実家の片付けや遺品整理をしていると、押入れの奥や物置から、昔懐かしい品々が次々と出てきますよね。
そんな中で、「おや?これは…」と手が止まってしまうのが「楽器」ではないでしょうか。
立派なケースに入ったギターやバイオリン。
ホコリをかぶったトランペットやサックス。
もしかしたら、部屋の隅に鎮座したままのピアノやエレクトーンかもしれません。
ここでは、そんな実家の片付けで出てきた「古い楽器」をどう処分したらいいか、その方法やコツについて考えていきたいと思います。
実家の片付けで発見!古い楽器、どうしよう?
実家の片付けって、本当に体力も気力も使いますよね。
特に親御さんの遺品整理となると、一つひとつの品に思い出があるかもしれず、なかなか作業が進まない…なんてことも多いと思います。
そんな時、押入れの天袋やクローゼットの奥から、見慣れない楽器が出てくるケース、意外と「あるある」なんです。
「これは昔、お父さんが趣味で弾いてたギターかな?」とか、「お母さんが習ってたお琴かもしれない」とか。
もしかしたら、自分自身が子供の頃に使っていたピアニカやリコーダー、なんていう懐かしいものも出てくるかもしれませんね。
遺品整理や断捨離で出てくる「謎の楽器」
問題なのは、それが「誰のものかハッキリしない」「どう使われていたか分からない」楽器です。
いわゆる「謎の楽器」ですね。
立派なハードケースに収まっていて、開けるのがちょっと怖いようなもの。
逆に、ケースもなく裸のまま隅に置かれていて、弦が切れていたり、金属部分がくすんでしまっているもの。
遺品整理の場合、故人が大切にしていたものかもしれないと思うと、無下に扱うこともできません。
かといって、自分は楽器に詳しくないし、これが一体どんなものなのか、さっぱり見当もつかない…。
「うーん、これ、どうしたらいいんだろう…」と、とりあえず元の場所に戻してフタをしてしまう、そんな経験がある方も少なくないんじゃないかな?と思います。
所有者不明、価値も不明…処分に困る理由
なぜ、こんなにも古い楽器の処分に困ってしまうんでしょうか。
理由はいくつか考えられますよね。
まず一番大きいのは、「価値がまったく不明」なこと。
これがただのガラクタなのか、それとも実は有名なメーカーのヴィンテージ品で、驚くような価値があるものなのか、素人目にはまったく判断がつきません。
次に、「所有者が不明(または故人)であること」の心理的なハードルです。
思い出の品かもしれないものを、自分の判断で捨ててしまっていいんだろうか…という迷いですね。
そしてもちろん、「楽器の正しい捨て方がわからない」という実務的な問題もあります。
自治体の粗大ゴミで出せるのか?それとも専門の業者に頼む必要があるのか?調べるのも面倒に感じてしまいます。
ピアノやドラムセット、大きなアンプなんかだと、「重くて運び出せない」という物理的な壁も立ちはだかります。
これらの理由が複雑に絡み合って、多くの人が古い楽器を前に途方に暮れてしまうんだと思います。
古い楽器は「捨てる」の?それとも「売れる」の?
ここで、読者の方が一番知りたいのは、「この楽器、捨てるべき?それとも、もしかして売れるの?」という点ですよね。
結論から言うと、「素人判断で『ゴミだ』と決めつけないで!」というのが私の意見です。
たしかに、パッと見てボロボロだったり、壊れているように見えたりすると、「これはもうダメだろう」と思ってしまいがちです。
しかーし!楽器の世界は奥深いもの。
一見すると価値がなさそうでも、実は希少なモデルだったり、修理用の「パーツ」自体に価値があって値段がついたりするケースも少なくないようなんです。
逆に、見た目はすごく立派で高そうに見えても、今の市場では需要がなかったり、修理に高額な費用がかかるため、実際には値段がつかない…なんてこともあると言われています。
「捨てる」と判断すれば、自治体によっては処分費用(粗大ゴミシール代など)がかかるかもしれません。
でも、「売れる」可能性を追求すれば、逆にお金になって戻ってくるかもしれないわけです。
この違いは大きいですよね。
処分を後回しにするデメリットとは
とはいえ、「価値がわからない」「捨て方が面倒」といった理由で、結局そのまま放置…というパターンに陥りがちです。
「とりあえず、また今度考えよう」と、押入れの奥にそっと戻してしまう。
その気持ち、すごくよく分かります。
でも、処分を後回しにすることには、実はデメリットもあるんです。
まず、当たり前ですが「スペースを取り続ける」こと。
実家の片付けや整理整頓が、その楽器のせいで一向に進まない、という事態になりかねません。
そして、もっと怖いのが「楽器の状態がさらに悪化する」可能性です。
日本の気候は湿気が多いですから、長年放置すればカビやサビが発生しやすくなります。
木製の楽器なら、反りや割れが出てくるかもしれません。
もし売れる価値があったとしても、時間が経つほどその価値が下がってしまう可能性があるんですね。
いざ「家を売却するから急いで片付けないと!」となった時に、慌てて高額な処分費用を払って廃棄する…なんてことになったら、ちょっと残念ですよね。
まずは落ち着いて!楽器の状態を確認しよう
じゃあ、どうすればいいか。
まずやってみてほしいのは、「焦って捨てようとしないこと」そして「落ち着いて楽器の状態を観察すること」です。
「楽器の知識なんてないよ!」という方も、大丈夫。
専門的な鑑定をする必要はありません。
わかる範囲で、以下のポイントをチェックしてみてください。
・楽器の種類(ギター、ベース、キーボード、トランペット、バイオリン、お琴、三味線など)
・メーカー名や型番(楽器本体のロゴや、ケース、サウンドホールの中などに書いていませんか?)
・外観の状態(目立つキズ、破損、サビ、汚れ、弦が切れているか、など)
・付属品の有無(ケース、説明書、保証書、アンプ、スタンド、マウスピースなど、一緒に保管されているもの)
これらの情報をメモしておくだけで、この後で処分方法を検討する(特に「売る」ことを考える)際に、非常にスムーズに進みます。
まずはこの「現状把握」から始めてみませんか?
古い楽器の処分方法 主な4つの選択肢

さて、前の章で楽器の「現状把握」がなんとなくできたら、次はいよいよ具体的な処分方法を検討していくステップです。
主な選択肢としては、大きく分けて4つあるかなと思います。
どの方法がベストかは、読者の方の状況によっても変わってきますよね。
「とにかく手間をかけずに処分したい」のか、「時間はかかってもいいから、少しでもお金にしたい」のか。
ここでは、その主な4つの選択肢「1. 自治体でゴミとして処分」「2. 譲る・寄付する」「3. 個人売買する」「4. 楽器買取サービスに依頼する」について、それぞれのメリットやデメリット(大変な点)を順番に見ていきましょう。
実家にある古い楽器、どうやって手放すか。
選択肢はこの4つがメインになると思います。
1. 自治体のルールで「ゴミ」として処分する
2. 知人や施設に「譲る・寄付する」
3. フリマアプリやオークションで「個人売買する」
4. 専門の「楽器買取サービス」に依頼する
「あ、そんな方法もあるのか」と思うものもあれば、「やっぱり面倒そう…」と感じるものもあるかもしれません。
ひとつずつ、もう少し詳しく掘り下げてみますね。
自治体のルールで「ゴミ」として処分する
まず思いつくのが、「捨てる」という選択肢ですね。
自治体のルールに従って、ゴミとして処分する方法です。
でも、ここで「あれ?楽器って、何ゴミ?」と迷ってしまう方が多いんじゃないでしょうか。
ギターやキーボードは「粗大ゴミ」?アンプのケーブル類は「不燃ゴミ」?ケースは「可燃ゴミ」?…考えだすとキリがないですよね。
基本的な考え方としては、多くの自治体で「一辺が30cm(または50cm)を超えるもの」は「粗大ゴミ」として扱われることが多いようです。
なので、ギターやベース、キーボード、大きめの管楽器などは、おそらく粗大ゴミになるケースがほとんどだと思います。
一番確実なのは、お住まいの自治体(市区町村)のホームページにある「ゴミ分別一覧」を確認するか、清掃センターや担当窓口に電話して、「(例)アコースティックギターを処分したいのですが」と直接聞いてみることです。
この方法のデメリットは、もちろん「処分費用がかかる」こと、そして「手続きが地味に面倒」なこと。
そして何より、「もしかしたら価値があったかもしれない」という可能性を、完全にゼロにしてしまうことかなと思います。
粗大ゴミとしての出し方と注意点
もし「粗大ゴミ」として出す場合、一般的な流れはこんな感じです。
1. 自治体の「粗大ゴミ受付センター」に電話やインターネットで申し込む。
2. 処分する楽器に必要な料金(例:ギター 500円など)を確認される。
3. コンビニや郵便局などで、その金額分の「粗大ゴミ処理券(シール)」を購入する。
4. シールに受付番号や名前を書いて楽器(やケース)に貼り、指定された収集日の朝、指定された場所(家の前など)に出す。
…と、文字にすると簡単そうですが、まず「申し込む」のがひと手間ですよね。
注意点として、申し込みから実際の収集日まで、時期によっては数日〜数週間かかる場合もあります。
遺品整理や引っ越しで「今すぐ片付けたい!」というニーズには、ちょっとスピード感が合わないかもしれません。
そして、さらに大きな注意点があります。
それは、ピアノやエレクトーン、重いアンプ、ドラムセットなどです。
これらは自治体では「収集できません」と断られる「適正処理困難物」に指定されていることが多いんです。
その場合は、自治体が紹介する専門の廃棄物処理業者に、自分で別途依頼する必要があります。
当然ですが、運搬費や処分費で、数万円単位の高額な費用がかかるケースも珍しくないようです…。
素材によっては分別が必要なケースも
では、粗大ゴミのサイズ(例:30cm)に満たない小さな楽器や、周辺の機材はどうでしょうか。
例えば、リコーダー、ハーモニカ、カスタネット、タンバリンなど。
あとは、楽器ケース、譜面台、チューナー、エフェクター(手のひらサイズの小さな機械)、シールドケーブル(楽器とアンプをつなぐ線)などなど。
これらは、残念ながら「楽器関連だからまとめて不燃ゴミ!」とはいきません。
それぞれを構成している「素材」によって、細かく分別する必要があります。
プラスチック製なら「可燃ゴミ」(自治体によりますね)、金属製なら「不燃ゴミ」や「資源ゴミ」、ケーブル類は束ねて「不燃ゴミ」…といった具合です。
自治体の分厚い「ゴミ分別ルールブック」を引っ張り出してきて、一つひとつ「これはどっちだ…?」と確認する作業…。
正直、かなり面倒くさいですよね…。
特にアンプや電子キーボード、エフェクターなどは、小型家電リサイクル法の対象品目になっている場合もあり、自治体ごとに「専用の回収ボックスに入れてください」など、ルールが異なることも。
このように、「捨てる」と一口に言っても、かなりの手間と調査が必要になるのが現実なんです。
知人や施設に「譲る・寄付する」
もし、実家で見つかった楽器が、パッと見てキレイで、まだ十分に使えそうだったら…。
「誰かに使ってもらう」という選択肢も、とても素敵だと思います。
例えば、最近ギターを始めたという知人や、親戚のお子さん(学校の吹奏楽部に入ったとか)に声をかけてみる。
あるいは、地域の学校の吹奏楽部や音楽部、児童養護施設、または楽器のリサイクル活動をしているNPO団体などに「寄付」を申し出てみる、という方法です。
この方法の最大のメリットは、なんといっても「誰かに喜んで使ってもらえる」ことですよね。
故人(元の所有者)が大切にしていた楽器なら、それがまた誰かの役に立つことで、故人もきっと喜んでくれるんじゃないかな…なんて、心理的な満足感が非常に高い方法です。
もちろん、処分費用もかかりません。
ただ、デメリットとしては、当然ですが「譲り先」や「寄付先」を自分で探す手間がかかることです。
そして、これは少し現実的な話になりますが、学校や施設は、寄付を歓迎しているとは限らない、という点です。
状態が不明な古い楽器は、修理やメンテナンスにコストがかかるため、かえってご迷惑になってしまう…と、受け入れを断っているケースも少なくないようです。
「確実に使ってもらえる」という明確な当てがない限り、これもなかなかハードルが高い方法かもしれませんね。
フリマアプリやオークションで「個人売買する」
「捨てるのはお金がかかるし、譲る当てもない。どうせなら、少しでもお金にしたい!」
そう考えた場合に思いつくのが、フリマアプリ(メルカリなど)やネットオークション(ヤフオクなど)を使って、自分で売る「個人売買」ですね。
この方法のメリットは、なんといっても「自分で価格設定ができる」こと。
市場の相場と需要がうまくマッチすれば、次に紹介する「買取サービス」に売るよりも、高値で売れる可能性がある点です。
うまくいけば、数千円、数万円の「お小遣い」になるかもしれません。
しかし、ですね。
この方法は、個人的には「楽器の知識がある程度あり」「時間に余裕があり」「写真撮影や梱包といったマメな作業が苦ではない」人向けの方法かな、と思います。
なぜなら、楽器の知識がまったくない素人の方が手を出すと、想像以上に大変な作業が待っているからです。
その「大変な点」を、もう少し詳しく見てみましょう。
個人売買のメリットと大変なデメリット
メリットは、先ほども触れた通り「高値で売れる可能性がある」こと、これに尽きると思います。
一方で、デメリットというか、「乗り越えるべきハードル」が結構たくさんあるんです。
まず「出品の手間」。
楽器をできるだけキレイに掃除して、魅力的に見えるように、かつ状態が正確に伝わるように、いろんな角度から写真を撮る必要があります。
説明文には、メーカー、型番、そして何より「状態」を正確に記載しないといけません。
キズや汚れ、サビ、不具合(音が出ない、ガリ音があるなど)を隠して売ると、後で「話が違う!」と大きなトラブルの原因になりますからね。
次に「コミュニケーションの手間」。
出品すると、購入希望者から質問が来ます。
「ネックの反り(曲がり具合)はどうですか?」「フレット(弦を押さえる金属部分)の残りは何割くらいですか?」なんて、専門的な質問が来ることも…。「知識がないので分かりません」と答えると、なかなか売れなかったりします。
そして、定番の「お値下げ、可能ですか?」の交渉にも対応しなくてはいけません。
最大の難関は「梱包・発送の手間」かもしれません。
楽器、特にギターやベース、管楽器などは、非常にデリケートで、壊れやすく、しかも大きいですよね。
輸送中に破損しないよう、プチプチ(緩衝材)で厳重に包み、ピッタリ合う段ボール(楽器専用のものは高価です)を見つけてきて梱包する必要があります。
この梱包作業が本当に大変なんです。
しかも、サイズが大きくなりがちなので、送料もかなり高額になります。
売れた金額から送料と手数料(売上の10%など)を引いたら、「あれ?利益ほとんど残らない…」なんてことも。
さらに「トラブルのリスク」もあります。
「無事に届いたと思ったら、購入者から『音が鳴らない』『説明にないキズがあった』とクレームが来た」「返品・返金を求められた」…など、精神的に疲弊してしまう可能性もゼロではありません。
…どうでしょう。
「実家の片付けでただでさえ忙しい」「楽器の知識はまったくない」という読者の方の状況を考えると、正直、あまりおすすめしにくい方法かな、と思いませんか?
専門の「楽器買取サービス」に依頼する
そこで、4つ目の選択肢として、この記事で一番注目したいのが「楽器買取サービス」に依頼する方法です。
これは、その名の通り、楽器の買取を専門に行っている業者に査定・買取を依頼する方法ですね。
近所の総合リサイクルショップ(なんでも買い取ります!というお店)でも、楽器を扱っていることはあります。
でも、ここで言うのは、ちゃんと楽器の知識を持った鑑定士(査定員)がいる「楽器専門」の買取サービスのことです。
この方法のメリットは、なんといっても「楽器の価値をプロの目でしっかり査定してくれる」こと。
第1章で確認した「メーカー不明」「価値が不明」な古い楽器でも、安心してお任せできる点が大きいです。
そしてもう一つ、大きな魅力があります。
それは、処分に困るような重い楽器(ピアノ、エレクトーン、ドラムセットなど)や、実家に何本も転がっている大量の楽器でも、「出張買取」や「宅配買取」といった便利な方法で対応してくれる手軽さです。
自分で運んだり、梱包したりする手間が、劇的に減る可能性があるんですね。
プロに任せる最大のメリットとは
楽器買取サービスを利用する「最大のメリット」は何か?
ずばり、それは読者の方が今まさに抱えている「価値が不明で不安」「自治体で捨てるのが面倒」「重くて運び出せない」「片付けの邪魔」「そもそも時間がない」といった、あの複雑な悩みを、一挙に解決できる可能性が一番高い方法だから、だと私は思います。
プロの鑑定士さんが査定するので、私たちが「これはもうボロボロだからゴミだろう」と決めつけていたものに、思わぬ値段がつく可能性だってあります。
例えば、古い国産ギターが実は「ジャパンヴィンテージ」と呼ばれる希少品だったり、壊れているように見えても「修理用のパーツ」としての価値が認められたり。
そういう「素人にはわからない価値」を、見逃さずに拾い上げてくれるかもしれないんですね。
もちろん、査定の結果、残念ながら「値段がつけられません(買取不可)」となるケースもあると思います。
でも、そういった場合でも、業者さんによっては「無料(または一部有料)で引き取って処分しますよ」というサービスを提供しているところも多いようです。
もし無料で引き取ってもらえれば、自治体で粗大ゴミとして捨てる手間や費用(数百円〜)が浮くわけですから、それだけでも助かりますよね。
そして、私が何より「ポイント高いです」と感じるのが、「出張買取」の存在です。
電話やネットで申し込むと、実家まで査定スタッフさんが来てくれて、その場で楽器を査定。
提示された金額に納得すれば、その場で現金(または振込)で支払い、そして楽器の梱包や運び出しも、全部やってくれるんです。(※サービス内容は業者さんによります)
私たちは基本、「見ているだけ」「立ち会うだけ」で良い。
あの面倒な分別や、重い楽器の運び出しから解放されるんです。
遺品整理や実家の片付けで心身ともに疲れている状況において、この「手間がかからない」という安心感は、何物にも代えがたいメリットじゃないかな?と思います。
次の章では、この「楽器買取サービス」のメリットについて、もう少し詳しく掘り下げていきますね。
なぜ「楽器買取サービス」がおすすめなの?

前の章で、古い楽器の処分方法として4つの選択肢を見てきました。
「捨てる」のは手間も費用もかかるし、「譲る」のは相手探しが大変。
「個人売買」は知識がないとハードルが高すぎる…。
そう考えると、やっぱり「楽器買取サービス」が、実家の片付けというシチュエーションには一番合っている気がしませんか?
この章では、なぜ他の方法と比べて「楽器買取サービス」がおすすめなのか、その具体的な理由(メリット)を、もう少し詳しく掘り下げてみたいと思います。
「本当にそんなに便利なものなの?」とまだ半信半疑な方も、ぜひチェックしてみてくださいね。
価値が不明な楽器もプロが査定してくれる安心感
まず、これが一番大きなメリットだと私は思います。
ずばり、「価値がわからなくても、プロが判断してくれる」という安心感です。
第1章でも触れましたが、実家で見つかる楽器って、ホコリをかぶっていたり、メーカーのロゴがかすれて読めなかったり、そもそも「これ、なんていう楽器?」というレベルのものも少なくありません。
私たち素人から見たら、「こんなの、もう誰も使えないよな…」「絶対にゴミだ」と判断してしまいがちです。
でも、そこがプロのすごいところ。
楽器専門の査定士さんは、長年の経験と膨大な知識の蓄積があります。
私たちが「無名メーカーだ」と思っていたものが、実は「知る人ぞ知る、70年代の希少な国内メーカー品だった」とか。
「ただの古いギター」に見えても、特定の年代にしか使われていない特殊なパーツが使われていて、そこに価値があったりとか。
そういう「素人には見えない価値」を、見抜いてくれる可能性があるんですね。
自分で「これはゴミか?宝か?」と悩む必要がない。
「よく分からないので、プロの方、お願いします!」と丸投げできる。
この精神的な負担の軽さは、遺品整理などで疲れている時には、本当にありがたいポイントだと思います。
壊れている・状態が悪い楽器でも査定可能な場合がある
「価値が不明」という点とセットで不安なのが、「状態が悪い」楽器ですよね。
「ギターの弦が全部切れてる(というか、錆びてる)」
「管楽器がくすんでて、ピカピカじゃない」
「キーボードの鍵盤がいくつか戻ってこない」
「アンプに繋いでも音が出ない(気がする)」
…こんな状態だったら、「査定に出すなんて、とんでもない!」と思ってしまいますよね。
個人売買(フリマアプリ)なら、まず「ジャンク品」として買い叩かれるか、そもそも売れません。
学校や施設への寄付なんてもってのほかです。
「やっぱり、捨てるしかないか…」と諦めてしまいそうになります。
しかーし!ここも専門の買取サービスのすごいところ。
たとえ壊れていたり、状態が悪かったりする楽器でも、「査定対象です」と言ってくれるケースが、実はかなり多いようなんです。
なぜかと言うと、多くの専門業者は、自社で楽器を修理(リペア)する工房や技術を持っているから、と言われています。
私たちが見て「もうダメだ」と思うような状態でも、プロの手にかかれば修理して再生させ、再び商品として販売できるルートを持っているんですね。
ですから、「こんなボロボロなもの、査定に出すなんて迷惑じゃないかな…」と、こちらが変に遠慮する必要はあまりないみたいですよ。
「ジャンク品」でも値段がつく理由
いわゆる「ジャンク品(壊れたもの、正常に動作しないもの)」でも、なぜ値段がつく可能性があるんでしょうか。
その理由は、いくつかあるようです。
一つは、「パーツ(部品)としての価値」です。
例えば、ギターが本体(木材部分)はもうダメでも、そこに使われているピックアップ(音を拾うマイク)やペグ(弦を巻く金具)が、特定の年代の希少なパーツだったりすると、それだけを欲しがる人がいるんですね。
業者は、そういったパーツを取り外してストックし、修理用やリペア愛好家向けに販売するために買い取ることがある、とされています。
もう一つは、先ほども触れた「修理・リペアのノウハウ」です。
一般の楽器店で修理を頼むと高額になるような故障でも、自社でノウハウを持っている業者は、安いコストで修理が可能です。
だから、一般的には「修理費が高すぎて価値ゼロ」と判断されるものでも、「うちなら直せるから買い取りますよ」となる場合があるんですね。
非常に古いヴィンテージ楽器なんかだと、たとえ完全に壊れていても、その「存在自体」が資料的な価値を持つ、なんてケースもあると聞きます。
「素人判断で『ゴミ』と決めつけるのは、本当にもったいない」というのが、お分かりいただけるんじゃないかな?と思います。
重い・大きい楽器も「出張買取」でラクラク
実家の片付けで直面する、もう一つの大きな壁。
それは「物理的な大変さ」です。
もし見つかった楽器が、ピアノやエレクトーン、ドラムセット、あるいは大型のスピーカーキャビネット(アンプ)、コントラバスなんかだったら…?
正直、途方に暮れますよね。
大人の男性が二人以上いないと、びくともしない。
無理に動かそうとして、実家の床や壁を傷つけてしまったら大変です。
第2章でも触れたように、これら大型楽器は、自治体の粗大ゴミでは「収集不可」に指定されていることが多く、専門の廃棄物処理業者に頼むと数万円の処分費がかかることも珍しくありません。
ここで、楽器買取サービスの「出張買取」が、めちゃくちゃ輝いて見えるわけです。
電話やインターネットで申し込むと、査定員が自宅(実家)まで来てくれます。
そして、その場で楽器を査定し、金額を提示してくれます。
もし、その金額に納得すれば、契約成立。
その後の「運び出し」作業も、専門のスタッフさんが全部やってくれるんです。(※サービス内容は業者さんによりますので、確認は必要ですが)
私たちは、重いものを一切持つ必要がなく、ただ「お願いします」と見守るだけ。
あのどうしようもなかった巨大な楽器が、家のスペースから消えて、しかも(価値があれば)お金に変わる。
これは、特に力仕事が難しい方や、高齢の親御さんの家を片付ける際には、計り知れない大きなメリットですよね。
実家が遠方でも対応できる?
ここで、「なるほど、出張買取は便利そう」と思っても、ひとつ疑問が浮かぶかもしれません。
「自分は東京に住んでいるけど、片付けが必要な実家は、九州や東北の、ちょっと地方なんだよね…」というケースです。
「そんな遠い場所まで、わざわざ査定に来てくれるんだろうか?」と不安になりますよね。
これも、業者さんによりますが、大手の楽器買取サービスであれば、全国各地に拠点を持っていたり、かなり広い「出張対応エリア」をカバーしていたりすることが多いです。
中には「全国対応」を謳っているサービスもあります。
まずは、気になる買取サービスのホームページを見て、「出張買取エリア」がどこになっているかを確認してみるのが一番早いですね。
もし、残念ながら出張エリア外だったとしても、諦めるのはまだ早いかもしれません。
ギターやベース、管楽器、エフェクターなど、比較的「段ボールに梱包できる」サイズの楽器であれば、「宅配買取」という方法が使える場合も多いです。
これは、楽器を業者に送って査定してもらう方法ですね。
業者によっては、梱包用の段ボールや緩衝材をセットにした「宅配キット」を無料で送ってくれるところも多いようです。
実家にそのキットを送って、親御さんや自分が帰省したタイミングで梱包して送る、という使い方もできそうですね。
複数まとめて査定OK!楽器以外の機材も相談できる
実家の押入れや物置って、楽器本体だけじゃなく、関連する「よくわからない機材」も一緒に出てきませんか?
「この黒い箱なに?(アンプ)」
「足元に置く、このスイッチみたいなの何?(エフェクター)」
「やたら重いスピーカー」
「ぐちゃぐちゃに絡まった大量のケーブル(シールド類)」
「マイクとか、譜面台とか、スタンドとか…」
これ、もし個人売買するなら、一点一点キレイにして、相場を調べて、出品して…と気が遠くなる作業です。
自治体のゴミで出すにも、「これは何ゴミ?」「これは小型家電?」と、分別が本当に面倒ですよね(第2章でやりましたね…)。
楽器買取サービスなら、こういった「楽器関連の機材」も、まとめて査定してくれるところがほとんどなんです。
「楽器本体と、あと、この辺にあるよく分からない機材も、全部見てもらえますか?」とお願いできる。
これは、時間的にも精神的にも、めちゃくちゃラクだと思いませんか?
査定員さんが「あ、これはアンプですね」「これはエフェクターで、今も人気ありますよ」「あ、このケーブル類は残念ながらお値段つきませんが、無料で引き取っておきましょうか」といった感じで、テキパキと仕分け・査定してくれます。
「これは楽器じゃないかも…」と思うようなものでも、音響機材なら扱っている場合も多いので、まずは「これも見れますか?」と相談してみる価値は、大いにあると思います。
遺品整理や片付けの「手間」と「時間」を大幅に削減
さて、ここまで「楽器買取サービス」のおすすめ理由を色々と見てきました。
「プロが査定してくれる安心感」
「壊れていても査定可能」
「重いものも運び出してくれる」
「関連機材もまとめてOK」
…これらのメリットを、ぎゅっと一言でまとめると、どうなるか。
ずばり、「遺品整理や片付けにかかる『手間』と『時間』を、大幅に削減できる」ということだと私は思います。
読者の方は今、実家の片付けで、楽器以外にもやることが山積みのはずです。
衣類、食器、本、写真、家具、家電…。
そんな中で、楽器の処分方法を自治体に問い合わせたり、分別ルールを調べたり、フリマアプリで相場を検索したり、梱包材をホームセンターに買いに行ったり…。
そんな時間、正直もったいなくないですか?
楽器買取サービスを利用するというのは、そういった面倒な作業を、すべて「プロに外注(アウトソース)する」というイメージに近いのかもしれません。
査定の結果、もし査定額が数百円だったとしても。
あるいは、残念ながら値段がつかず「無料引取」だったとしても。
それによって「粗大ゴミに出す手間と費用(数百円)が浮いた」「あの重いピアノを運び出す費用(数万円)がゼロになった」「片付けが一日でスッキリ終わった」と考えれば、トータルで見て大きなプラスになる、とは思いませんか?
楽器の処分にかけていたはずの手間と時間を節約して、その分、もっと大切なこと(他の片付け作業や、ご家族との時間、ご自身の休息など)に使えるようになる。
これこそが、忙しい中で実家の片付けを進める上で、楽器買取サービスを利用する最大の意義じゃないかな、と思います。
失敗しない!楽器買取サービスの賢い選び方 5つのポイント

さて、前の章までで「実家の古い楽器の処分には、楽器買取サービスが便利そうだぞ」となんとなく感じていただけたかな?と思います。
でも、ここからが次の悩みどころですよね。
「わかった。じゃあ、どこの業者に頼めばいいの?」
インターネットで「楽器 買取」なんて検索すると、本当にたくさんの業者がヒットします。
大手から、地域密着の小さなお店まで、さまざまです。
読者の方としては、「実家の(もしかしたら価値あるかもしれない)楽器を、変な業者に安く買い叩かれたり、後からトラブルになったりするのは、絶対に避けたい!」というのがホンネだと思います。
そこでこの章では、数ある楽器買取サービスの中から、信頼できる「まともな」業者を選ぶために、最低限チェックしておきたい「5つの重要なポイント」を、中立的な視点でまとめてみました。
ぜひ、業者選びの参考にしてみてくださいね。
ポイント1:楽器専門の鑑定士が在籍しているか
まず、これが一番、いっちばん大事なポイントだと私は思います。
それは、「楽器の専門知識を持った鑑定士(査定員)が、ちゃんと在籍しているか」という点です。
なぜなら、私たちが今まさに悩んでいることの根本は、「その楽器の価値が、自分たちにはサッパリわからない」ことだからです。
その「わからない価値」を正しく判断してもらうには、やっぱり「その道のプロ」にお願いするしかありません。
実家で見つかったホコリまみれの古いギターが、単なる「古いギター」なのか、それとも「1970年代の希少なジャパンヴィンテージ」なのかを見極めるには、ブランドの歴史、年代ごとの仕様変更、木材の種類、現在の市場相場など、膨大でマニアックな専門知識が必要になります。
業者のホームページを見て、「当店は楽器専門の鑑定士が査定します」「査定員は全員が楽器経験者です」「〇〇(楽器名)の専門査定員が対応」といったことを、ちゃんとアピールしている業者を選ぶべきですね。
ここを曖昧にしている業者は、ちょっと注意が必要かもしれません。
総合リサイクルショップとの違い
この「楽器専門」の重要性を、もう少し分かりやすくするために、近所にある「総合リサイクルショップ」との違いを考えてみましょう。
洋服も、家電も、本も、そして楽器も…と、なんでも買い取ってくれる、あのお店ですね。
ああいったお店の店員さん(アルバイトの方も多いですよね)は、もちろん楽器の「専門家」ではありません。
彼らの査定基準は、多くの場合、「メーカー名(例:YAMAHA)と型番(例:FG-180)が、お店の買取マニュアル(データベース)に載っているか」「見た目がキレイか」「(ギターなら)弦が張ってあるか、アンプに繋いだら音が出るか」…といった、非常に表面的な部分だけになりがちだ、と言われています。
そうすると、どうなるか。
マニュアルに載っていないような古い楽器(無名メーカーだけど実は希少、とか)や、一見ボロボロだけどマニアには需要があるヴィンテージ品、あるいはフルートやサックス、お琴といった専門知識が必要な楽器は、その価値をまったく判断できません。
結果、「よく分からないものだから」と、一律で数百円、という残念な査定額を提示されたり、ひどい場合は「うちでは扱えません」と買取を拒否されたりする可能性が高いようです。
楽器専門の鑑定士は、その楽器の「背景」や「本当の市場価値」まで見てくれる。
総合リサイクルショップは、あくまで「再販できるか」というマニュアル基準でしか見ない(見られない)。
この違いは、本当に大きいですよ。
ポイント2:出張買取や宅配買取に対応しているか
さて、2つ目のポイントは「利便性」です。
業者さんの「査定の質」が良くても、利用しにくかったら意味がないですよね。
前の章でも触れましたが、私たちが今やろうとしているのは「実家の片付け」です。
「とにかく手間をかけたくない」「ピアノやドラムセットなど、重くて運び出せないものがある」「そもそも実家が遠方にあって、なかなか行けない」…こういった、さまざまな「面倒くさい問題」が常につきまといます。
これらの問題を一挙に解決してくれるのが、そう、「出張買取」や「宅配買取」といったサービスなんです。
ですから、業者を選ぶ際には、「自分の状況に合った買取方法(出張 or 宅配)に対応しているか」を、必ずチェックしてください。
例えば、ピアノやエレクトーン、ドラムセット、大型アンプがある場合は、「出張買取」に対応していることが必須条件になりますよね。
逆に、実家は遠方だけど、処分したいのはギターやベース、管楽器、エフェクターなど、なんとか段ボールに梱包できそうなものだけだ、という場合は、「宅配買取」(できれば宅配キット無料)に対応している業者が便利です。
もし「持ち込み(店頭買取)のみ」という業者さんだったら…。
結局、自分でその重い楽器を車に積んで、お店まで運転して運び込む…という、あの面倒な作業が発生してしまいます。
それでは、買取サービスを利用するメリットが半減してしまいますよね。
ポイント3:査定料や手数料は無料か
3つ目のポイントは、読者の方が「お金の面で損をしない」ために、非常に重要なチェック項目です。
そもそも、私たちは「価値がわからないもの」を見てもらうわけです。
もしかしたら、価値がゼロ円(買取不可)かもしれない。
それなのに、「見てもらう」ためだけに、まずこちらがお金を払う必要があるとしたら、すごく不安じゃないですか?
「査定してもらったけど、値段がつかなかった。おまけに査定料だけ取られた…」なんてことになったら、最悪ですよね。
ですから、業者のホームページをしっかり見て、「査定料 無料」「出張料 無料」「宅配送料(業者に送る時の送料) 無料」といったことを、ハッキリと分かりやすく明記している業者を選びましょう。
今どき、まともな楽器買取サービスであれば、これらの「査定にかかる基本的な費用」は、ほとんどの場合「無料」にしていることが多いようです。
逆に、ホームページの隅っこの、すごく分かりにくい場所に、小さな文字で「査定料 〇〇円」とか「出張基本料 〇〇円を申し受けます」なんて書かれている業者は…。
個人的には、ちょっと警戒してしまうかもしれません。
キャンセル料の有無もチェック
この「手数料無料」という話と、密接に関連する「落とし穴」があります。
それが「キャンセル料」です。
例えば、出張査定に来てもらって、「このギターは、状態が悪いので500円ですね」と査定額を提示されたとします。
読者の方が「うーん、500円なら、やっぱり売るのをやめて、思い出として取っておこうかな」と考える。
これ、当然の権利ですよね。
この、「査定額を聞いた後で、売るのをやめる(=キャンセルする)」ことが、ペナルティなしで(=無料で)できるかどうか。
これを、査定を申し込む前に、必ず確認しておくべきなんです。
残念なことに、一部の悪質な業者の場合、「査定は無料です!」と言って家に来ておきながら、いざ私たちが「その金額じゃ売りません」と断った瞬間に、「そうですか。では、出張手数料として〇万円いただきます」とか「キャンセル料が発生します」と、高額な費用を請求してくるケースが報告されているようです。
こうなると、怖くて「じゃあ、売ります…」と言うしかなくなってしまいますよね(いわゆる「押し買い」に近い状態です)。
ですから、ホームページに「査定額にご納得いただけない場合は、その場で(出張買取なら)お断りいただいても、一切費用はかかりません」とハッキリ書いてあるかを確認しましょう。
宅配買取の場合も同様です。「査定額にご納得いただけない場合、お品物は返送いたします」とあるか。
この時、さらに地味ですが重要なのが、「返送時の送料」が「お客様負担(元払い)」なのか「業者負担(無料)」なのかです。
「返送料も無料」という業者は、かなり査定に自信がある、良心的な業者さんだな、と私は思いますね。
ポイント4:買取実績や口コミ・評判はどうか
4つ目のポイントは、その業者が「本当に信頼できるのか」を判断するための、客観的な材料の集め方です。
ホームページが立派でも、言っていることが本当かどうか、ちょっと不安ですよね。
そこで、まずチェックしてほしいのが、その業者のホームページ内にある「買取実績」や「買取事例」のページです。
「2024年〇月〇日 〇〇県〇〇市在住 〇〇様より Gibson Les Paul 1970年代 〇〇万円で買取いたしました」
といった感じで、具体的な「いつ」「どこで」「何を」「いくらで」買い取ったか、という情報が、楽器の写真付きで、どれだけ頻繁に更新されているかを見てみましょう。
この「買取実績」がすごく充実している業者は、それだけ「日々、多くの査定をこなしている」という証拠ですし、「こんなに良い楽器を、この値段で買い取ってますよ」という自信の表れでもある、と推測できますよね。
次に、Googleマップの口コミ(お店がある場合)や、X(旧Twitter)、あるいは個人のブログなどで、その「業者の名前」を検索して、「リアルな評判(口コミ)」を調べてみるのも、とても参考になると思います。
「査定の連絡が早かった」「説明が丁寧で安心できた」といった良い口コミもあれば、もちろん「思ったより査定額が安かった…」といったネガティブな意見も出てくるかもしれません。
100%良い口コミだけの業者というのも珍しいですから、あまり極端な意見に振り回されず、全体的なバランスを見るのがコツかなと思います。
特に、悪い口コミに対して、業者が「申し訳ありませんでした」「ご説明しますと…」といった感じで、誠実に返信や対応をしているかどうか、なんかも、信頼度を測る良い材料になるかもしれませんね。
ポイント5:自分の楽器のジャンルに強いか(例:ギター、管楽器、和楽器など)
最後の5つ目のポイントです。
これは、どちらかというと「より高く買い取ってもらう」ための、少し上級者向けのテクニックになるかもしれません。
ポイント1で「楽器専門の業者がいい」と言いましたが、実はその「楽器専門」の中にも、さらに「得意分野(ジャンル)」があることが多いんです。
例えば、こんな感じです。
・エレキギター、ベース、アンプ、エフェクターといった「バンド系機材」に滅法強い業者。
・バイオリン、チェロ、フルート、サックスなどの「クラシック系・管楽器」に強い業者。
・お琴、三味線、尺八、和太鼓などの「和楽器」を専門的に扱っている業者。
・シンセサイザーやDJ機材などの「デジタル楽器・PCDTM機材」に強い業者。
考えてみれば、当然ですよね。
もし、読者の方の実家で見つかったのが「おばあちゃんが使っていたお琴」だったとします。
そのお琴を、ホームページで「エレキギター高価買取!」とガンガンアピールしている業者さんに査定に出すより、ちゃんと「和楽器の買取実績」が豊富に載っている業者さんに出すほうが、そのお琴の価値を正しく評価してくれる可能性が高い。
これ、すごく納得できる話じゃないですか?
ですから、査定を申し込む前に、その業者のホームページの「買取実績」や「取扱商品」のページをもう一度よく見て、「自分が見つけた楽器のジャンル」と、その業者の「得意そうにしているジャンル」が、なるべく一致しているかを確認してみる。
これも、賢い業者選びの大事なテクニックの一つとして、ぜひ覚えておいてほしいポイントですね。
こんな楽器でも売れる?よくある疑問を解決!

ここまで、楽器買取サービスのメリットや、賢い業者の選び方について見てきました。
「なるほど、便利そうだな」「一度、査定を頼んでみようかな」と、少し前向きな気持ちになっていただけていたら嬉しいです。
とはいえ、です。
読者の方の頭の中には、「理屈はわかったけど、ウチの実家にある、この『どうしようもない楽器』は、さすがにダメなんじゃないの…?」という、具体的な不安がまだ残っているかもしれません。
この章では、そんな「よくある疑問」や「最悪のケース」を想定したQ&A方式で、読者の方の最後の不安を解消していきたいと思います。
結論から言うと、「諦めて捨てる前に、まずは一度プロに相談しましょう!」に尽きるのですが、もう少し詳しく見ていきましょうね。
メーカーや型番がわからない…
これ、実家の片付けでは「あるある」No.1かもしれません。
楽器のヘッド(先端)や本体を見ても、ロゴが消えかかっていたり、かすれて読めなかったり。
見たこともないような変なマーク(失礼!)が書いてあるだけで、メーカー名がわからない。
ギターのサウンドホール(丸い穴)の中を覗いても、ラベルが剥がれているか、そもそも何も書いていない…。
「こんな正体不明のもの、査定に出せるわけないよな」と思ってしまいますよね。
でも、待ってください!
「まったく問題ありません!」
それこそが、私たちが素人判断で「価値がわからない」と悩んでいる、典型的なパターンなんです。
楽器専門の鑑定士さんは、そういう「正体不明」の楽器を鑑定するプロです。
一般的には、楽器全体の形状、使われているパーツ(弦を巻くペグ、ブリッジといった金具やネジの種類など)、木材の質感、ロゴの痕跡、残されたラベルの断片…そういった様々な情報(いわば「証拠」ですね)を組み合わせて、「これは、どこのメーカーが、いつ頃製造した、どのモデルだろう」と特定していく知識と経験を持っている、と言われています。
ですから、私たちは「メーカーも型番も、何もわかりません」と正直に伝えた上で、そのまま「お願いします!」と査定を依頼してしまえばOKなんです。
それが、専門のプロに頼む最大のメリットなんですから。
キズや汚れ、サビがひどい状態だけど…
次も「あるある」ですね。
押入れの奥から出てきたら、まずホコリまみれ。
ケースを開けたら、なんだかカビ臭い…。
ギターの弦は真っ赤にサビていて、金属パーツもくすんだり、茶色いサビが浮いていたり。
ボディ(本体)も、よく見たら細かいキズだらけで、ツヤなんてまったくない。
「こんなに汚くてボロボロなもの、査定に出すなんて迷惑だ…」
そのお気持ち、すごくよく分かります。
たしかに、新品同様のピカピカな状態に比べれば、査定額は下がってしまう可能性が高いです。これは、正直にお伝えすべき事実ですね。
しかし、「査定額が下がる」ことと、「価値がゼロ(買取不可)になる」ことは、イコールではありません。
第3章でも触れましたが、多くの専門業者は、自社でクリーニングやリペア(修理)の工房を持っています。
彼らは、その楽器の「汚れを落とし、必要な修理を施した後の、再販できる状態」をイメージして査定額を算出してくれることが多いようです。
私たちが「うわ、汚い!」と思っているホコリや汚れ、軽いサビ程度なら、プロの技術でかなりキレイになることを彼らは知っているんですね。
もちろん、ネックが真っ二つに折れているとか、ボディがバキバキに割れている、といった「致命的な破損」は、さすがに厳しい場合もあります。
(とはいえ、それでもパーツ価値が残る可能性はありますが…)
ちなみに、一部の古いヴィンテージギターなんかだと、キズや塗装の剥げが「弾き込まれた証(あかし)」として、むしろ「味」として好まれる(レリック加工、なんて言ったりします)ケースもあるくらい、楽器の世界は奥深いんです。
「汚いからゴミだ」と決めつけず、まずは「こんな状態ですが…」と見てもらうのが一番ですよ。
音が鳴るかわからない・壊れているかも…
「そもそも、これ、ちゃんと音が鳴るの?」
アンプやシールドケーブルがなければ、エレキギターやベースの音は確認できません。
キーボードやエレクトーンも、電源コードが見当たらなかったり、コンセントに挿すのが怖かったりしますよね。
(※実際、何十年も放置された古い電子楽器やアンプを、いきなりコンセントに挿すのは危険です!内部のコンデンサーなどが劣化していて、ショートしたり、最悪の場合、火を噴いたりする可能性もゼロではないと言われています。絶対にやめましょう。)
鍵盤がいくつか沈んだまま戻ってこない、管楽器のピストン(押すところ)が固着して動かない…など、どう見ても「壊れている」状態。
これも「もうダメだ」と諦めてしまいそうになりますよね。
でも、これも第3章の「『ジャンク品』でも値段がつく理由」で触れた通りです。
専門業者は、そういった「壊れた楽器」を修理して再販するノウハウやルートを持っています。
あるいは、その楽器から「価値あるパーツ」だけを取り外して、修理用部品としてストックするために買い取る、という需要もあるとされています。
ですから、査定を申し込む際に、「アンプがないため、音が出るかわかりません」「鍵盤が一部動きません」「壊れている可能性が高い、ジャンク品です」と、ありのままの状態を伝えれば大丈夫です。
それを承知の上で、「じゃあ、拝見しますね」と言ってくれるのが、専門業者なんですね。
付属品(ケース、保証書など)が一切ない
「押入れから、ギター本体が“裸”で出てきた!」
「ケースはあるけど、金具が壊れてて、カビ臭くてとても使えそうにない…」
「何十年も前の楽器だから、保証書や説明書なんて、あるわけないよ」
これも、よくある心配事だと思います。
たしかに、ギブソンやマーチン、フェンダーといった海外の高級ブランド楽器の場合、購入時に付属していた「オリジナルのハードケース」や、「認定書」「保証書」といった書類は、その楽器が「本物であることの証明」や「コレクターズアイテム」としての価値を高めるために、非常に重要な役割を果たします。
それらが揃っていると、査定額がグンと上がるケースも多いのは事実です。
しかーし!
「それらがないからといって、買取を拒否されることは、まずありません」
なぜなら、査定額の基本となるのは、あくまで「楽器本体そのものの価値」だからです。
鑑定士は、楽器本体のシリアルナンバーや仕様を見て、それが本物かどうか、いつ頃のものかを判断します。
実家の片付けで何十年ぶりに出てきたような古い楽器の場合、付属品がキレイに揃っていないことの方が、むしろ「普通」ですよね。
「付属品、一切ありません」と、堂々と伝えて大丈夫ですよ。
(あ、もしボロボロでも「これが純正っぽいな」というケースが残っているなら、念のためそれも一緒に見せた方が良いかもしれません。ケース自体に希少価値がある、なんていう稀なケースも、ないとは言えませんからね。)
かなり昔の古い楽器(ヴィンテージ品)の価値は?
さて、これが核心的な疑問かもしれません。
「こんなに古いんだから、もしかして『ヴィンテージ』として、ものすごい価値があるんじゃ…?」という期待。
それと同時に、「いやいや、ただの『古いガラクタ』で、価値なんてゼロなんじゃ…?」という不安。
この問いに対する答えは、ずばり、「どちらの可能性も、大いにあります!」です。
ここが、楽器の価値判断で、一番難しくて、一番面白いところなんですよね。
世の中には、ご存知の通り「ヴィンテージ楽器」と呼ばれる、特定の年代(例えば1950年代〜60年代)に製造されたギターやベース、サックスなどが存在します。
これらは、当時の作りが良かったり、歴史的な価値があったり、有名なミュージシャンが使っていたり…といった理由で、今やコレクターズアイテムとなり、状態によっては数百万円、数千万円という、とんでもない価格で取引されています。
一方で、同じ「古い楽器」でも、1970年代〜80年代頃に、当時の入門用(初心者向け)として、安価に大量生産された楽器も、世の中には五万とあります。
そういった楽器は、残念ながら「ただの古い、あまり質の良くない楽器」として、今もほとんど価値が認められない(数千円、あるいは買取不可)というケースも、非常に多いようです。
そして、最大の問題は、「この2つを、私たち素人が見分けるのは、絶対に不可能」だということです。
見た目がボロボロでも、実は超お宝ヴィンテージかもしれない。
見た目が立派でも、実は入門用の量産品かもしれない。
だからこそ、なんです。
「実家から、よくわからない古い楽器が出てきた」時こそ、専門の鑑定士がいる楽器買取サービスに査定を依頼する「最大の意味」が、そこにあるんです。
もしかしたら、それは「当たりの宝くじ」かもしれません。
(もちろん、ほとんどは「ハズレくじ」かもしれませんが…)
そのくじが当たりかハズレか、無料で確認してもらえるチャンスがあるのに、それを確認もせずに「ゴミだ」と捨ててしまいますか?
私なら、絶対に一度、プロに見てもらいますね!
楽器を査定に出す前に!少しでも高く売るコツ

さて、ここまで読んでいただいて、「よし、どうせ捨てるくらいなら、一度、楽器買取サービスに査定を依頼してみようかな」と決心された方もいらっしゃるかもしれません。
そうなると、次に思うのは、やっぱりこれですよね。
「どうせ売るなら、1円でも…いや、100円でも高く買い取ってもらいたい!」
そのお気持ち、よーく分かります!
もちろん、元の状態がボロボロのものが、ピカピカの新品同様の価格になるような「魔法」はありません。
でも、査定を依頼する前に、ちょっとした「ひと工夫」をするだけで、査定員さんの心証が良くなったり、本来の価値から減額されるのを防いだりできる可能性があるんです。
ここでは、そんな「やっておいて損はない、簡単なコツ」を5つほどご紹介します。
「どうせゴミだ」と思っていたものかもしれませんが、せっかくなので、最後に少しだけ愛情(?)をかけてみませんか?
まずは楽器をキレイに掃除しよう
まず、基本中の基本ですが、これが意外と大事なんです。
ずばり、「できる範囲で、キレイにしておく」こと。
これは、フリマアプリに出す時でも、プロの買取サービスに任せる時でも、やっぱり同じなんですね。
考えてみれば当然ですが、押入れから出したままの、ホコリまみれで指紋がベタベタついた楽器と、少なくともホコリは拭き取ってあるキレイな楽器。
どちらが「大事に扱われてきた楽器かな」という印象を査定員さんに与えるか、一目瞭然ですよね。
査定員さんも人間ですから、見た目の第一印象は、査定額に(直接的ではなくても)何らかの影響を与える可能性がある、と言われています。
じゃあ、どう掃除すればいいか。
そんなに本格的にやる必要はまったくありません。
乾いた柔らかい布(メガネ拭きや、着なくなったTシャツの切れ端などで十分です)で、楽器の表面(ボディやネック)のホコリを優しく拭き取ってあげる。
金属パーツ(サビてないもの)がくすんでいたら、そこも軽くキュキュッと拭いて、指紋を落としておく。
たったこれだけでも、印象はかなり変わると思います。
ただし、ここで注意点!
楽器の知識がないのに、楽器用のクリーナー液(ポリッシュ)や、家庭用の洗剤、アルコールなどを使ってゴシゴシ磨くのは、絶対にやめましょう。
塗装を傷めたり、変色させたりして、逆に「状態が悪い」と判断され、減額されてしまう可能性があります。
無理にサビを落とそうとして、ヤスリなんかで擦るのも論外です。
あくまで「乾拭きで、優しくホコリと指紋を取る」程度にとどめておくのが、安全なコツですね。
付属品や関連品は一緒に査定に出す
前の章でも少し触れましたが、これは「高く売るコツ」としても、もう一度、強調しておきたいポイントです。
査定を依頼する時は、「楽器本体だけ」をドンと出すのではなく、「それに関連する付属品」も、わかる範囲で全部かき集めて、一緒に見てもらいましょう。
例えば、こんなものです。
・楽器が入っていたケース(純正品なら、たとえボロボロでも価値がある場合が!)
・購入時の保証書、説明書、認定書(年代や本物であることの証明になります)
・ギターのアーム(棒状の部品)、管楽器のマウスピース、弓(バイオリンなど)
・一緒に保管されていた譜面台、ギタースタンド
・アンプ、シールドケーブル、エフェクター、チューナー(音を合わせる機械)
・予備で買っておいたらしい弦や、メンテナンス用オイルなど
私たち素人から見たら、「こんなケーブル、ゴミだろう」「カビ臭いケースなんて、いらないよな」と思ってしまうようなモノでも、です。
査定員さんから見れば、「あ、純正ケースが残ってる(ポイント高いです)」「この年代の保証書があるのは貴重だ」「このエフェクター、今も人気あるんですよ」と、一つひとつが査定額をアップさせる(あるいは減額を防ぐ)材料になる可能性があるんです。
コツは、「これは関係あるかな?」と迷ったら、とにかく全部まとめて「この辺にあったもの、全部見てもらえますか?」と提示してみること。
それで「あ、これは不要ですね」と言われたら、その時初めて処分すればいいんですから。
楽器の情報をできるだけ調べておく
第5章で「メーカーや型番がわからなくても、プロが鑑定してくれるから大丈夫!」と言いました。
その通りなんですが、もし「少しでも有利に交渉したい」「安く買い叩かれたくない」と考えるなら、こちら側も「分かる範囲で情報を整理しておく」ことが、役に立つ場合があります。
なぜなら、査定員さんに「この人は(あるいは、元の所有者の方は)楽器のことを、ある程度は分かっているな」という印象を与えることができる(かもしれない)からです。
そうすると、査定員さんも「この人相手に、いい加減な査定はできないな」と、ちょっと背筋が伸びる…かもしれない、という(あくまで個人的な)期待ですね。
まずは、第1章でやったように、メーカー名や型番が読めないか、もう一度よく見てみましょう。
もしわからなくても、「これは父が、たしか1980年代頃に買ったと言っていた気がします」といった、「いつ頃の、誰のものか」というエピソードだけでも、鑑定士さんが年代を特定する重要なヒントになる場合があります。
もし型番(例:YAMAHA FG-180)がハッキリわかったなら、査定を依頼する前に、Googleなどで「FG-180 中古 相場」みたいに、軽くでいいので検索してみるのも手です。
そこで、もし「状態が良ければ5万円〜」といった情報が出てきたら、それが心の「お守り」になります。
実際に提示された査定額が「これは状態が悪いので500円ですね」だったとしても、「ああ、やっぱりそんなものか」と納得できるかもしれませんし、逆に「ネットだと結構高く出てきたんですけど、これはやっぱり状態が悪いから、この金額なんですか?」と、質問する「交渉材料」を持てるわけです。(もちろん、ネットの相場が絶対正しいとは限りませんが)
「何もわかりませーん、丸投げでーす」というスタンスよりは、少しでも情報武装(?)しておく方が、対等に話を進めやすいかな、と思います。
(可能なら)音が出るか簡単なチェックを
これも、あくまで「可能なら」そして「安全が確認できる場合のみ」という、強い前提条件付きのコツです。
何度も繰り返して恐縮ですが、第5章で注意喚起したように、「何十年も前のアンプや電子楽器を、興味本位でコンセントに挿す」のは、火事や感電の危険があるので絶対にやめてくださいね。
ここで言う「簡単なチェック」というのは、アコースティックギターやベース(アンプに繋がない状態)、バイオリン、管楽器、お琴、ピアノといった、「電源が不要」な楽器のことです。
例えば、アコースティックギターの弦が(サビていても)一応全部張ってあるなら、指でポロロンと弾いてみて、ちゃんと「音」として鳴るか、どこか変なビビリ(ジージーという雑音)が出ないか、耳を澄ましてみる。
トランペットやサックスの、指で押す部分(ピストンやキー)が、固着せずにカチカチと動くかどうか。
ピアノの鍵盤を、端から端まで全部押してみて、ちゃんと全部の音が鳴るか(戻ってくるか)。
これらをチェックして、査定員さんに「(アコギの)音は鳴るようでした」「(管楽器の)指で押すところは、全部動きました」と、一言伝えられるだけでも、査定員さんの手間が省けますし、「動作未確認の完全なジャンク品」という扱いではなくなる可能性があります。
ただし、これも無理は禁物です。
固着しているピストンを、力ずくで動かそうとして壊してしまったら、それこそ元も子もありません。
本当に「軽く触ってみる」「そっと弾いてみる」程度にしておきましょう。
複数の業者に見積もりを依頼する(相見積もり)
さて、最後のコツです。
これは、正直、ちょっと「面倒くさい」です。
でも、これが「少しでも高く売る」ためには、一番効果的で、一番本質的なコツだと、私は断言しても良いと思います。
ずばり、「複数の業者に見積もりを依頼する(=相見積もり(あいみつもり)を取る)」ことです。
なぜか。
それは、第4章の「賢い選び方」でも触れたように、買取業者にはそれぞれ「得意なジャンル」や「不得意なジャンル」、そして「その時の在庫状況」や「持っている販売ルート」が、まったく異なるからです。
例えば、実家から「古いエレキギター」と「古いお琴」が出てきたとします。
A社は「バンド系機材」に強いので、ギターには10,000円という良い値をつけてくれたけど、和楽器(お琴)は専門外なので、とりあえず1,000円だった。
B社は「和楽器」の専門ルートを持っているので、お琴にはしっかり8,000円の値をつけてくれたけど、ギターは今、在庫がダブついている(在庫過多)なので、5,000円だった。
…こんなことが、現実に(というか、日常的に)起こり得るわけです。
もし、読者の方がA社にしか査定を頼んでいなかったら、ギターはラッキーでしたが、お琴は1,000円で手放してしまい、B社に頼むより7,000円も損していたかもしれません。
逆もまた然り、ですね。
最近は、第4章で挙げたような「まともな」業者さんなら、「出張査定 無料」「宅配査定 無料」そして「査定後のキャンセル料も無料」というところが多いです。(※ここは、しつこいようですが、必ず事前に確認してくださいね!)
ですから、最低でも2社、できれば3社くらいに、同じ楽器(群)を見てもらい、見積もり額を比較する。
そして、「実はA社さんは、ギターとお琴、全部で11,000円だったんですけど、B社さんはどうですか?」と、正直に(あるいは、ちょっとだけ駆け引きして?)交渉してみる。
実家の片付けでただでさえ忙しい中で、複数の業者とやり取りするのは、確かに「面倒くさい」作業です。
でも、「少しでも高く売りたい」と本気で考えるなら、この「相見積もり」に勝るテクニックはありませんよ。
実家の楽器、どこに頼む?主な楽器買取サービスの特徴

さて、これまでの章で「楽器買取サービスが便利そうだ」ということは分かってきました。
でも、「じゃあ、具体的にどこに電話すればいいの?」となりますよね。
第4章では「賢い選び方 5つのポイント」をご紹介しましたが、ここでは(2025年10月現在で)インターネット検索などでよく名前を見かける、代表的な楽器買取サービスをいくつかピックアップして、それぞれの「強み」や「特徴」を、中立的な視点で見てみたいと思います。
業者さんごとに、かなり特色があって面白いですよ。
楽器高く売れるドットコム
まず、名前を聞いたことがある方も多いかもしれないのが「楽器高く売れるドットコム」さんです。
ここの一番の特徴は、なんといっても運営会社(株式会社マーケットエンタープライズ)が「東証プライム上場企業」であること。
「よくわからない業者に、実家(や個人情報)を教えるのはちょっと不安…」と感じる方にとって、この「上場企業が運営している」という安心感は、すごく大きなポイントになるんじゃないかな?と思います。
もちろん、全国対応の「出張買取」「宅配買取」にもしっかり対応しています。
特に宅配買取では「スピード集荷」というサービスを導入しているようで、例えば「14時までに依頼すれば、その日のうちに宅配業者が集荷に来てくれる」(※エリアなど条件によるようです)といったスピード感も魅力みたいですね。
また、ここは「楽器専門」の査定員さんが在籍していると同時に、もともとが「高く売れるドットコム」という総合買取サービスの一部門でもあります。
ということは、もし実家に楽器以外にも「使ってない家電」や「よくわからない骨董品」「オーディオ機器」なんかが転がっていた場合、「すみません、これもついでに見てもらえませんか?」と、まとめて相談できる可能性があるんです。
「実家の不用品を、まるっと片付けたい!」というニーズには、かなり便利な存在かもしれません。
累計の利用者数も710万人以上(※公式サイト情報 2024年6月時点)と、非常に多いようで、実績を重視する方にも安心材料になりそうですね。
楽器の買取屋さん
次にご紹介したいのが「楽器の買取屋さん」です。
ここのホームページなどを見て、一番「おっ!」と思う特徴は、その「スピード感」のアピールです。
「最短即日30分で、ご自宅まで出張買取に伺います!」といったことを、かなり強く打ち出しているんですね。(※もちろん、これはお住まいの地域や、申込みの混雑状況、時間帯にもよると思いますが)
実家の片付けって、「思い立ったが吉日」で、「もう今すぐ!今日中にでも、この邪魔な楽器をどうにかしたい!」と、緊急性が高まる瞬間、ありますよね。
そんな「スピード重視」のニーズには、一番響くサービスかもしれません。
もちろん、全国対応の出張買取・宅配買取を(多くの地域で)展開しており、査定料、手数料、出張料なども無料と謳っているようです。
また、第5章の「こんな楽器でも売れる?」で心配したような、「壊れた楽器(ジャンク品)」や「状態が悪い楽器」の買取にも積極的である、とされているようなので、「ウチのはボロボロだから…」と躊躇している方でも、比較的相談しやすい雰囲気があるかな、と思います。
年間1万件以上の取引実績(※公式サイト情報)があるとのことで、スピードだけでなく、経験値も豊富そうですね。
イシバシ楽器
「やっぱり、よくわからない業者より、昔から知ってる『楽器屋さん』に頼みたい」
そう考える方も、当然いらっしゃると思います。
そんな方の最有力候補になるのが、こうした老舗の「楽器専門店」ですよね。その代表格の一つが「イシバシ楽器」さんです。
(ほかにも、クロサワ楽器さんや島村楽器さんなど、有名な楽器店がたくさんありますね)
イシバシ楽器さんは創業80年以上(!)とも言われる、老舗中の老舗。
ここの最大の強みは、なんといってもその「信頼性」と「専門知識の深さ」でしょう。
特に、実家から出てきたのが、ギブソンやフェンダー、マーチンといった「海外の有名ブランド楽器」だったり、「もしかしたら、これ、ヴィンテージ品かも…?」と淡い期待を抱いていたりするような、専門的な知識が査定額に直結しそうな楽器の場合。
総合買取店よりも、こうした「楽器専門店のプロの目」で、しっかりとその価値を見極めてほしい、と思うのが人情ですよね。
自社で修理(リペア)工房を持っていることも多く、多少の不具合(ネックの反り、ガリ音など)があっても、「自社で直せる」前提で、その価値を正しく判断してくれそうな期待感があります。
買取方法も、全国の店舗に直接持ち込む「店頭買取」はもちろん、「宅配買取」「出張買取」と、ニーズに合わせて柔軟に対応しているようです。
バイセル・福ちゃん(楽器以外の不用品もまとめて相談)
「え?バイセルとか福ちゃんって、着物とか切手の買取じゃないの?」
CMなどを見て、そう思われている方も多いかもしれません。
確かに、「バイセル」さんや「福ちゃん」さんは、着物、古銭、ブランド品といった「総合買取」のイメージが非常に強いですよね。
でも実は、こういった大手総合買取サービスも、「楽器」の買取にかなり力を入れているんです。
このタイプのサービスの最大の強みは、まさにその「総合力」。
実家の片付けって、楽器だけじゃなく、「お母さんが昔着ていた着物」とか「おじいちゃんが集めてた切手や古銭」「よくわからない掛け軸や壺」「昔のブランドバッグ」なんかが、一緒に出てくるケース、すごく多いですよね。
楽器はA社、着物はB社、骨董品はC社…なんて、いちいち別の業者に連絡するの、めちゃくちゃ面倒くさいです。
「バイセル」や「福ちゃん」なら、「すみません、楽器と、あとこの着物と、この壺も、まとめて見てもらえませんか?」と、一括で相談できる可能性が高いんです。
「バイセル」(運営会社は東証上場企業)は、特に査定員さんの「対応の丁寧さ」や「スピード感」について、良い口コミをよく見かける印象があります。(一方で、査定額については「安かった」という声も「高かった」という声もあり、賛否が分かれる側面もあるようですが、これはどの業者でも言えることかもしれません)
「福ちゃん」も、非常に幅広いジャンルの買取実績(累計800万点以上 ※公式サイト情報 2025年3月時点)をアピールしており、経験豊富さがうかがえます。
どちらも、全国対応の出張買取・宅配買取(査定料・出張料・キャンセル料などは無料)に対応していると謳っているので、「楽器以外の不用品も丸ごと片付けたい」というニーズには、非常に心強い選択肢になると思います。
(補足)島村楽器などの「下取り」サービス
最後に、これは「買取」とは少し毛色が違いますが、「下取り」という選択肢についても補足しておきます。
もし、読者の方が「実家の古いギターを処分するのをキッカケに、どうせなら自分が新しいギター(や他の楽器)を買っちゃおうかな!」と、ひそかに企んでいる(?)場合。
その場合は、「下取り」が非常にお得になる可能性があります。
「島村楽器」さんや「イシバシ楽器」さんといった、楽器の「販売」も行っている大手楽器店では、そのお店で「新しい楽器を購入する」ことを条件に、今持っている古い楽器を、通常の「買取」査定額よりも高く(例えば、査定額が10%〜20%アップする、といったキャンペーン)引き取ってくれる「下取りサービス」を実施していることが多いんです。
これは、新しく楽器を買う方にとっては、すごく嬉しいサービスですよね。
ただ、これはあくまで「買い替え」が前提です。
今回の記事のメインテーマである「実家の片付けで、単純に処分・現金化したい」という目的とは、少しズレるかもしれませんので、あくまで「こんな方法もありますよ」という補足として、頭の片隅に置いておくと良いかなと思います。
アドバイス:特徴を比較して「相見積もり」を
さて、ここまでいくつかの代表的なサービスの特徴を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
(もちろん、ここで紹介したのは、世の中に数多くある業者さんの、ほんの一部に過ぎません。他にも素晴らしい業者はたくさんあると思います。)
「スピード」を重視するなら「楽器の買取屋さん」。
「専門店の信頼性」を重視するなら「イシバシ楽器」。
「上場企業の安心感と総合力」なら「楽器高く売れるドットコム」。
「楽器以外のものと丸ごとお任せ」したいなら「バイセル」や「福ちゃん」。
…といったように、それぞれにハッキリとした「強み」や「特色」があることが、お分かりいただけたかな?と思います。
じゃあ、結局どこに頼むのが一番「高く売れる」のか?
それは、正直なところ「査定に出してみないと分からない」というのが結論です。
なぜなら、業者さんの「得意ジャンル」や、その時の「在庫状況」によって、同じ楽器でも査定額は変わってくるからです。
だからこそ、第6章の「高く売るコツ」でご紹介した、最後の手段。
「手間を惜しまず、複数の業者に『相見積もり』を依頼する」
これが、やっぱり一番重要になってくるんですね。
まとめ:実家の古い楽器は「楽器買取サービス」で賢く片付けよう
ここでは、実家の片付けや遺品整理で出てきた「古い楽器」の処分方法について、詳しく見てきました。
価値がわからず、重くて運び出すのも面倒で、どう捨てたらいいかもわからない…。
そんな八方ふさがりのような悩みを解決する、とても現実的で賢い選択肢が「楽器専門の買取サービス」だということが、お分かりいただけたかな?と思います。
一番もったいないのは、「どうせゴミだろう」と素人判断で決めつけて、価値あるもの(かもしれません!)を捨ててしまうことです。
最近は、査定料や出張料、キャンセル料が無料の業者さんも多いようです。
まずは気軽にプロの目に見てもらうことから始めてみませんか?
その楽器が、賢く片付くだけでなく、思わぬお小遣いに変わるかもしれませんよ。
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ここでは、実家の片付けや遺品整理で見つかった古い楽器の処分方法として、特に「楽器買取サービス」の利用を中心に詳しく掘り下げてきました。
「価値がわからなくても、プロに見てもらうのが一番」ということが、お分かりいただけたかな?と思います。
ただ、楽器を手放す方法は、もちろん買取だけではありません。
読者の方の状況によっては、「やっぱり他の方法も、もっと詳しく知っておきたい!」と思われるかもしれませんね。
そんな方のために、ここでは関連するトピックを深掘りした記事をいくつかご紹介します。
まず、「買取だけじゃなく、処分方法の全体像をもう一度しっかり比較検討したい!」という方は、こちらの記事がおすすめです。
使わなくなった楽器、どうしてる?賢い処分方法5選(買取・下取り・寄付・廃棄)
また、今回の記事でも触れましたが、「もし買取査定で値段がつかなかった…」「やっぱり自治体で『捨てる』しかない」となった場合に、具体的な捨て方や費用(粗大ごみ代)を詳しく知りたい方もいらっしゃると思います。
「捨てる」と決めた場合の正しい手順は、こちらで確認しておくと安心ですよ。
一方で、「故人の愛用していた楽器だから、お金にするのはちょっと…」「どうせなら、どこかで誰かに使ってもらいたい」と、「寄付」や「譲渡」という選択肢を真剣に考えている方もいるかもしれません。
とても素敵な考え方だと思います!
ただし、寄付には注意点もありますので、こちらの記事でメリット・デメリットを確認してみてくださいね。
最後に、「実家の楽器を処分して、自分が新しい楽器を買おうかな?」なんて考えている方(笑)。
その場合は、「買取」よりも楽器店での「下取り」の方が、お得になるケースがあります。
その二つの違いや、どちらが得なのかを比較した記事もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
ご自身の状況に一番合った「納得のいく」処分方法を、見つけてくださいね。
