「大事にしてきた相棒(楽器)を手放す決心がついた。」
でも、いざ買取に出そうと思うと、急に不安が押し寄せてきませんか?
「この傷、やっぱり減額されちゃうのかな…」
「付属品が見当たらないんだけど、これって致命的?」
「足元を見られて、安く買い叩かれたらどうしよう!」
その気持ち、痛いほどわかります。私も何度も機材を売ってきましたが、査定結果のメールを開く瞬間は、まるで合格発表のような緊張感がありますよね。
実は、楽器の査定には明確な「減額のルール」が存在します。
「どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか」
このボーダーラインを知っているかどうかで、手元に残る金額が数千円、いや数万円変わってくることだってあるのです。
この記事では、査定のプロがチェックしている「減額ポイント」の裏側を、包み隠さずお話しします。
査定に出す前にできる「悪あがき」の方法も紹介するので、少しでも高く売りたい方は、ぜひ最後までチェックしてくださいね。
あなたの愛機が、納得のいく価格で次のオーナーへと旅立てるように。一緒に作戦を練っていきましょう!
そもそも楽器査定で「減額」される理由とは?プロの視点を知ろう

「よし、このギターを売って新しい機材の資金にするぞ!」と意気込んで査定に出したものの、提示された金額を見てガックリ…
「えっ、こんなに安いの? 嘘でしょ?」と涙目になった経験、ありませんか?
私はあります。めちゃくちゃあります。
「ネットで調べた買取相場はもっと高かったのに!」と叫びたくなりますよね。大事に使ってきた愛機ならなおさら、「もっと評価してよ!」と思うのが親心というものです。
でも、ちょっと待ってください。査定員さんも、別に意地悪をしたくて金額を下げているわけじゃないんです(たぶんね)。
彼らが見ているのは、「次にこの楽器を買うお客さんがどう思うか」という一点に尽きます。
私たちが「思い出補正」込みで見ている楽器も、プロの目から見れば「シビアな商品」。次に販売するために直さなきゃいけない箇所があれば、当然その分コストがかかるわけです。
つまり、査定における「減額」というのは、お店側がリスクを回避するための防衛線でもあるし、次のオーナーへバトンを渡すための必要経費とも言えるのです。
とはいえ、納得できないものは納得できない!…ですよね。
そこでまずは、敵(?)を知ることから始めましょう。プロの査定員が一体「何を考えて」「どこを見て」減額ボタンを押しているのか。その思考回路を覗いてみることで、対策が見えてくるはずです。
「美品」と「B級品」の境界線はどこにある?
よくフリマアプリとかでも「美品です!」って書いてあるのに、届いてみたら「いやいや、これ傷だらけじゃん!」ってこと、ありますよね。
そう、「美品」の定義って、人によってめちゃくちゃ曖昧なのです。
私たち売り手側からすると、「大きな傷はないし、音も出るし、これって美品でしょ?」と思いたくなります。愛着があるから、多少の小傷なんて「味」に見えてくるし。
でも、査定のプロが見ている基準はもっとシビアです。
彼らにとっての「美品」とは、極端に言えば「ほぼ新品同様」のこと。「箱から開けて数回弾いただけ」とか、そういうレベルを指すことが多い気がします。
逆に、普通に使っていてつくような細かい擦り傷や、金属パーツのちょっとしたくすみ、これらがあるだけでランクは「良品」とか「並品」に下がります。
さらに、目立つ打痕(ぶつけた跡)があったり、塗装が欠けていたりすると、一気に「B級品」や「プレイヤーズコンディション」という枠に入れられてしまう。
「音には関係ないじゃん!」と言いたくなる気持ち、わかります。痛いほどわかります。
でも、中古楽器屋さんで自分が買う側の立場になって考えてみてください。
同じ値段なら、傷だらけのギターより、ピカピカのギターを選びますよね?
傷がある商品を売るには、値段を下げるしかない。だから、買取価格も下げざるを得ない。この「市場の残酷なルール」が、美品とB級品の境界線を作っているのです。
「自分の中の美品」と「市場価値としての美品」には、悲しいけれど大きなギャップがある…。まずはこの現実を受け入れるところから、高額査定への道は始まります(キチィーけどね!)。
査定員が最初に見るポイントはズバリ「第一印象」
人間関係でも「第一印象が9割」なんて言われますが、楽器の査定でもこれ、マジで当てはまります。
査定員さんが楽器ケースを開けた瞬間、あるいは段ボールから取り出した瞬間の「パッと見の雰囲気」。これが査定額を左右すると言っても過言じゃありません。
想像してみてください。
ケースを開けた瞬間に、タバコの匂いが「モワッ」として、指板には手垢がびっしり、ボディにはホコリが積もっている…。
そんな楽器を見たら、査定員さんはどう思うでしょうか?
「うわ、これは手ごわそうだな…」
「普段からメンテナンスされてないんだろうな。見えない部分(配線とかネックの状態とか)もガタが来てるかもしれないぞ…」
と、無意識に「疑いの目」でチェックを始めることになります。こうなると、些細なノイズや小さな傷に対しても厳しく判定されがちです。
逆に、ケースを開けた瞬間にピカピカに磨き上げられていて、清潔感があったらどうでしょう。
「おっ、前のオーナーさんは大事に使ってたんだな」
「これなら状態も良さそうだし、クリーニングの手間も省けるな」
と、好意的な目で見てもらえます。これ、結構デカいと思うんですよね。
査定員も人間です。「大事にされていた楽器」には敬意を払いたくなるし、「雑に扱われていた楽器」にはシビアになる。
だからこそ、査定に出す前には「お見合い写真」を撮るくらいの気持ちで、できる限り綺麗にしておくのが吉です。中身が変わらなくても、ガワが綺麗なら評価は上がる…かもしれない!
年式や型番だけじゃない!「状態」が価格を左右する
「このギター、定価20万円もしたんだから、せめて10万円くらいでは売れるでしょ?」
「ネットで検索したら、同じモデルの中古が15万円で売られてたよ!だから高く売れるはず!」
こんなふうに、「元値」や「相場」を基準に期待値を上げすぎてしまうこと、よくありますよね。
でも、現実はそんなに甘くないのです。
中古市場における「相場」というのは、あくまで「状態が良い場合」の最大値であることがほとんど。
たとえ伝説の名器と呼ばれるようなモデルでも、ネックが反って演奏不可能だったり、重要なパーツが欠品していたりすれば、価値はガクンと下がります。
逆に、そこまで高価なモデルじゃなくても、状態が完璧で付属品も全部揃っていれば、相場の上限ギリギリ、あるいはそれ以上の値段がつくことだってある。
つまり、「型番=基本給」だとしたら、「状態=歩合給」みたいなものです。
どんなにスペックが高くても、現状のコンディションが悪ければ評価されません。
特に注意したいのが、消耗品の状態です。
フレットがすり減ってボコボコになっていたり、金属パーツがサビて固着していたりすると、「これを直すのに〇万円かかるな…」と計算され、その分が容赦なく引かれます。
「ヴィンテージ楽器ならボロボロでも味になるじゃん!」と思うかもしれませんが、それはごく一部の例外的なモデルの話。
一般的な中古楽器においては、「いかに新品の状態に近いか」が正義なのです。
だから、「高いギターだから高く売れる」と盲信するのは危険。今のその子の「健康状態」こそが、査定額を決める本当の鍵を握っているのです。
「減額=悪」ではない?リペア費用と適正価格の考え方
査定結果のメールや用紙を見て、「〇〇の傷により -5,000円」「ガリノイズありのため -3,000円」なんて書かれていると、なんだか自分が否定されたような気分になりますよね。
「ちぇっ、粗探ししやがって…」と悪態をつきたくもなります。
でも、ここで一度冷静になって、「お店側の事情」を考えてみましょう(悔しいけどね)。
楽器店は、買い取った楽器をそのまま右から左へ流すわけではありません。
次に買うお客さんが安心して使えるように、分解清掃したり、弦を張り替えたり、調子の悪いパーツを交換したりして、「商品」として仕上げてから店頭に並べます。
そう、この「仕上げるための費用(リペア代・パーツ代・人件費)」こそが、減額の正体なのです。
例えば、ボリュームポットにガリ(回すとバリバリ言うノイズ)があるとします。
これを直すには、部品代は数百円でも、交換作業をするスタッフさんの技術料や時間がかかりますよね。お店としては、そのコストを見込んで査定額から引くしかない。
もし減額せずに買い取って、自分たちで修理費用を負担していたら、お店は潰れてしまいます。
つまり、減額は「不当な安値」をつけられているわけではなく、「現状のままだとかかる修理代を、先に引いておきますね」という、ある意味フェアな取引なんだと思います。
こう考えると、「減額=悪」というイメージが少し変わりませんか?
「まあ、確かにあのノイズは直さないと売れないよな…」と納得できれば、提示された金額も(涙を飲みつつ)受け入れやすくなるはずです。
逆に言えば、自分で直せるような簡単な不具合なら、直してから出した方が減額されずに済むってことでもありますね。
実は店舗によって「減額基準」が違うこともある
ここまで「減額には理由がある」と言ってきましたが、実はその「基準」はお店によって結構バラバラだったりします。
これがまた、私たちを悩ませる種なんですよね。
例えば、自社で専門のリペア工房を持っているような大きな楽器店。
こういうお店は、多少の故障なら社内のスタッフがパパッと直せちゃうので、修理コストを低く見積もることができます。
だから、「ジャックの接触不良」程度なら、ほとんど減額なしで買い取ってくれることもある。
一方で、楽器専門ではない総合リサイクルショップや、修理部門を持たない買取店の場合はどうでしょう。
彼らは自分たちで直せないので、外部の業者に修理を頼むか、あるいは「ジャンク品」として安く売るしかありません。
そうなると、リスク回避のために「音が出ないなら一律〇〇円減額!」みたいに、かなり厳しい査定基準を設けていることが多いです。
また、「傷に対する許容度」もお店のカラーによります。
「プレイヤー向けの楽器」を多く扱う店なら、多少の傷は気にせず機能面を評価してくれるかもしれませんが、「コレクター向けの美品」を中心にする店なら、小さな傷一つで大幅減額になることも。
つまり、A店で「これはボロボロだから5,000円ですね」と言われても、B店に持って行ったら「全然使えるじゃん!20,000円で買うよ」となる可能性が十分にあるってこと。
だからこそ、最初の一社の査定額を見て「こんなもんか…」と諦めるのはもったいない!
面倒くさいけど、複数のお店で見積もりを取るのが、やっぱり最強の自衛策なんだと思います。
【外観編】傷や汚れはどこまで許される?減額のボーダーライン

楽器は飾っておくものじゃなく、弾くものです。だから、使っていれば傷がつくのは当たり前。
ライブで暴れてヘッドをぶつけたり、ベルトのバックルでボディ裏が傷ついたり…。私たちにとってそれは、共に戦ってきた「勲章」であり「思い出」ですよね。
でも、悲しいかな、査定の現場においてその「思い出」は一切考慮されません。むしろ「マイナスポイント」として冷徹にカウントされてしまいます。
「じゃあ、ちょっとでも傷があったらダメなの?」というと、そうではありません。
傷にも「許される傷」と「許されない傷」があるのです。
査定員は、その傷が「演奏に支障があるか」「簡単に消せるか」「修復不可能か」という基準でジャッジしています。
例えば、演奏中についた細かいピックの擦り傷程度なら、コンパウンドで磨けば消えることが多いので、減額は微々たるもの(あるいは無視)で済むことが多いです。
一方で、木部がえぐれるような深い傷や、落下による割れなどは、どれだけ音が良くても大幅な減額対象になってしまいます。
このセクションでは、具体的にどんな傷や汚れがどれくらいのダメージ(減額)になるのか、そのボーダーラインを深掘りしていきましょう。
これを知っておけば、「あ、この傷ならそんなに気にしなくていいかも」とか「うわ、これは覚悟しておこう…」と、心の準備ができるはずです。
浅い「擦り傷」と木部に達する「打痕」の扱いの違い
まず、一番よくある「擦り傷」と「打痕(だこん)」の違いについて。
これ、似ているようで査定での扱いは雲泥の差があります。
「擦り傷」というのは、塗装の表面についた浅い傷のこと。光に当てるとシュッ見えるアレですね。
これは、ポリッシュやコンパウンドを使って丁寧に磨けば、ある程度目立たなくすることができます。
プロの査定員も「これくらいならウチで磨けば綺麗になるな」と判断できるので、よほど全身が傷だらけでない限り、大きな減額にはなりにくいです。「使用に伴う小傷」として、Bランク判定くらいで許してもらえる範囲でしょう。
問題なのは「打痕」です。
これは、何かに「ガツン!」とぶつけて、塗装が割れたり、下の木材が見えてしまったり、木自体が凹んでしまった状態のこと。
これはもう、磨いてもどうにもなりません。直すとしたら、パテ埋めして塗装し直すという大掛かりなリペアが必要になります。
当然、そんなコストをかけるくらいなら「傷あり品」として安く売る方が早いので、買取価格もガッツリ引かれます。
特に、ボディのトップ(表側)やヘッドの先端など、目立つ場所にある打痕は痛いです。
逆に、ボディの裏側や下側(エンドピン付近)なら、「まあ、演奏中は見えないしね」ということで、多少は甘めに見てくれることもあります。
要するに、「表面だけのカスリ傷」ならセーフ、「肉(木部)まで達した傷」はアウト、という感覚でいると分かりやすいかもしれませんね。
塗装の剥がれやクラック(ひび割れ)は致命傷になる?
長年使っていると出てくるのが、塗装のトラブル。
特にラッカー塗装のヴィンテージギターなんかだと、経年変化で「ウェザーチェック」と呼ばれる細かいひび割れが入ることがありますよね。
これ、ヴィンテージ好きの間では「貫禄があってカッコいい!」とプラス評価されることもありますが、一般的な中古楽器の査定では、残念ながら「塗装不良」と見なされるケースも少なくありません。
特にポリウレタン塗装(一般的な量産ギターの塗装)でヒビが入っている場合、それは「味」ではなく単なる「劣化」や「衝撃の跡」として扱われます。
そして、もっと怖いのが「木部の割れ(クラック)」です。
塗装の表面だけが割れているのか、それとも木材そのものが割れているのか。これを見極めるのが査定員の腕の見せ所なんですが、もし木部まで割れていたら…これは致命傷です。
特にネックのジョイント部分(ボディとの接合部)や、ヘッドの付け根。
ここにクラックが入っていると、チューニングが安定しなくなったり、最悪の場合ネックが折れたりする危険性があります。
こうなると、「ジャンク品扱い」や「買取不可」と言われても文句は言えません。
塗装がポロッと剥がれているだけなら、「タッチアップ」という簡易補修で誤魔化せるので数千円の減額で済むこともありますが、構造に関わるヒビ割れは、査定額をゼロに近づける破壊力を持っていると覚悟しておいてください。
金属パーツの「サビ」や「くすみ」は磨けばOKなのか
ペグ、ブリッジ、フレットなどの金属パーツ。
ここがピカピカ輝いているか、それともサビて茶色くなっているかで、楽器の見た目の印象は180度変わります。
正直、表面がちょっと曇っている程度の「くすみ」なら、そんなに気にする必要はありません。
査定員さんも「磨けば光るな」とわかっているので、大幅な減額にはならないでしょう。
でも、表面がザラザラになるほどの「赤サビ」や、メッキがボロボロ剥がれてくるような「腐食」まで進行していると話は別です。
ここまで行くと、磨いても元には戻りません。パーツごと交換するしかないので、その「部品代+交換工賃」が査定額から引かれます。
特にチェックされるのが、ブリッジのイモネジ(弦高調整用の小さなネジ)や、ピックアップのポールピース。
ここがサビて固着してしまうと、調整ができなくなります。「調整不可=楽器としての機能不全」なので、これは減額ポイントとしてかなりデカいです。
あと、意外と盲点なのがフレットのサビ。
フレットがサビていると、チョーキングした時にジャリジャリした感触になって、演奏性が最悪になります。
これも「要メンテナンス」と判断されちゃいます。
もし手元に金属磨きクロスがあるなら、査定に出す前に軽く磨いておくだけでも、「おっ、手入れされてるな」と思わせる効果はあるので、やって損はないですよ!
意外と厳しい!タバコのヤニ汚れやニオイの減額幅
これ、喫煙者のミュージシャンには耳の痛い話かもしれません。
実は、楽器査定において「ニオイ」というのは、私たちが思っている以上に厳しい減額対象になります。
傷は直せても、染み付いたニオイを取るのって、マジで大変なんですよ。
特にハードケースの内装や、アコースティックギターのサウンドホールの中(生の木の部分)に染み込んだタバコのニオイは、消臭剤をふりかけたくらいじゃ全然消えません。
今は世の中全体が禁煙・嫌煙ブームですよね。
中古楽器を買うお客さんの中にも、「タバコのニオイがする楽器は絶対に嫌だ」という人がかなり増えています。
つまり、タバコ臭がするだけで「販売できるターゲット層」がガクンと減ってしまうのです。
お店としても売れ残るリスクが高まるので、当然、買取価格を下げてリスクヘッジします。
また、ヤニ汚れも厄介です。
白いバインディングやプラスチックパーツが黄色く変色してしまったら、いくら拭いても白くは戻りません。
「ヴィンテージ焼け」に見えなくもない…なんて言い訳は通用しません。プロは見ればわかります。
「自分は吸ってないけど、ライブハウスによく出演してたからついたかも?」という場合もあるでしょう。
査定に出す前には、ケースを開けて風通しの良い場所で陰干しするなど、できる限りの消臭対策をしておくことを強くおすすめします。ファブリーズ的なものを直接楽器にかけるのはNGですよ!
ステッカーやシール跡は、プロでも剥がすのが大変
パンクロックに憧れて、ギターやベースに好きなバンドのステッカーをベタベタ貼る…。
青春ですね。わかります。私もやったことがあります。
でも、こと「売却」という場面においては、このステッカーチューンは最悪の行為になってしまいます。
「剥がして売ればいいじゃん」と思いますよね?
それがそう簡単じゃないのです。
長期間貼りっぱなしだったステッカーを剥がすと、周りの塗装は日焼け(紫外線で変色)しているのに、ステッカーの下だけ元の色が残っている…という「日焼け跡(シール跡)」がくっきり残ってしまうことがあります。
これを消すのは不可能です。塗装を全部やり直すしかありません。
また、無理に剥がそうとして塗装ごとめくれてしまったり、ベタベタの糊が残ってしまったりするリスクもあります。
査定員からすると、「ステッカーあり」の楽器は、「剥がす手間賃」+「跡が残っていた場合のリスク料」を減額せざるを得ないのです。
もし今、ステッカーだらけの楽器を売ろうか迷っているなら。
自分で綺麗に剥がす自信があるなら剥がしてから出した方がいいですが、下手にやって傷をつけるくらいなら、そのまま査定に出して「若気の至りです…」と正直に伝えた方が、まだ傷は浅いかもしれません。
いずれにせよ、オリジナルの状態以外の手が加わっているものは、基本的に減額対象になると心得ておきましょう。
【機能編】音が出ればOKじゃない!演奏に支障が出るポイント

「アンプに繋いだら音が出た! よし、動作確認OK!」
こんなふうに、とりあえず音が出さえすれば「完動品」だと思っていませんか?
楽器の査定において、「音が出る」というのは最低ラインのスタート地点に過ぎません。車で言えば「エンジンはかかるけど、ブレーキが効くか、ハンドルが曲がるかは別問題」というのと同じです。
査定員がチェックしているのは、「音が出るか」ではなく、「ストレスなく演奏できるか」という点です。
例えば、ツマミを回すとガリガリ雑音が入るとか、特定の場所を押さえると音が詰まるとか。こういう「演奏上のストレス」は、すべて減額の対象になります。
なぜなら、中古楽器を買うお客さんは、買ってすぐに快適に弾ける状態を求めているからです。
修理や調整が必要な楽器は、お店側が買い取った後にリペアマンの手で直さなければなりません。当然、そこには人件費やパーツ代といった「見えないコスト」が発生します。
このセクションでは、一見地味だけど査定額に大きく響く「機能的な不具合」について、具体的に見ていきましょう。
「えっ、そんなところまで見てるの?」と驚くようなポイントも、プロは見逃してくれないのです。
ボリュームを回すと出る「ガリノイズ」の有無
久しぶりにアンプに繋いでボリュームノブを回した瞬間、「バリバリ!」「ガリガリ!」と激しい音が鳴る。
これ、いわゆる「ガリ」と呼ばれる現象ですね。エレキギターやベース、アンプなんかでは本当によくあるトラブルです。
「回しているうちに直るでしょ」とグリグリやって一時的に消えることもありますが、これはあくまで応急処置。内部のパーツ(ポット)が汚れていたり摩耗していたりするのが原因なので、根本的に直すには洗浄か交換が必要です。
査定の現場では、このガリは「要修理箇所」としてバッチリ減額対象になります。
「パーツ代なんて数百円のものでしょ?」と思うかもしれませんが、お店側としては「パーツ代+交換作業の工賃」を引かなきゃいけません。
特に、セミアコのような配線が複雑なギターや、基板に直付けされているタイプのアンプだと、交換の手間がハンパないので、減額幅も大きくなりがちです。
ただ、軽度のガリなら「接点復活剤」というスプレーをひと吹きするだけで直ることもあります。
もし手元にスプレーがあるなら、査定に出す前にシュッとやっておくだけで、数千円の減額を回避できるかもしれません。これぞ「知っている人だけが得をする」テクニックですね!
ギターやベースの命!ネックの反りやフレット残量
これ、マジで一番大事なポイントです。
ギターやベースにおいて、ネックの状態はまさに「命」。ここがダメだと、いくら高いピックアップを積んでいようが、高級な木材を使っていようが、楽器としての価値は地に落ちます。
査定員は、楽器を持った瞬間にネックを上から覗き込み、「反り」がないかをチェックします。
順反り(弦の張力で弓なりになる)ならトラスロッドで調整できますが、ロッドが限界まで回しきっている場合はアウト。「調整不可」と見なされ、大幅な減額、あるいは買取不可になることもあります。
さらに怖いのが「ねじれ」や「波打ち」。ネックがいびつに曲がってしまっている状態です。これを直すには大掛かりな修理が必要になるため、査定額は雀の涙になるでしょう。
そしてもう一つ、「フレットの残量」もシビアに見られます。
長年弾き込んでフレットが削れ、特定のポジションで音がビビリる、あるいは音が伸びずに詰まってしまう。
こうなると「すり合わせ」や「打ち替え(リフレット)」が必要になります。
リフレットなんて頼んだら、安くても3〜4万円はかかりますよね? つまり、その修理費分が査定額から引かれるわけです。
元値が安いギターだと、「修理費 > 買取価格」となってしまい、値段がつかない…なんて悲劇も起こり得ます。
ジャックやスイッチ類の接触不良は交換コストがかかる
シールドを挿すジャック部分や、ピックアップを切り替えるセレクタースイッチ。
ここも消耗品なので、長く使っていると接触が悪くなります。
演奏中にシールドが動いた拍子に「ブチッ」と音が途切れたり、スイッチを切り替えても音が変わらなかったり。
ライブ中にこんなことが起きたら放送事故ですよね。だからこそ、中古市場でも嫌われます。
正直、ジャック交換くらいなら自分でもハンダごてを使って簡単にできる作業です。
でも、お店に任せるとなると、やっぱりここでも「技術料」が発生してしまいます。
「ちょっと接触悪いけど、コツをつかめば音出るから大丈夫!」なんていう言い訳は、査定では通用しません。次に買うお客さんは、その「コツ」なんて知りたくもないからです。
また、アクティブベースやエフェクターの「電池ボックス」も要注意。
液漏れして端子が青緑色にサビていたりすると、配線ごとやり直さなきゃいけないケースもあります。
普段から電池を入れっぱなしにしない、ジャックのナットが緩んでいたら締めておく。
こういう日頃の小さなケアが、いざ売る時の査定額を守ってくれるんですよね。
電子楽器の液晶不良やボタンの反応もしっかりチェック
シンセサイザー、マルチエフェクター、デジタルピアノなどの電子楽器。
これらはアナログ楽器とは違った視点でチェックされます。一番の鬼門は「液晶画面」です。
バックライトが暗くて文字が見えない、ドット抜けがある、ラインが入っている…。
これ、実はギターの傷なんかよりずっと深刻な問題なんです。
なぜなら、電子楽器の修理パーツ(特に液晶パネル)は、メーカーの保有期間が過ぎると入手不可能になることが多いから。
「画面が見えない=操作できない=ジャンク品」という図式が成り立ってしまいます。
また、たくさんあるボタンやスイッチ類も全部押してチェックされます。
「このメニューボタン、強く押し込まないと反応しないな」とか「ダイヤルを回しても数値が飛ぶな」といった症状。
これらも修理するには基板ごとの交換が必要になったりして、コストが跳ね上がります。
電子楽器の場合、「一部の機能が使えないけど、音は出る」という状態でも、完動品に比べると査定額はガクンと(半分以下になることも!)下がると覚悟しておいた方がいいでしょう。
デジタル機器は生鮮食品みたいなもの。古くなればなるほど、壊れた時のリスクが高まるのです。
改造(Mod)された楽器はプラス査定?それともマイナス?
「このギター、ピックアップを高級なダンカン製に交換してあるんだぜ!」
「配線をビンテージのワイヤーに変えて、コンデンサーも高いやつにしたんだ!」
こだわり抜いた改造(モディファイ)。自分にとっては「最高にグレードアップした状態」ですよね。かかった費用もバカになりません。
「これだけ金かけたんだから、当然プラス査定でしょ?」と思いたいところですが…
一概には言えませんが、多くの場合、改造は「マイナス査定」になることが多いのです。
なぜかというと、中古楽器を探しているお客さんの大半は、「メーカー純正のオリジナルの状態」を求めているもの。
「前のオーナーがどんなハンダ付けをしたかわからない改造品」は、お店からするとリスク商品。配線トラブルが起きる可能性もあるし、音が個性的すぎて万人受けしないかもしれません。
もちろん、プロのリペアショップによる丁寧な改造で、かつ定番のアップグレード(例:安価なギターのペグをゴトー製に変えるなど)なら、評価されることもあります。
もし改造した楽器を売るなら、外した純正パーツも必ず一緒に(袋に入れてでも)持っていきましょう。
あと「改造の価値をちゃんとわかってくれる人・業者」に査定してもらうというのも大事!
【付属品編】「ある」と「ない」で大違い!ケースや書類の重要性

「ギター本体はあるけど、ケースは邪魔で捨てちゃったな…」
「トレモロアーム? 買った初日に外して、どっかに行っちゃったよ」
これ、楽器買取の現場では「あるある」です。
私たちユーザーからすれば、演奏するのは「楽器本体」であって、ケースや書類はただの「おまけ」に感じるかもしれません。
しかし、中古市場において付属品の有無は、査定額を大きく揺るがす重要なファクターです。
極端な話をすれば、付属品が揃っているということは「この楽器は大切に管理されていましたよ」という証明書代わりになるのです。
逆にお店側からすると、付属品が欠けている商品は「売りにくい商品」になってしまいます。
次に買うお客さんが「えー、ケースないの? じゃあ持ち帰るの大変だし、やめとくわ」となってしまうリスクがあるからです。
このセクションでは、具体的に「何がないと減額されるのか」、そして「あっても意味がないものは何か」を整理していきましょう。
部屋の押し入れや引き出しの奥をひっくり返してでも、探す価値があるものは確実にありますよ!
純正ハードケースの有無は査定額にダイレクトに響く
特にGibsonやFender、あるいは高級アコースティックギターなどの場合、純正ハードケースの有無は死活問題です。
これらのブランドにとって、ケースは単なる運搬道具ではなく、「楽器の一部」として扱われます。ケースにブランドロゴが入っているだけで価値があるのです。
もし純正ハードケースが欠品していると、モデルによっては数万円単位で査定額が下がることも珍しくありません。
「代わりに汎用のソフトケースに入れるからいいでしょ?」と思うかもしれませんが、残念ながらそれは「ケースなし」よりはマシ、という程度の評価にしかならないことが多いです。
また、これには物流的な理由もあります。
ハードケースがない楽器は、輸送中の破損リスクが跳ね上がります。
お店が買い取った後、別の店舗へ移動させたり、ネット通販で配送したりする時に、ハードケースがないと梱包の手間とコストが余計にかかるのです。
その「リスク料」と「手間賃」が、減額という形で私たちに跳ね返ってきます。
逆に、安い入門用モデルのギターなら、薄いソフトケースしか元々ついていないことも多いので、そこまで神経質になる必要はありません。
ですが、そこそこの値段がする楽器を売るなら、ハードケースは絶対にセットにするべきです。邪魔だからといって先に捨ててしまっていたら…もう泣くしかありません。
保証書やマニュアルは「ワンオーナーの信頼」として評価
「保証期間なんてとっくに切れてるし、ただの紙切れでしょ?」
そう思って、保証書や取扱説明書をゴミ箱にポイしていませんか? それ、ちょっと待った!です。
確かに、メーカー保証としての効力は切れているかもしれません。
しかし、中古市場において保証書は「この楽器の身分証明書(IDカード)」としての役割を果たします。
特に最近は、精巧な偽物(コピー品)が出回っているブランドもあります。
そんな中で、正規代理店の印鑑が押された保証書があるということは、「これは間違いなく本物ですよ」という最強の証明になるのです。
また、ファーストオーナー(新品で購入した人)であることを証明できるのも大きいです。
「ワンオーナー品」というのは、中古車と同じで「素性がはっきりしている」という安心感があります。
お店側も、次に売る時に「前の持ち主様が新品で買って大切にされていた個体です」というセールストークができるので、高く買い取りやすくなるわけです。
マニュアルや調整用レンチが入ったビニール袋、あれも未開封で残っていれば「几帳面な人が持っていたんだな」というプラスの印象を与えます。
紙切れ一枚と侮るなかれ。それは「信頼」という価値を持った紙なのです。
アームや電源アダプターなど「専用パーツ」の欠品は痛い
ストラトキャスターのトレモロアーム、ロックナットのキャップ、ベースのフィンガーレスト。
こういった「演奏スタイルによっては使わないパーツ」って、外してどこかに置き忘れがちですよね。
でも、これらが欠品していると、地味に、でも確実に減額されます。
「自分はアーム使わないからいらない」というのはあくまであなたの事情であって、次に買う人は「ジェフ・ベックみたいにアームを使いたい!」と思っているかもしれません。
お店としては、欠品しているパーツをメーカーから取り寄せたり、汎用品を探して補充したりしなければならず、そのコストを引かざるを得ないのです。
もっと深刻なのが、エフェクターやシンセサイザーの「純正電源アダプター」です。
「汎用のACアダプターで動くからいいじゃん」というのは通用しません。
純正アダプターがないと、動作確認すらまともにできない場合がありますし、電圧トラブルのリスクを避けるために買取不可になるケースさえあります。
特に古い機材だと、専用アダプターがもう生産終了していて手に入らない…なんてことも。
こうなると、本体は元気でも「ジャンク品」としての価値しかなくなってしまいます。
「専用」と名のつくものは、本体と運命共同体だと思って、必ず一緒に査定に出しましょう。
購入時の「元箱」はあったほうがいいの?邪魔だけど…
これ、楽器の種類によって答えが変わります。
ギターやベースの場合、ハードケースがあれば、購入時の段ボール箱(元箱)は無くてもほとんど査定には影響しません。むしろデカすぎてお店側も「処分に困る」なんてこともあります。
しかし、エフェクター、オーディオインターフェース、DTM機材、小型シンセサイザー。
これらの「ガジェット系」の楽器に関しては、元箱の有無は結構重要です。
この手の機材を買う人は、「箱を開ける瞬間のワクワク」も求めていることが多いですし、箱があればお店での陳列もしやすく、見栄えも良くなります。
また、郵送買取を利用する場合、元箱があれば梱包がめちゃくちゃ楽になるというメリットもあります。
箱の中に発泡スチロールなどの緩衝材が残っていれば最高ですね。
「箱あり」と「箱なし」で、買取価格に数百円〜数千円の差が出ることも珍しくありません。
日本の住宅事情だと、空箱を取っておくスペースなんてないよ!という気持ちは痛いほどわかりますが、将来売ることを考えるなら、箱は畳んででも保管しておくのが賢い選択かもしれません。
予備の弦やケーブルなどの「おまけ」は評価される?
「使いかけの弦が余ってるからつけてあげよう」
「安物のシールドだけど、サービスで同梱しておこう」
この親切心、非常に美しいのですが…残念ながら査定においては、ほとんどの場合「無意味」か、最悪の場合「ゴミ扱い」されてしまいます。
お店は「中古の消耗品」を売ることはできません。
開封済みの弦や、接触が悪そうな安物のケーブルが入っていても、検品の手間が増えるだけで、結局はお店側で廃棄処分することになります。
「おまけをつけたから査定額アップ!」なんてことは、まずあり得ません。
ただし、未開封の高級弦(エリクサーとか)や、高品位なパッチケーブルなどがセットになっている場合は、ごく稀に「プラスアルファ」として評価してくれる心優しい店員さんもいるかもしれません。
でも基本的には、消耗品は評価対象外です。
「おまけ」で機嫌を取ろうとするよりも、本体をピカピカに磨く方が、よっぽど査定員の心証を良くする効果があります。
不要なものは入れず、必要なものだけを揃える。これが査定のマナーと言えるでしょう。
少しでも高く売るために!査定に出す前にできる「悪あがき」

さて、ここまで「減額の厳しい現実」ばかり突きつけてしまって、ちょっと凹んでいるかもしれません。
「どうせ安くなるなら、もうそのまま出しちゃえ!」と投げやりになる気持ち、わかります。
でも、諦めるのはまだ早いです!
すでについてしまった傷や故障は変えられませんが、「楽器の第一印象」は、今からでも劇的に変えることができます。
査定員も人間です。「汚い楽器」より「綺麗な楽器」に高い値段をつけたくなるのが人情というもの。
ここでは、査定に出す直前にやっておくべき、コスパの良い「悪あがき」を紹介します。
時給換算すれば絶対に元が取れる作業ばかりなので、面倒くさがらずにトライしてみてください。その数千円が変わるかもしれませんよ!
自分でできる範囲のクリーニングで「愛用感」をアピール
まずは基本中の基本、クリーニングです。
専用のポリッシュや指板オイルを持っていなくても大丈夫。柔らかいクロス(なければ着古したTシャツでも可)で、指紋やホコリを乾拭きするだけでも全然違います。
特に念入りに拭きたいのが、ペグやブリッジなどの金属パーツと、ボディのバック(裏側)です。
ボディ裏は皮脂汚れがつきやすく、ここがベタベタしていると「不潔感」がマックスになります。
ピックアップの周りに溜まったホコリも、綿棒などを使って取り除いておきましょう。
ただし、注意点がひとつ。
「汚れを落とさなきゃ!」と張り切って、家具用の洗剤やアルコール除菌シートを使うのは絶対にNGです!
塗装が変色したり、白く濁ったりして、かえって状態を悪化させる大惨事になりかねません。
あくまで「楽器用のもの」か「乾拭き」で。無理に汚れを落とそうとして傷を増やすのだけは避けてくださいね。
「ピカピカにしておきました!」という無言のアピールは、確実に査定員に届きます。
弦は張り替えておくべき?サビサビのままでいい?
これ、めちゃくちゃ迷いますよね。
「どうせお店側で新品に張り替えるんだから、今のままでいいじゃん」という意見もあれば、「試奏できないと困るでしょ」という意見もあります。
私の結論としては、「サビて指が切れそうなレベルなら、安い弦でいいから張り替える」のが正解だと思います。
査定員は必ず音出しチェックをします。
その時に弦がサビサビだと、弾きにくいし、正確なネックの状態もわかりませんし、何より「ガリノイズ」の原因が弦のアース不良なのか、内部パーツの故障なのか判断しづらくなります。
結果として「状態不明瞭」として厳しめの査定を下されるリスクがあるのです。
とはいえ、わざわざ1,000円以上する高級なコーティング弦を張る必要はありません。
数百円の安いセット弦で十分です。「ちゃんと音が出ますよ、ネックも正常ですよ」ということを証明するための投資だと思えば安いものです。
もし弦が切れている状態なら、絶対に張り替えてから出しましょう。弦がないと動作確認ができず、「ジャンク品」扱いされる可能性大です。
部屋中を探してでも、付属品はひとつでも多く揃える
前のセクションでも言いましたが、付属品のパワーは絶大です。
査定に行く前に、もう一度だけ部屋の中を捜索してください。
「あのアーム、確か引き出しの奥に入れたような…」
「六角レンチ、工具箱に混ざってないかな?」
特に忘れがちなのが、ハードケースの鍵や、ロック式ストラップの相方(ピン側)などの細かいパーツです。
これらが見つかるだけで、減額ポイントがひとつ減ります。
まさに「塵も積もれば山となる」です。
もし付属品が見つからなくても、「探したけどありませんでした」と伝えるのと、「最初から気にしてませんでした」という態度では、心象が違います。
できる限りの努力をしたという姿勢を見せることが大事です。
隠してもバレる!正直に不具合を伝えたほうが印象が良い
「ここのツマミ、ちょっとガリがあるけど、黙ってればバレないかな…」
「ネックの裏にヒビがあるけど、シールで隠しちゃおうかな」
人間、誰しも自分に都合の悪いことは隠したくなるものです。
でも、相手は毎日何本もの楽器を見ているプロ中のプロです。小手先の隠蔽工作なんて、3秒で見破られます。
そして、隠そうとしたことがバレた瞬間、査定員の信頼度はゼロになります。
「他にも何か隠しているんじゃないか?」と疑われ、普通ならスルーされるような細かい部分まで徹底的にチェックされることになり、結果として査定額は下がります。
それよりも、最初に自己申告してしまいましょう。
「実はボリュームに少しガリがあります」
「昔ぶつけて、ここに打痕があります」
こうやって正直に伝えてくれるお客さんに対しては、査定員も「誠実な人だな」と感じます。
「申告してくれたから、チェックの手間が省けたよ。ありがとう」ということで、もしかしたら減額を少し甘くしてくれる…なんて奇跡が起きるかもしれません。
嘘をついてビクビクするより、正直に話してスッキリした方が、精神衛生的にも良いですしね。
複数の業者で比較検討するために「型番」をメモする
最後の悪あがきは、ズバリ「相見積もり」です。
1社だけに持ち込んで、言われるがままの金額で売ってしまうのは、非常にもったいない!
楽器の買取価格は、お店の在庫状況や得意ジャンルによって大きく変わります。
A店では「在庫過多だから3万円」と言われたギターが、B店では「今探しているお客さんがいるから5万円!」となることが日常茶飯事です。
比較するためには、自分の楽器の正確な「ブランド名」と「型番(モデル名)」を把握しておく必要があります。
保証書があればそこに書いてありますが、なければヘッド裏のシリアルナンバーなどからネットで検索してみましょう。
そして、LINE査定やメール査定などの「事前見積もり」を活用して、大まかな金額を聞いてみるのです。
「他店では〇〇円と言われたんですけど…」と交渉の材料にするのもアリです。
ちょっと面倒くさい作業ですが、このひと手間で数千円、いや数万円の差が出ることもあります。
大事にしてきた楽器だからこそ、その価値を一番わかってくれるお店に嫁がせてあげたいですよね。
納得できる取引のために。信頼できる買取業者の賢い選び方 5つのポイント

ここまで、減額ポイントや事前の対策についてお話ししてきました。
でも、ぶっちゃけて言うと、一番大事なのは「どこに売るか」です。
極端な話、価値のわかる専門スタッフがいる店なら「おっ、これは珍しい改造だね!」とプラス評価してくれるかもしれないし、知識のない店なら「純正じゃないので減額です」とバッサリ斬られるかもしれない。
つまり、業者選びを間違えると、今までの努力が全部水の泡になる可能性すらあるのです。
「でも、買取業者なんていっぱいありすぎて選べないよ…」
そんなあなたのために、信頼できる業者を見抜くための「5つのチェックポイント」をまとめました。
ホームページの綺麗さや「高価買取!」という謳い文句だけに騙されず、この基準で冷静にジャッジしてみてください。
アルバイトじゃない?楽器専門の査定員が在籍しているか
これが一番重要です。マジで重要です。
総合リサイクルショップのアルバイト店員さんが、マニュアル片手に査定するのと、何十年も楽器を触ってきたベテラン査定員が見るのとでは、雲泥の差が出ます。
特に、ヴィンテージ楽器やマイナーなブランド、あるいはハイエンドな機材を売るなら、「そのジャンルの専門家」がいるかどうかを必ずチェックしてください。
ホームページを見て、「楽器専門」を謳っているか、スタッフ紹介のページに詳しい人が載っているかを確認しましょう。
餅は餅屋、楽器は楽器屋です。
なんでも買い取る店よりも、楽器に特化した店の方が、市場価値を正しく把握しているので、適正な価格(=納得できる価格)を出してくれる確率は圧倒的に高いです。
事前査定(LINEやメール)のレスポンスと丁寧さをチェック
最近は、写真を送るだけで概算金額を教えてくれる「LINE査定」や「メール査定」が主流ですよね。
この時の対応スピードと文章の丁寧さは、その業者の信頼度を測る絶好のリトマス試験紙になります。
問い合わせてから数日経っても返信がないとか、返信が来ても「〇〇円〜〇〇円です」とコピペみたいな素っ気ない内容だったりする業者は、ちょっと要注意かも。
逆に、すぐに返信が来て、「写真のこの部分が少し気になりますが、状態が良ければ〇〇円まで頑張れます!」みたいに、人間味のある丁寧な対応をしてくれる業者は信頼できます。
「釣った魚に餌はやらない」じゃないですが、最初の対応が雑な業者は、楽器を送った後の本査定でも雑な対応をされるリスクが高いと、私は思いますね。
「なぜ減額なのか?」をあやふやにせず説明してくれるか
査定結果が出た時、「合計で3万円です」と金額だけポンと提示してくる業者には気をつけましょう。
私たちが知りたいのは、「なぜその金額になったのか」という根拠です。
「ボディに打痕があったので-2,000円」「ネックの反り調整が必要なので-3,000円」といった具合に、減額の理由を明確に説明してくれる業者は、やましいことがない証拠。
逆に、理由を聞いても「市場相場が下がってるので…」とか「総合的な判断で…」と言葉を濁す場合は、足元を見られている可能性があります。
納得できないまま売る必要はありません。
しっかりと説明責任を果たしてくれる業者こそが、本当の優良店です。
宅配買取の梱包キットや送料などの「手数料設定」を確認
近くにお店がない時に便利な「宅配買取」。
多くの業者が「送料無料!」「梱包キット無料!」を謳っていますが、ここで落とし穴になりがちなのが「返送料」です。
もし査定額に納得できなくて「やっぱり売るのをやめます」となった場合、楽器を返してもらうための送料(返送料)はどちらが負担するのか。
ここが「お客様負担(着払い)」になっている業者は意外と多いです。
ギターの送料って結構高いですからね…。2,000円〜3,000円くらい取られることもあります。
そうなると、「返送料がかかるくらいなら、安くてもここで売っちゃえ…」と泣き寝入りすることになりかねません。
「キャンセル時の返送料無料」まで明記している業者は、それだけ査定額に自信があるという裏返しでもあります。
細かい字で書かれた利用規約もしっかりチェックして、後出しジャンケンで損をしないようにしましょう。
口コミや評判に見る「実際の減額幅」と「対応」のリアル
最後はやっぱり、先人たちの声(口コミ)です。
ただし、公式サイトに載っている「お客様の声」は、良いことしか書いてないので参考程度に。
Googleマップのレビューや、SNSでのリアルな呟きを検索してみましょう。
チェックすべきは、「事前査定と本査定のギャップ」についてのコメントです。
「事前の見積もり通りで買い取ってくれた!」という声が多い業者は優秀。
逆に「送った後に難癖をつけられて、半額以下にされた」という怨嗟の声が多い業者は、避けた方が無難です。
もちろん、悪い口コミがゼロの業者なんて存在しませんが、「減額の納得感」についてどう書かれているかは、非常に重要な判断材料になります。
私たちの大切な相棒を託すわけですから、とことん慎重に、自分が納得できる相手を選んでくださいね。
迷ったらここ!タイプ別のおすすめ楽器買取サービス
「選び方のポイントはわかったけど、結局どこに出せばいいの?」
そんな声が聞こえてきそうですね。
世の中には星の数ほど買取店がありますが、変なトラブルに巻き込まれたくないなら、やはり「実績のある大手」や「評判の良い専門店」を選ぶのが正解への近道です。
ここでは、私が「ここなら安心して任せられるな」と思える定番のサービスを、あなたのニーズに合わせてピックアップしました。
自分のスタイルに合いそうなところをチェックしてみてください!
【安心感No.1】やっぱり老舗は裏切らない「イシバシ楽器」
楽器をやっている人で、この名前を知らない人はいないでしょう。
創業80年以上の歴史を持つ、楽器専門店の超大手です。
イシバシ楽器の強みは、なんといっても「専門スタッフの質」と「圧倒的なデータ量」です。
マニアックなヴィンテージギターから最新のデジタル機材まで、それぞれの分野に精通したスタッフがいるので、価値を見誤ることがほとんどありません。
また、全国に店舗があるので、「直接持ち込んで、店員さんと話しながら売りたい」という人にも最適。
LINE査定のレスポンスも早く、キャンペーン(査定額20%UPなど)も頻繁にやっているので、まずはここの査定を基準にしてみるのがおすすめです。
「とりあえずイシバシ」という安心感は、やっぱりデカいですよ。
【買い替えなら最強】店舗ネットワークが武器の「島村楽器」
ショッピングモールなどでよく見かける島村楽器。
ここの最大の特徴は、「下取り(買い替え)」にとにかく強いこと。
もしあなたが「このギターを売って、新しいギターを買いたい」と考えているなら、島村楽器が最強の候補になります。
通常、買取だけで現金化するよりも、次の楽器を買うための「下取り」として出す方が、査定額を大幅にアップ(10%〜20%増しなど)してくれることが多いからです。
店舗数が日本一多いので、地方に住んでいても持ち込みやすいのもメリット。
「売る」と「買う」をワンストップで済ませたいなら、ここで決まりでしょう。
【とにかく楽したい】箱に詰めて送るだけ「買取王子」
「忙しくて店に行く暇がない」「店員さんと交渉するのが面倒くさい」
そんなあなたには、宅配買取に特化した「買取王子」がマッチするはずです。
ここは楽器専門店ではありませんが、その分「手軽さ」がハンパないです。
ネットで申し込むと梱包キット(段ボール)が送られてくるので、そこに楽器を詰めて、集荷に来てもらうだけ。
しかも、楽器以外にも本やCD、家電などもまとめて送れちゃうので、「引越しついでに断捨離したい!」という時にはめちゃくちゃ便利です。
専門店ほどの細かい査定トークは期待できませんが、輸送保険もついていますし、何より「家から一歩も出なくていい」というメリットは、忙しい現代人にとって何よりの価値ですよね。
【大量処分・出張買取】プロの機材も安心「楽器買取の奏屋(かなでや)」
「スタジオの機材をまとめて処分したい」「重たいアンプがあって運べない」
そんなヘビーな案件なら、出張買取に強い「奏屋(かなでや)」が頼りになります。
ここは全国に拠点を持っていて、結構フットワーク軽く出張に来てくれます。
リサイクルショップだと嫌がられるような大型のスピーカーや、配線が複雑なPA機材なんかも、専門知識を持ったスタッフがその場で査定してくれます。
私も経験がありますが、重い機材を自分で梱包して発送するのは腰が死にます(マジで)。
プロに来てもらって、搬出までお任せできる。大量の機材を抱えて途方に暮れている人にとっては、まさに救世主のような存在です。
【CMでも有名】自宅で待つだけ!出張買取の王道「バイセル」
テレビCMなどで「着物の買取」というイメージが強いかもしれませんが、実は楽器の買取にもめちゃくちゃ力を入れているのを知っていましたか?
バイセルの最大の武器は、なんといっても「出張買取」のクオリティとスピード感です。
「高価なヴィンテージギターを持ち歩くのは怖い…」
「重たいアンプを店舗まで運ぶ車がない…」
そんな時、電話やネットで申し込むだけで、査定員さんが自宅まで来てくれます。
「家に人を入れるのはちょっと不安…」と思うかもしれませんが、上場企業が運営しているサービスなので、コンプライアンスやスタッフ教育が徹底されており、変な押し買いをされる心配もありません。
玄関先で査定してもらい、金額に納得すればその場で現金を受け取れる(※金額による)というスピード感も魅力。
「とにかく手間をかけずに、安心して売りたい」という人には、間違いなく有力な選択肢になります。
まとめ:知識とひと手間で、納得のいく買取を!
楽器の査定はシビアな現実を突きつけられることもありますが、「減額の理由」さえ知っていれば、無駄なマイナスは防げます。
諦めてそのまま出す前に、まずは部屋中を捜索して付属品を揃え、感謝を込めてピカピカに磨き上げてください。その「悪あがき」とも言えるひと手間と、賢い業者選びこそが、高額査定を引き寄せる一番の近道です。
大切な相棒が、納得のいく価格で次のステージへ旅立てるよう、最後まで粘り強く向き合ってみてくださいね。
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