゃないでしょうか。
楽器を寄付・譲渡する際の基本的な考え方
「寄付」や「譲渡」って聞くと、なんだかとても良いことのように聞こえますよね。
もちろん、その通りなんですが、一つだけ、とても大切な心構えがあります。
それは、「寄付・譲渡は、不要品処分とは違う」ということです。
どういうことかというと、これはあくまで「善意」や「ボランティア」で行うもの。
つまり、「自分が不要だから引き取ってほしい」という気持ちよりも、「相手が必要としているから贈る」という、相手のニーズが最優先になるんです。
ここが、買取りサービスとの大きな違いかもしれませんね。
買取りなら、多少状態が悪くても値段がついたり、修理して再販されたりします。
でも、寄付の場合は、受け取った側が「すぐに使える状態」であることが求められるケースがほとんどです。
壊れていたり、ひどく汚れていたりすると、受け入れ先にとっては修理費用や処分費用がかかってしまい、逆に迷惑になってしまうことも…。
また、楽器を送るための送料や、大きな楽器の運搬費用も、基本的には寄付する側(つまり自分)の負担になることが多いです。
「タダで引き取ってもらえてラッキー」という感覚ではなく、「私の楽器を、ぜひ役立ててください」という気持ちで臨むことが大切ですね。
この意識をしっかり持っておかないと、「こんなはずじゃなかった…」と、お互いにとって残念な結果になるかもしれないので、ここは押さえておきたいポイントです。
どんな人が楽器の寄付を検討している?
では、実際にどんな人が「寄付」や「譲渡」という方法を選んでいるんでしょうか。
きっと、これを読んでくださっているあなたと、似たような状況の方が多いと思いますよ。
例えば、一番よく聞くのは、お子さんが成長して使わなくなった楽器のケースですね。
ピアノやエレクトーン、バイオリンなど、子供の頃に習っていたけれど、進学や就職で家を出て、そのままになっている…。
「場所も取るし、いつかは手放さないと」と思いつつ、「でも、あの頃頑張って練習してたしなぁ」と、なかなか処分できない。
そんな時、「どうせなら、また別のお子さんに使ってほしい」と考える親御さんは多いようです。
ほかにも、学生時代にバンド活動で使っていたギターやベース、ドラムセットなんかもそうですね。
青春時代の熱い思いが詰まっている分、お金に変えるのは忍びない、と感じる方もいるでしょう。
また、引っ越しが決まって、どうしても新しい住居に持っていけない、という場合もあります。
「まだまだキレイで十分使えるのに…」という楽器を手放すなら、やっぱり誰かに活かしてほしいですよね。
このように、楽器そのものの価値(値段)よりも、「誰かに使ってほしい」「役立ててほしい」という「思い」を重視する人が、寄付や譲渡を選んでいる感じがします。
社会貢献につながる楽器のセカンドライフ
寄付や譲渡の最大の魅力は、やっぱり「社会貢献ができる」という点だと思います。
自分が大切にしてきた楽器が、新しい場所で「セカンドライフ」を始めるって、なんだかワクワクしませんか。
例えば、あなたが寄付した楽器が、NPO団体を通じて海外に送られたとします。
その楽器が、経済的な理由で楽器を手にすることができなかった国の子供たちの手に渡り、初めて音を出す喜びに触れるきっかけになるかもしれません。
目を輝かせてギターをかき鳴らす姿を想像すると、胸が熱くなりますよね。
あるいは、国内の児童養護施設や、フリースクールなどに寄付されれば、音楽を通じて子供たちの心を癒したり、新しい表現の方法を見つける手助けになったりするかもしれません。
学校の吹奏楽部や軽音楽部に届けば、楽器が足りなくて練習できなかった生徒さんが、コンクールを目指せるようになるかも。
もちろん、買取りサービスで売ってお金を得るのも、一つの満足感です。
でも、寄付や譲渡によって得られるのは、「誰かの役に立てた」「自分の楽器がまた活躍している」という、お金では買えない「心の満足」なんじゃないかな、と思います。
押入れの奥で静かに眠り続けているよりも、楽器にとっても、その方がずっと幸せな「第二の人生」だと言えそうですね。
楽器を寄付・譲渡する4つのメリット

前の章では、楽器を手放す方法として「寄付・譲渡」という選択肢があることをお話ししましたね。
「売る」という方法には、もちろん「お金になる」という分かりやすいメリットがあります。
では、「寄付・譲渡」には、どんな良いことがあるんでしょうか。
お金にはならないかもしれないけれど、寄付だからこそ得られる、心温まるメリットがたくさんあるんですよ。
ここでは、主なメリットを4つの視点から見ていきたいと思います。
「売る」か「寄付」か、どちらが自分の気持ちにしっくりくるか、考えるヒントにしてみてください。
人によっては、お金よりもずっと価値がある、と感じるメリットばかりかもしれません。
特に「思い入れが強くて、なかなか手放せない…」と感じている方には、ぜひ読んでいただきたい内容です。
メリット1:誰かの役に立つ「社会貢献」が実感できる
これが、寄付を選ぶ一番大きな理由かもしれませんね。
「自分の楽器が、どこかで誰かの役に立っている」。
そう実感できるのは、何物にも代えがたい喜びだと思います。
買取りサービスで売った場合、その楽器が次にどんな人の手に渡るのか、知ることはほとんどありませんよね。
もちろん、それはそれで、楽器が次の市場へ旅立っていくわけですが、なんだか少し寂しい感じもします。
でも、寄付の場合は違います。
寄付先の団体にもよりますが、ホームページや活動報告などで、寄付した楽器がどのように使われているかを知ることができる場合もあります。
例えば、あなたが寄付したギターを、目を輝かせながら弾いている海外の子供たちの写真を見たら…どうでしょう。
「ああ、この子のところに届いたんだな」って、すごく温かい気持ちになりませんか。
施設や学校に寄付した場合でも、「おかげで新しい部活動が始められました」なんて感謝の言葉をもらえるかもしれません。
自分にとっては「もう使わない楽器」だったとしても、それが誰かにとっては「喉から手が出るほど欲しかった宝物」になる。
そんな「つながり」や「社会貢献」を具体的に感じられるのが、寄付の最大のメリットなんじゃないかな、と思います。
メリット2:楽器が本当に必要とされる場所で活かされる
大切にしてきた楽器だからこそ、「ただ眠らせておくだけなのは、楽器に申し訳ない」という気持ち、ありませんか。
楽器って、やっぱり「音を鳴らしてこそ」のものだと思うんです。
寄付や譲渡は、そんな楽器の「本来の役目」を、もう一度果たさせてあげる素敵な方法です。
しかも、「本当に必要としている人」の元へ届けられる可能性が高いんです。
例えば、経済的な理由で楽器が買えない子どもたちや、予算が限られていて備品が揃えられない学校の部活動。
そういった場所では、新しい楽器でなくても、演奏できる楽器は本当に重宝されます。
リサイクルショップの店頭に並ぶのもいいですが、もしかしたら、ずっと売れ残ってしまうかもしれない…。
でも、寄付であれば、明確な「ニーズ」がある場所へ、直接届けることができるんですよね。
あなたが昔、夢中になって練習したその楽器が、今度は新しい場所で、別の誰かの夢を乗せて音を奏で始める。
それは、楽器にとっても、きっと幸せな「セカンドライフ」ですよね。
押入れの中で静かにホコリをかぶっているよりも、ずっとずっと素敵なことだと思いませんか。
「この楽器の価値を、本当に分かってくれる人に使ってほしい」。
そんな願いを叶えられるのが、寄付のいいところですね。
メリット3:処分費用がかからず、むしろ感謝されることも
これは、ちょっと現実的なメリットの話になりますね。
特に、ピアノやエレクトーン、ドラムセットといった大型の楽器。
もし、これを普通に「粗大ごみ」として処分しようとすると、結構な費用がかかってしまいますよね。
自治体によっては引き取ってもらえなかったり、専門の業者さんに依頼しなくてはいけなかったり。
そうなると、数万円単位でお金がかかることも珍しくありません。
「手放したいだけなのに、逆にお金がかかるのか…」と、ちょっと憂鬱になってしまいます。
その点、寄付という形を選べば、この「処分費用」がかからない、というのは大きなメリットだと思います。
もちろん、次の章でお話ししますが、寄付先への送料や運搬費が自己負担になるケースは多いです。
でも、高額な処分費用と比べたら、結果的に安く済むこともあります。
それに、一番の違いは、お金を払って「処分」してもらうのとは違って、寄付は「ありがとう」と感謝されることなんです。
同じようにお金(送料)がかかったとしても、「迷惑料」として払うのと、「届けてくれてありがとう」と言われるのとでは、心の持ちようが全然違いますよね。
どうせ手放すなら、気持ちよく手放したい。
そんな時に、費用面でも精神面でも助かるのが、このメリットですね。
メリット4:罪悪感なく、気持ちよく楽器を手放せる
大切にしてきた楽器だからこそ、「捨てる」のにはすごく抵抗がありますよね。
「もったいない」という気持ちや、楽器への「申し訳なさ」で、罪悪感(ざいあくかん)を感じてしまう…。
その気持ちがブレーキになって、何年も手放せないまま…という方も多いと思います。
また、「売る」場合でも、もし査定額がすごく低かったら、どうでしょう。
例えば、何十万円もした楽器が、たった数千円です、なんて言われたら。
「私の思い出は、その程度の価値なのか…」と、なんだかガッカリしてしまうかもしれません。
もちろん、市場価値としてはそれが妥当なのかもしれませんが、気持ちが追いつかないですよね。
寄付や譲渡は、そうした「罪悪感」や「ガッカリ感」から解放してくれる方法です。
お金という価値基準ではなく、「役立ててほしい」という「思い」を軸に行動するからです。
「捨てる」のではなく、「活かす」ために手放す。
「買い叩かれる」のではなく、「感謝されて」受け取ってもらう。
この違いは、ものすごく大きいと思いませんか。
「この楽器も、きっと次の場所で頑張ってくれるはず」。
そう思うことができれば、長年連れ添った楽器とも、前向きな気持ちで「さよなら」ができます。
心の整理をつける、という意味でも、寄付はとても優れた選択肢だと感じます。
(補足)寄付金控除の対象になるケースはある?
「寄付」と聞くと、「寄付金控除(きふきんこうじょ)」ってどうなるんだろう?と気になる方もいるかもしれませんね。
寄付金控除というのは、特定の団体に寄付をした場合に、税金(所得税や住民税)が一部戻ってくる仕組みのことです。
「ふるさと納税」が有名なので、イメージしやすいかもしれません。
じゃあ、楽器の寄付でも対象になるのか?というと…これは、ちょっと注意が必要なようです。
私も気になって少し調べてみたんですが、一般的に、寄付金控除の対象となるのは「お金(金銭)」での寄付がメインとされているみたいです。
楽器のような「モノ(物品)」の寄付は、対象外となるケースも多いようです。
ただ、絶対に不可能というわけでもなく、例えば寄付先が「認定NPO法人」や「公益財団法人」などで、その団体が物品寄付の金額換算(時価評価)と受領証の発行に対応してくれる場合は、控除の対象になる「可能性」もある、と言われています。
とはいえ、その評価方法や手続きはかなり複雑なようですし、団体によって対応はまちまちです。
なので、「税金が戻ってくるかも」という期待をメインにするのは、あまりおすすめできないかもしれません。
これはかなり専門的な話になりますので、もし控除を希望される場合は、寄付を検討している団体に「物品寄付でも寄付金控除の対象になりますか?」「受領証は発行されますか?」と、必ず事前に確認するようにしてくださいね。
確実な情報が知りたい場合は、税務署や税理士さんに相談するのが一番だと思います。
楽器を寄付・譲渡する前に知っておきたい3つのデメリットと注意点

前の章では、寄付の素敵なメリットをたくさんお話ししました。
「社会貢献ができる」とか「気持ちよく手放せる」とか、聞いていると「やっぱり寄付っていいな!」と思いますよね。
でも、行動に移す前に、ちょっとだけ立ち止まって考えてほしいことがあるんです。
実は、寄付や譲渡には、メリットばかりじゃなくて、ちょっと大変な部分や、知っておかないと損をしてしまうかもしれない「デメリット」もあるんですよ。
良い面だけを見て進めてしまうと、「なんだか、思ったより面倒だな…」とか「これって、逆に迷惑だったかも…」なんてことになりかねません。
そうならないためにも、ここでしっかりデメリットや注意点を押さえておくのって、すごく大事なことだと思います。
全部を知った上で、「それでも私は寄付がいいな」と思えたなら、その時はきっと、心から納得して楽器を送り出せるはずですからね。
デメリット1:手間や手続きが意外とかかる
これが、一番「思ってたのと違う…」となりやすいポイントかもしれません。
「寄付する」って言うと、なんだか「はい、どうぞ」と渡して終わり、みたいに簡単なイメージがありませんか。
でも、実際は結構やることが多いんです。
まず、どこに寄付するか、その団体を探すところから始まりますよね。
インターネットで「楽器 寄付」と検索しても、たくさんの団体が出てきます。
その中から、自分の楽器(例えばギター)を受け入れているか、活動内容に共感できるか、一つひとつホームページを見て調べる必要があります。
良さそうなところが見つかったら、次はメールや電話で問い合わせです。
「こういう楽器なんですが、今、受け付けていますか?」とか「状態はこんな感じです」とか。
団体によっては、専用の申し込みフォームに入力したり、楽器の写真を送ったりする必要もあるかもしれません。
楽器買取りサービスだと、ネットで申し込んだら、あとは集荷を待つだけ、という手軽なところも多いですよね。
それと比べると、寄付はやっぱり「自分で動く」部分が多いので、時間的なコスト、つまり「手間」がかかるなぁ、と感じる方は多いと思います。
ちょっと面倒くさい作業が続くので、「もういいや」となってしまう気持ちも、少しわかりますね。
デメリット2:送料や運搬費用は自己負担が基本
これも、かなり大きなポイントです。
メリットのところで「処分費用がかからない」とお話ししましたが、じゃあ、手放すのにお金が一切かからないかと言うと、そういう訳ではないんです。
寄付先に楽器を送るための「送料」や、ピアノやドラムセットみたいな大きな楽器を運ぶ「運搬費用」。
これは、基本的には「寄付する側(自分)」が負担するケースがほとんどだと思っておいた方がいいです。
寄付を受け入れるNPOなどの団体は、限られた資金の中で活動していることが多いですよね。
なので、「着払い」での受け付けはしていないところが大半なんです。
ギターやバイオリンくらいなら、宅配便で数千円かもしれませんが、問題は大型楽器です。
例えばピアノの運送なんかは、専門の業者さんに頼むと、数万円から、場所によっては十万円以上かかることも…。
「処分費用よりは安いかもしれないけれど、結構な出費だな…」と感じますよね。
買取りサービスの中には「出張査定無料」とか「送料・運搬費無料」をうたっているところも多いので、そこと比べると、金銭的な負担はデメリットと言えるかもしれません。
「善意」で送るものだからこそ、その「善意」を届けるためのコストも自分で持つ、というのが基本の考え方になるようです。
デメリット3:すべての楽器が受け入れられる訳ではない
「よし、手間も送料も覚悟の上だ!この楽器を寄付するぞ!」と決心したとします。
でも、残念ながら、あなたのその「思い」と、あなたの「楽器」が、必ずしも受け入れられるとは限らないんです。
ここが、寄付の難しいところであり、一番の注意点かもしれません。
「寄付したい」という気持ちはとても尊いんですが、受け入れる側にもいろいろな「事情」があるんですよね。
具体的に、どういうケースで断られてしまう可能性があるのか、次の2つの注意点で詳しく見ていきましょう。
ここを知らないと、「せっかく送ったのに、突き返されてしまった…」なんて、一番悲しい結果になるかもしれないので、大事なところですよ。
注意点:楽器の状態(壊れ・汚れ)はシビアに確認される
まず、楽器の状態です。
前の章でも少し触れましたが、寄付先は「不要品処分」の場所ではありません。
「次に使う人が、すぐに使える状態」であることが、大前提になることが多いです。
例えば、弦が切れている、音が出ない、キズや汚れがひどい、パーツが足りない…。
こういう状態だと、受け取った側が修理したり、クリーニングしたりする必要が出てきますよね。
そのための費用や人手が、寄付先にはない場合がほとんどなんです。
ひどい場合には、修理もできず、結局その団体がお金を払って「処分」しなくてはならない…なんてことにも。
良かれと思って送ったものが、逆に相手の負担になってしまうのは、お互いにとって本当に不幸なことですよね。
なので、「自分だったら、これをもらって嬉しいか?」という視点で、楽器の状態を厳しめにチェックすることが大切です。
「ちょっと壊れてるけど、直せば使えるし」という考えは、寄付の場合はちょっと待った方がいいかもしれません。
買取りサービスなら「ジャンク品OK」のところもありますが、寄付は「即戦力」が求められる、と考えた方が良さそうですね。
注意点:ニーズのない楽器は寄付できないことも
もう一つの注意点は、「楽器の状態はバッチリ。すごくキレイ!」という場合でも、断られるケースがあることです。
それは、「寄付先のニーズ(需要)と合っていない」場合です。
どういうことかというと、例えば、ある団体が「発展途上国にギターを送る活動」をしていたとします。
そこに、あなたがすごく立派な「お琴(こと)」を寄付したい、と申し出たらどうでしょう。
お琴は素晴らしい楽器ですが、その団体の活動目的とは合わないですよね。
また、こういうケースもあります。
例えば、学校の吹奏楽部に寄付しようと思っても、「トランペットはもう十分足りているから、今はチューバが欲しい」という状況かもしれません。
あるいは、団体が楽器を保管しておく倉庫が、もういっぱいで、新しい楽器を受け入れるスペースがない、という物理的な理由もあります。
「寄付なら何でも喜んで!」という訳ではなく、あくまで「今、必要としているもの」とマッチングしないと、寄付は成立しづらいんです。
だからこそ、事前の問い合わせが、すごく大事になってくるんですね。
寄付先・譲渡先とのミスマッチに注意
ここまでお話ししてきたデメリットや注意点をまとめると、一番怖いのは「寄付先・譲渡先とのミスマッチ」だと言えます。
「良かれと思ってやったのに…」という、こちらの善意が空回りしてしまうことですね。
送料を自己負担して、手間をかけて梱包して送ったのに、相手にとっては「不要なもの」で、むしろ「迷惑」になってしまったら…。
想像しただけで、すごく悲しい気持ちになりますよね。
そうならないために、私たちができる一番大事なことは、やっぱり「事前の確認」です。
「この楽器は、今、本当に必要とされていますか?」
「状態はこれこれこういう感じですが、このままで使っていただけますか?」
「送料は元払いで送りますが、受け取りは可能ですか?」
こういったことを、ちゃんと相手に問い合わせて、双方合意の上で送る。
これが、お互いにとって「良い寄付」にするための、最低限のマナーであり、一番のコツなんだと思います。
一方的に送りつける「押し付け寄付」にだけは、ならないように気をつけたいですね。
少し手間はかかりますが、このひと手間を惜しまないことが、大切にしてきた楽器を気持ちよく送り出すことにつながるんだと思います。
楽器を寄付できる団体や場所はどこ?主な寄付先3つのタイプ

さて、前の章までで、楽器を寄付するメリットと、ちょっと大変なデメリットや注意点を見てきましたね。
「うん、送料がかかったり、手間がかかったりするのは分かった。
それでも、やっぱり誰かの役に立ててほしい!」。
もし、あなたがそう思えたなら、次のステップは「どこに寄付するか」を探すことです。
でも、いざ「楽器 寄付」と調べてみると、いろんな団体や施設が出てきて、正直どこがいいのか迷ってしまう…という方も多いと思います。
寄付先って、実はいくつかタイプがあるんですよ。
ここでは、主な寄付先を大きく3つのタイプに分けて、それぞれの特徴を解説していきます。
あなたの「こんな風に役立ててほしい」という思いと、一番マッチする場所はどこか、一緒に考えてみましょう。
タイプ1:NPO・NGO団体(国内外の支援)
まず一番イメージしやすいのが、NPOやNGOといった非営利団体を通じた寄付かもしれませんね。
これらの団体は、例えば「楽器が買えない発展途上国の子どもたちに届ける」とか、「国内の児童養護施設や、経済的に困難な家庭の子に音楽教育の機会を提供する」といった、はっきりとした目的(ミッション)を持って活動しています。
私たちが直接、海外の子どもたちや遠くの施設に楽器を届けるのは、すごく大変ですよね。
NPOやNGOは、私たちの「役立ててほしい」という善意と、楽器を「必要としている」現場とを繋いでくれる、「橋渡し役」のような存在なんです。
ホームページなどで、どんな楽器を募集しているか、どんな活動をしているかが分かりやすく書かれていることが多いのも特徴ですね。
ただし、注意点もあります。
特に海外への輸送は、ものすごくコスト(輸送費や関税など)がかかります。
そのため、受け入れる楽器の種類をかなり厳選していることが多いです。
例えば「アコースティックギターはOKだけど、電源が必要な電子ピアノはNG」とか、「壊れていない、すぐに使えるもの限定」といった条件がしっかり決まっています。
「広く社会の役に立ちたい」「子どもたちの支援に興味がある」という方にとっては、一番やりがいを感じられる寄付先なんじゃないかな、と思います。
タイプ2:学校・教育機関(吹奏楽部や軽音楽部など)
次に考えられるのが、小中学校や高校、大学といった「学校」や、地域の「教育機関」に直接寄付する方法です。
特に、吹奏楽部や軽音楽部、マーチングバンド部などがある学校では、楽器が不足していたり、古くなった楽器を買い替えたいけれど予算がなかったり…という悩みを抱えていることが結構あるようです。
もし、あなたのお子さんが通っている学校や、ご自身の母校、あるいは地元の学校で楽器を必要としていることが分かれば、そこへ寄付するのも素敵な選択肢ですよね。
このタイプのメリットは、寄付した楽器が「身近な場所」で使われる、という実感を得やすいことかもしれません。
「あの学校の生徒さんたちが、私のピアノを弾いてくれてるんだな」と想像しやすいのは、嬉しいポイントだと思います。
ただ、この方法は「マッチング」が少し難しいのが難点です。
いきなり学校に電話して「楽器いりませんか?」と聞くのも、ちょっと勇気がいりますし、学校側もいきなり言われても困ってしまいますよね。
まずは、地域の教育委員会のホームページなどで、寄付(寄贈)の窓口がないか調べたり、学校のホームページで部活動の様子を確認したり、といった下調べが必要になりそうです。
「この学校の、この部活で使ってほしい!」という明確な相手がいる場合には、チャレンジしてみる価値があると思います。
タイプ3:地域の施設やリサイクルショップ(専門外も含む)
最後は、もう少し範囲を広げた、地域の施設などへの寄付です。
例えば、児童養護施設や、高齢者向けのデイサービス、地域のコミュニティセンターなどですね。
こういった場所では、専門的な演奏のためというよりは、レクリエーション活動の一環として「みんなで音を出して楽しむ」ために楽器を必要としている場合があります。
学校の部活動ほど「このメーカーの、この型番じゃないと」といった厳密なニーズは少ないかもしれません。
「多少古くても、ちゃんと音が出て、みんなで楽しめるなら」と、比較的柔軟に受け入れてくれる可能性もあります。
また、広い意味では、リサイクルショップの中にも「買取り」ではなく「寄付」として物品を受け付け、その売上をどこかの団体に寄付する、といった活動をしているお店もあるようです。
このタイプは、NPOや学校と比べると、寄付した楽器が「その後どうなったか」が見えにくいかもしれません。
でも、「とにかく、捨てるよりは誰かに使ってもらいたい」「地元で役立ててほしい」という気持ちが強い方には、身近な選択肢になるんじゃないでしょうか。
いずれにしても、まずは電話などで「今、楽器は必要ですか?」と確認してみるのが大事ですね。
寄付先を選ぶ際の5つのチェックポイント
さて、3つの寄付先のタイプを見てきましたが、いざ選ぶとなると、やっぱり迷いますよね。
前の章でもお話しした「ミスマッチ(良かれと思ったのに、迷惑になってしまった…)」を避けるためにも、寄付先を決める前には、いくつか確認しておきたいことがあります。
「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、私が大事だと思う5つのチェックポイントをまとめてみました。
これを一つひとつ確認していけば、きっとあなたにピッタリの寄付先が見つかるはずです。
ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、この「ひと手間」が、お互いがハッピーになるために、すごく重要なんですよ。
ポイント1:活動内容や目的に共感できるか
まず、一番大事にしてほしいのが、これかもしれません。
「その団体(や施設)が、何のために活動しているか」に、あなたが共感できるかどうか、です。
例えば、あなたが「やっぱり、日本国内の恵まれない子どもたちに使ってほしい」と思っているのに、「主に海外支援です」という団体に寄付したら、ちょっとモヤモヤしませんか。
逆に、「自分の楽器で、世界の子どもたちを笑顔にしたい!」と思っているなら、海外支援に強いNPOはピッタリですよね。
「地元の音楽文化を盛り上げたい」なら、地域の学校や施設が合っていると思います。
せっかくの「善意」ですから、自分自身が「ここに寄付して良かった!」と心から思える場所を選ぶこと。
これが、寄付をした後の満足感に、すごく大きく影響してくると思うんです。
団体のホームページにある「理念」や「活動目的」のページを読んでみて、自分の気持ちと照らし合わせてみてください。
「うん、ここの考え方、素敵だな」と思えるかどうか。
まずは、その「心のコンパス」を大切にしてみてほしいな、と思います。
ポイント2:求めている楽器の種類と一致しているか
次に、ものすごく実務的で、でもすごく大事なことです。
「あなたの寄付したい楽器」と「相手が求めている楽器」が、ちゃんと一致しているか、必ず確認してください。
ミスマッチの最大の原因は、これですからね。
多くのNPOや団体は、ホームページに「募集している楽器一覧」とか「今、これが足りません!」といったリストを掲載してくれています。
例えば、あなたが寄付したいのが「エレクトーン」だったとします。
でも、寄付先の募集リストに「ギター、ベース、キーボード(※エレクトーン、電子ピアノ除く)」と書いてあったら…。
残念ですが、その団体にとっては、今はニーズがない、ということなんです。
ここで「でも、使えるのにもったいないし…」と無理に送ってしまうのが、一番ダメなパターンですね。
相手にとっては、保管場所にも困るし、処分するにも費用がかかる「困った荷物」になってしまいます。
学校や施設に問い合わせる場合も同じです。
「何か楽器いりませんか?」ではなく、「うちに使わなくなったトランペットがあるのですが、吹奏楽部で必要とされていますか?」と、具体的に種類を伝えて確認することが大切です。
相手の「欲しい!」と、こちらの「あげたい!」が、カチッとハマる相手を探しましょう。
ポイント3:受け入れの条件(状態や年式)はどうか
楽器の種類が一致したら、次は「状態」の確認です。
これも、寄付先によって基準が結構違います。
「とにかく音が出ればOK」というところもあれば、「製造から10年以内のもの」「修理やクリーニングが不要なもの」「すべての付属品(ケース、譜面台、ACアダプタなど)が揃っているもの」と、かなり細かく条件が決まっているところもあります。
特に、電子楽器(キーボードや電子ピアノなど)は、年式を気にする団体が多い印象ですね。
古いと、ちょっとした故障でも部品がなくて修理できなかったりしますからね…。
ここでも、自分の楽器の状態を、正直に判断することが大事です。
「ちょっと接触が悪いけど、叩けば鳴るし…」とか「弦、1本切れてるけど、張り替えれば使えるし…」というのは、寄付先からすると「修理が必要な状態」と判断される可能性が高いです。
相手が修理のプロでない限り、そのままの状態で「すぐに使える」ことが大前提。
もし、状態に不安があるなら、問い合わせの際に「〇〇の部分が少し調子が悪いのですが、それでも大丈夫ですか?」と、正直に伝える誠実さが、ミスマッチを防ぐことにつながると思います。
ポイント4:発送方法や費用の負担はどうなるか
さあ、種類も状態もクリアしました。
次に確認するのは、お金と手間のことです。
そう、「どうやって送るか」そして「その費用は誰が持つか」ですね。
デメリットの章でもお話ししましたが、ほとんどの場合、送料は「寄付する側(自分)の負担(元払い)」となります。
「着払いOK」という団体は、かなり稀(まれ)だと思っておいた方がいいです。
なので、ホームページの「寄付の方法」みたいなページをよく読んで、「送料はご負担ください」と書いてあるか、必ずチェックしましょう。
もし、相手が近所なら「直接持ち込んでもいいですか?」と聞いてみるのもアリですね。
送料が節約できますし、お互いにとって良い方法かもしれません。
一番問題になるのが、ピアノやエレクトーン、ドラムセットなどの大型楽器です。
これらは宅配便では送れませんから、専門の運送業者さんを手配する必要があります。
その手配は誰がするのか(自分で探すのか、団体が指定する業者があるのか)。
そして、その費用(数万円!)は、もちろんこちらが負担するのか。
この点を、事前にしっかり確認しておかないと、「寄付を受け入れてもらえた!…けど、運送費が10万円!?」なんて、後で真っ青になることにもなりかねません。
お金のことは、後でトラブルにならないよう、最初にクリアにしておくのが鉄則ですね。
ポイント5:信頼できる団体かどうか(活動報告など)
最後のチェックポイントは、ちょっと探偵みたいですが、「その寄付先、本当に信頼できる?」という視点です。
せっかくの善意で楽器を送ったのに、その楽器がどこかで不法に転売されていたり、活動実態のない団体だったら…すごく悲しいですよね。
そうならないために、相手が信頼できるかどうかを、私たちもある程度は見極める必要があると思います。
じゃあ、どこを見ればいいか。
NPO法人や公益財団法人などであれば、まず「法人格」があるかどうかは一つの目安になりますね。
あとは、ホームページがしっかり更新されているか、も大事なポイントです。
特に「活動報告」や「会計報告」といったページがあるか見てみてください。
「こんな活動をしました」「寄付金はこんな風に使いました」という報告が、写真付きで具体的に載っている団体は、透明性が高くて信頼しやすいな、と私は感じます。
寄付された楽器が、実際に子どもたちの手に渡っている様子が分かれば、「ここに送ってよかった!」という安心感にもつながりますよね。
逆に、ホームページが何年も更新されていなかったり、連絡先が携帯電話の番号しか載っていなかったり、活動実態がよく分からない場合は、少し慎重になった方がいいかもしれません。
大切にしてきた楽器を託す相手ですから、信頼できるかどうか、自分の目でしっかり確かめたいですね。
楽器の寄付・譲渡の手続きと流れを解説

さて、前の章までで「どこに寄付するか」のイメージがだいぶ具体的になってきたんじゃないでしょうか。
自分の楽器と、自分の「役立ててほしい」という思い。
その両方にピッタリ合う寄付先候補が見つかったら、いよいよ行動開始ですね。
「でも、手続きってなんだか難しそう…」と不安に思うかもしれません。
大丈夫ですよ。
確かに、ちょっとした手間はかかりますが、一つひとつのステップは決して難しいものではありません。
ここでは、楽器の寄付・譲渡を考え始めてから、実際に送り出すまでの「具体的な流れ」を、5つのステップに分けて解説していきます。
この流れをあらかじめ知っておくだけで、心の準備ができてスムーズに進められると思います。
「ああ、こんな感じで進んでいくんだな」と、全体のイメージを掴んでもらえたら嬉しいです。
ステップ1:楽器の状態をセルフチェック
これは、寄付先を探す前、あるいは探しながら同時に行う、「最初の一歩」であり「一番大事な準備」かもしれません。
「寄付先に迷惑をかけない」ための、大切なマナーですね。
もう一度、寄付しようと思っている楽器の状態を、よーくチェックしてみてください。
まず、ちゃんと音は出ますか。
ギターやベースなら、アンプに繋いでみて、ノイズ(ガリ)が出たり、音が出なかったりするポジションがないか。
キーボードや電子ピアノなら、全部の鍵盤から音が出るか、ボタンや機能は正常に動くか。
管楽器なら、ピストンやキイはスムーズに動くか、などですね。
次に、付属品は揃っていますか。
ACアダプタや専用ケーブル、譜面台、ペダル、楽器ケースなど、それがないと使えない!というものが欠けていないか、確認しましょう。
それから、見た目の状態です。
大きなキズや割れ、ひどいサビ、ベタベタする汚れ、タバコのヤニ汚れなどはありませんか。
「自分だったら、これをもらって嬉しいかな?」という、客観的な目で厳しく見てみることが大事です。
ホコリを払ったり、専用のクロスで優しく拭いたり、できる範囲でキレイにしておくのも、送り出す側の心遣いだと思います。
このチェックで、「あ…これは、ちょっと寄付するには状態が厳しいかも…」と感じたら、無理に寄付するのはやめたほうが賢明かもしれませんね。
ステップ2:寄付先・譲渡先を探して選定する
楽器の状態が「うん、これなら大丈夫!」と確認できたら、いよいよ寄付先を本格的に探して、絞り込んでいきます。
前の章でお話しした「3つのタイプ(NPO、学校、地域の施設)」を参考に、あなたの思いと楽器に合う場所を探してみましょう。
インターネットで「楽器 寄付 〇〇(楽器名)」とか「NPO 楽器支援」といったキーワードで検索すると、いろいろな団体が出てくると思います。
地元の学校や施設に寄付したい場合は、自治体や教育委員会のホームページを見てみるのもいいですね。
いくつか候補が見つかったら、前の章の「5つのチェックポイント」を思い出してください。
「活動内容に共感できるか?」
「私の寄付したい楽器を、今まさに募集しているか?」
「状態の条件(年式など)はクリアできているか?」
「送料はこちら負担、で大丈夫か?」
「活動報告などを見て、信頼できそうか?」
これらの点を、各団体のホームページなどで、よーく確認していきます。
焦って「最初に見つけたところに!」と決めずに、2〜3ヶ所を比較検討してみるくらいの余裕があるといいかもしれません。
「ここなら、私の楽器を大切に使ってくれそう!」と、心から思える場所が見つかるまで、ちょっとだけリサーチを頑張ってみましょう。
ステップ3:問い合わせと申し込み(受け入れ確認)
寄付したい先が決まったら、絶対にやってはいけないことがあります。
それは、「いきなり楽器を送りつけること」。
これは、もう本当にNGです。
相手にとっては、ただの「迷惑な荷物」になってしまう可能性が一番高いですからね。
必ず、送る前に「問い合わせ」をして、「受け入れOK」の確認を取ってください。
これが、寄付を成功させるための最大のポイントです。
多くのNPO団体では、ホームページに専用の「寄付申し込みフォーム」が用意されています。
まずは、そこに必要事項を入力して送信するのが、一番スムーズな方法ですね。
学校や施設などでフォームがない場合は、電話やメールで問い合わせます。
その際、何を伝えるかというと、「寄付したい楽器の具体的な情報」です。
例えば、「ヤマハの〇〇という型番のアコースティックギターで、製造はたぶん10年くらい前です。状態は良好で、音も正常に出ます。ソフトケースも付いています。今、受け入れていただくことは可能でしょうか?」という感じです。
可能なら、楽器の写真をメールに添付すると、相手も判断しやすくて親切ですね。
そして、相手から「ありがとうございます!ぜひ、お願いします!」とか「その楽器なら、〇〇で使いたいので送ってください」といった、明確な「受け入れOK」の返事をもらってください。
この「双方の合意」があって初めて、次のステップに進めるんです。
ステップ4:楽器の梱包と発送(または持ち込み)
寄付先から「受け入れOK」の連絡をもらったら、いよいよ楽器を送り出す準備です。
ここで大事なのは、もちろん「梱包(こんぽう)」です。
せっかくの善意の楽器が、輸送中に壊れてしまったら、元も子もありませんよね。
楽器はとてもデリケートなものですから、とにかく丁寧に梱包してあげましょう。
ギターやバイオリンなどは、ハードケースに入っているのが一番安全です。
もしハードケースがなく、ソフトケースだけの場合は、ケースに入れた上で、プチプチ(緩衝材)で全体をぐるぐる巻きにして、さらに楽器用の段ボールに入れるか、段ボールを組み合わせて補強する必要があります。
弦楽器は、弦を少し緩めておくのが一般的とも言われていますね。
キーボードなども、元の箱があればベストですが、なければプチプチで厳重に包み、段ボールでしっかり保護します。
ACアダプタやケーブル、説明書といった付属品も、忘れずに一緒に入れましょう。
梱包ができたら、いよいよ発送です。
寄付先から送付先の住所や、発送方法(宅配業者など)に指定がないか、確認しておきましょう。
そして、送料は「元払い(こちら負担)」で手続きするのがマナーです。
もし、寄付先がご近所で「持ち込みOK」となった場合は、事前に日時をしっかり約束(アポイント)してから伺うようにしてくださいね。
これが、あなたの「善意」を届けるための、最後の仕上げ作業です。
ステップ5:寄付・譲渡の完了(受領証の確認など)
楽器を発送したら、それで終わり、でもいいのですが、もうひと手間加えると、お互いにもっと気持ちがいいかもしれません。
それは、「〇月〇日に、〇〇運輸で発送しました。
荷物の追跡番号はこれです」と、寄付先にひと言連絡を入れてあげることです。
そうすれば、相手も「ああ、もうすぐ届くな」と心の準備ができますし、いつ届くか分からなくて不安、ということもなくなりますよね。
そして、楽器が寄付先に無事に到着して、相手から「届きました、ありがとうございます!」という連絡(メールやお電話)が来たら、これにて「寄付・譲渡の手続き」はすべて完了です。
お疲れ様でした!
これで、あなたの大切だった楽器が、新しい場所でのセカンドライフを本格的にスタートさせたことになります。
団体によっては、後日、感謝状や活動報告書を送ってくれたり、ホームページに「〇〇様より楽器のご寄付をいただきました」と掲載してくれたりすることもあります(もちろん、これは団体によりますし、匿名希望も可能です)。
もし、税金の「寄付金控除」を考えていて、事前に「受領証の発行が可能」と確認が取れている場合は、このタイミングで受領証の発行を忘れずにお願いするようにしましょう。
なんだか、自分の子どもを送り出すような、ちょっと寂しくも、誇らしい気持ちになるかもしれませんね。
もし寄付・譲渡が難しかったら?「楽器買取り」も賢い選択肢

さて、ここまで「寄付・譲渡」という、とても素敵な手放し方について、メリットやデメリット、具体的な流れを見てきました。
「うん、やっぱり寄付っていいな!」。
そう思って、ご自身の楽器をチェックしてみた方もいらっしゃると思います。
その結果、「あ…これは、ちょっと壊れてて、寄付の条件(すぐに使える状態)を満たしてないかも…」とか、「ホームページで調べたけど、うちの楽器、今ニーズがないみたい…」と、寄付が難しいケースに直面することもあるかもしれません。
あるいは、寄付先を探したり、問い合わせたりする「手間」を考えると、「正直、引っ越しも近いし、そんなに時間がかけられない…」というご事情の方もいらっしゃるでしょう。
「じゃあ、寄付もできないし、やっぱり粗大ごみとして捨てるしかないのかな…」。
そんな風に思うのは、ちょっと待ってください!
大切にしてきた楽器です。
「寄付」という道が難しかったとしても、その楽器の「セカンドライフ」を諦めるのは、まだ早いですよ。
ここで、「楽器買取りサービス」という選択肢が、すごく現実的で「賢い」方法として浮かび上がってくるんです。
「なんだ、結局『売る』話か」と思うかもしれませんが、寄付を真剣に考えた後だからこそ見える、「買取り」の良さもあるんですよ。
寄付・譲渡が難しい楽器とは?(状態が悪い、ニーズがない等)
もう一度、どんな楽器が「寄付・譲渡」を断られてしまいやすいか、おさらいしてみましょう。
これは、前の章(デメリット)でもお話ししたことと重なりますね。
一番分かりやすいのは、「状態が万全ではない」楽器です。
例えば、音が出ない、ひどいノイズが出る、パーツが欠けている、キズや汚れがひどくて衛生的ではない、といった場合です。
寄付先は、修理のプロではありませんから、「そのままでは使えない」楽器は、受け取っても「修理費用」や「処分費用」がかかる「お荷物」になってしまう可能性が高いんですよね。
次に、「状態はすごくキレイ!」という場合でも、断られるケースがありました。
それは、「ニーズ(需要)がない」場合です。
例えば、とても古い型のエレクトーンや電子ピアノ、シンセサイザー。
あるいは、団体がすでに十分な数を持っている楽器(例えば、入門用のアコースティックギターなど)も、「保管場所がない」という理由で断られることがあります。
寄付は、あくまで「相手が必要としていること」が前提になりますから、私たちの「あげたい」という気持ちだけでは、成立しない難しさがあるんですよね。
ご自身で「これはちょっと…」と思う場合や、実際にいくつかの団体に問い合わせて断られてしまった場合は、無理に寄付先を探し続けるよりも、別の方法を考えた方がお互いのためかもしれません。
「買取り」なら手間なく、スピーディーに手放せる
寄付・譲渡が難しい…となった時、「買取りサービス」の良さがすごく際立って見えてきます。
それは、何と言っても「手間がかからない」ことと「スピーディー」なことです。
寄付の場合、自分で寄付先を探して、ホームページを読み比べて、問い合わせのメールを打って、返事を待って、OKが出たら自分で厳重に梱包して、送料も自分で負担して発送して…と、かなりのステップ(手間)が必要でしたよね。
それが「買取り」だったら、どうでしょう。
多くの楽器買取りサービスでは、インターネットから簡単に申し込めます。
ギターやベースくらいなら、無料の「梱包キット(段ボールや緩衝材)」を送ってくれるところも多いです。
私たちは、それに詰めて、指定された運送業者さんに「着払い」で集荷に来てもらうだけ。
ピアノやアンプ、ドラムセットといった大型楽器なら、「出張査定(自宅訪問)」に来てくれて、査定額に納得すれば、その場で運び出してくれるサービスもあります。
寄付先を探す手間も、梱包の手間も、送料の負担も、ほとんどかからない。
申し込みから査定、入金まで、数日〜1週間程度で終わってしまうことも珍しくありません。
「引っ越しが迫っている」「大掃除で今すぐ片付けたい」といった、スピードを重視したい時には、本当に頼りになる方法だと思います。
買取りのメリット:状態問わず査定可能・臨時収入になる
買取りには、手間とスピード以外にも、大きなメリットが2つあります。
一つは、もちろん「臨時収入になる」可能性です。
寄付は、私たちの「善意」で行うものなので、基本的には0円(むしろ送料でマイナス)ですよね。
でも、買取りなら、その楽器の「市場価値」に応じたお金が手に入ります。
もちろん、すごく古いモデルや状態が悪いものだと、高額にはならないかもしれません。
でも、「処分費用」を払って捨てることを考えたら、たとえ数百円、数千円でも、お金になるだけありがたいな、と思いませんか。
そして、もう一つの、寄付との決定的な違いが「状態を問わず査定してもらえる」ことです。
寄付では「壊れていたらNG」が基本でした。
でも、楽器買取りの専門店は、「修理する技術」や「パーツ取り」のノウハウを持っています。
だから、「音が出ないギター」や「鍵盤が一つ沈んだままのキーボード」といった、いわゆる「ジャンク品」でも、値段をつけて買い取ってくれる場合があるんです!
これは、寄付という選択肢が閉ざされてしまった楽器にとって、まさに「救いの手」ですよね。
「もう使えないから捨てるしかない」と思っていたものが、プロの手で修理されて、また誰かの元で活躍するかもしれない。
形は違いますけど、これも立派な「リサイクル」であり、楽器の「セカンドライフ」につながっているんだな、と感じます。
買取りのデメリット:思い入れが価格でしか評価されない?
もちろん、買取りにも「うーん」と思うところはあります。
それは、寄付のメリットの裏返しになりますが、「思い入れ」や「思い出」といった「心の価値」は、査定額には一切反映されない、ということです。
買取りは、あくまでも「ビジネス」です。
その楽器が「市場でいくらで再販できるか」という、とてもドライな基準で価格が決まります。
例えば、学生時代にアルバイトしてやっと手に入れた、傷だらけのギター。
自分にとっては「宝物」でも、プロの目から見たら「年式が古く、状態も悪いので、査定額は1,000円です」なんて言われてしまうことも、普通にあるわけです。
その時に、「私の思い出は、たった1,000円か…」と、ガッカリしてしまう可能性はありますよね。
寄付が「ありがとう!」と感謝される温かいコミュニケーションだったのに対して、買取りは「あなたの楽器の価値は〇〇円です」と評価される、シビアな側面がある。
この「温度差」は、デメリットというか、「そういうものだ」と割り切る必要がある部分かもしれませんね。
でも、その分、面倒な手間を一切引き受けてくれるわけですから、これは「利便性とのトレードオフ」なんだと思います。
寄付か買取りか?判断するための基準
ここまで、寄付と買取り、両方の良いところ、ちょっと大変なところを見てきました。
じゃあ、結局、私たちはどっちを選んだらいいんでしょうか。
その判断基準は、もうかなりハッキリしてきた気がします。
まず、「楽器の状態」が一番大きな分かれ道ですね。
「誰かが見てもキレイで、今すぐ問題なく使える状態」なら、寄付の選択肢がまずあります。
逆に、「ちょっと壊れている」「音が出ない」「かなり汚れている」という場合は、寄付は諦めて、「買取り(ジャンク品扱い)」を検討するのが賢明だと思います。
次に、状態が良かったとして、「手間と時間をかけられるか」です。
「送料を負担してでも、社会貢献したい」という強い思いがあり、寄付先を探すリサーチや梱包の手間を惜しまないなら、ぜひ寄付にチャレンジしてほしいです。
でも、「とにかく早く、楽に手放したい」「引っ越しまでに時間がない」「お金はかからない方がいい(むしろ少しでもプラスにしたい)」というなら、迷わず買取りサービスを選ぶのが合理的だと思います。
どちらが「正解」で、どちらが「間違い」という話では全くないんですよね。
ご自身の状況と、楽器の状態。
その両方に合わせて、「今、一番ふさわしい手放し方」を選んであげるのが、楽器にとっても、私たちにとっても、一番幸せなことなんじゃないかな、と思います。
楽器買取りサービスの賢い選び方3つのポイント
「よし、いろいろ考えたけど、私は『買取り』を選ぶことにした!」。
そう決めた方のために、最後に、数ある買取りサービスの中から、どこを選んだらいいか、「賢い選び方」のポイントを3つだけ、お伝えしておきますね。
どうせ売るなら、少しでも納得できる相手に、気持ちよく買い取ってもらいたいですからね。
ポイント1は、「自分の楽器のタイプと、お店の『専門性』が合っているか」です。
買取りと一口に言っても、「なんでも買います」という総合リサイクルショップと、「楽器専門」の買取り店があります。
もし、あなたの楽器が有名メーカーのものだったり、ちょっとマニアックな機材だったりするなら、断然「楽器専門店」を選ぶべきだと思います。
なぜなら、専門店のスタッフは「楽器の価値」をちゃんと分かっているからです。
総合リサイクルショップだと、価値が分からず、ただ「古いもの」として安く査定されてしまう可能性がありますからね。
ポイント2は、「買取りの方法が、自分に合っているか」です。
買取りには主に3つの方法があります。
一つは「宅配買取り(段ボールに詰めて送る)」。
もう一つは「出張買取り(家に来てもらう)」。
最後は「店頭買取り(お店に持っていく)」。
ギターやエフェクター1個とかなら「宅配」が楽ですよね。
でも、ピアノやドラムセット、大型アンプを宅配で送るのは不可能ですから、そういう時は「出張」に対応してくれるお店一択になります。
「ウチの楽器は、どの方法が一番楽か?」を考えて、それに対応しているお店を選びましょう。
ポイント3は、「サービス内容や、評判はどうか」です。
例えば、宅配買取りの「送料」や「梱包キット」は無料か。
査定額に納得いかなかった場合の「キャンセル料」や「返送料」はかかるのか。
こういう細かい手数料って、結構大事ですよね。
また、実際に利用した人の「口コミ」や「評判」を、ネットで少し調べてみるのも参考になると思います。
「査定が早かった」「対応が丁寧だった」という声が多ければ、安心してお任せしやすいですよね。
これら3つのポイント(専門性・方法・サービス内容)をチェックして、ご自身に一番合う買取りサービスを選んでみてください。
まとめ:あなたの大切な楽器を次のステージへ
ここでは、「寄付・譲渡」という、とても心温まる選択肢があることを詳しくお話ししてきました。
自分の楽器が、どこかでまた誰かの役に立つ。
お金にはならないかもしれないけれど、「社会貢献」や「心の満足」という、何物にも代えがたいメリットがあることも感じていただけたと思います。
ただ、同時に、寄付には「手間」や「送料負担」といったデメリットや、「楽器の状態」や「相手のニーズ」といった、クリアすべき条件があるという現実的なお話もしました。
「良かれと思って」が「迷惑」になっては、お互いに悲しいですからね。
そして、もし寄付が難しかったとしても、がっかりする必要は全くありません。
「楽器買取りサービス」という、もう一つの賢い選択肢がありました。
これもまた、楽器を次のステージへ送り出す、立派な「リサイクル」です。
結局のところ、「寄付」と「買取り」、どちらが正解というわけでは、まったくないんですよね。
あわせて読みたい!楽器の手放し方イロイロ
今回は「寄付」と「買取り」という2つの選択肢を中心に、詳しく見てきました。
でも、楽器を手放す方法って、実はほかにもいろいろあるんですよ。
「そもそも、どんな方法があるのか、全部を比較してみたいな」と感じた方は、まずこちらの記事で「5つの処分方法」の全体像をつかんでみるのがおすすめです。
ご自身にどの方法が一番合っているか、チェックしてみてください。
使わなくなった楽器、どうしてる?賢い処分方法5選(買取・下取り・寄付・廃棄)
もし、いろいろ検討した結果、「寄付も買取りも難しそうだから、もう捨てるしかないかも…」となった場合。
「楽器を捨てる」と言っても、粗大ごみの費用はいくらかかるのか、正しい手順はどうなのか、知っておかないと損をしてしまうかもしれません。
そんな「もしもの時」のために、こちらの記事も参考になると思います。
それから、「今度、新しい楽器を買う予定があるんだよね」という方。
そういう時は、お店での「下取り」も選択肢に入ってきますよね。
「下取り」と「買取り」って、何が違って、結局どっちが得なの?と迷ったら、この記事でスッキリ解決できるかもしれませんよ。
最後に、ちょっと特別なケースですが、「実家に帰ったら、昔の親の楽器が出てきた…」とか「遺品整理で古い楽器が出てきて困ってる」という状況の方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時の片付けのコツや、どう対処したらいいかをまとめた記事もあります。
ご自身の状況に一番近い記事も、ぜひあわせて読んでみてくださいね。
